テンプレテンプレ言うけどさ、正直主人公でも非リア充だから!彼女どころか幼なじみにさえ女いないから!
邪神。
字は読んで如く、邪な神。
つまり悪神ってとこ。世界を滅ぼすだけしか脳はない。…………僕を除いて。僕は、啓太との人間の記憶があるから、そこだけは生身の人間となんらかわりはない。
そして最高位邪神、「レイタ」に力のコピーを貰ったのが邪神「結城」……僕だ。
コピーとは言っても能力に差はなく。勇者召喚されたので力も上がったそうだ。
で、勇者「結城」の「影」である啓太は普通に異世界に行き。
邪神勇者で、現在進行形で勇者召喚されている僕は最高位邪神「レイタ」に世界の壊滅命令を貰う。
ぶっちゃけ要らないそうだけど、そうしないと啓太が輪廻の輪に戻れないそうだ。
それにその異世界は他の世界の人間の人生を狂わせたから消滅命令が下った、と。「世界」からね。
あんまり乗り気はしないけど、楽しんで来て、飽きたら壊せって。そしてあの空間にいてくれって言われた。
邪神の消滅は狂気。狂って、自我を失って、存在が消えたら邪神は消える。邪神が消える前に僕が邪神になったから…………邪神レイタが消えるのはいつに成るやら。
とまあここまでは回想だ。
邪神パワーで無理やり僕と啓太を召喚された時間に引き戻して何くわぬ顔で召喚される。
啓太はイケメンだから多分お姫様あたりをメロメロにしちゃうんじゃないかな、今から殺意が沸いてきたよ。………あれ、僕、何も変わってない。
っと、着いたか。お城に召喚されたみたいだね。
「勇者様が……二人? 」
城らしきところでお姫様らしき人が言ったよ。
そりゃまあ二人なんて想定していないよな。でもさ、これって最近ではテンプレと化しているんだよ。さてさて「邪神」を召喚して破壊を世界に呼び込んだ召喚姫の名前はなんて言うのかな?
「ハッ! 申し遅れました、私、リーア王国第一王女、キリアナ・ル・リーアと申します。
あの、貴方様は……」
明らか後ろにいた啓太に話しかけたね。
うん。
イケメンなんて嫌いだ。………あれ、なんで欲があるんだろう。啓太絡みだと人間に戻る感じかな?
「俺は啓太。苗字なんてもんはアンタが召喚したせいで帰れないから意味ないだろ。後、俺は脇役だ。はっきり言ってなにも出来ねえぞ俺」
「そんなことはございません!ケイタ様は何だってできますよ!
でも、ケイタ様に脇役と言わせる不届き者はそんなに優秀なのですか? 」
わお。僕不届き者なんだ。確かに邪神で世界を滅ぼす張本人になる予定だから不届き者には違いないけどね、君が僕の家族を引き離した、友達との仲を裂いた、啓太を殺した、僕を殺したんだよ。幸い……とは言ってはいけないかもだけど(だって啓太が死んだの喜んでいるみたいだし)啓太とは会えたし、仲だって裂かれなかったけどね。あと、レイタが狂わないですんだ。それだけ。
要するに僕、ものすごくむかついたよ。……………いつかミンチにしちゃおう………いや、やめとこう。
「その不届き者の僕は君に召喚された勇者だったりするけどね。ちなみに啓太の親友だったりするけどね、啓太? 」
「そうだな。啓太はさっきまでいた地球でのただ一人の親友だ。今も」
「ありがとうね」
ちょっと心配してた「僕だけが親友だと思っている」悲しいパターンじゃなくて心底ほっとしたよ。
これからも宜しくね、啓太。イケメンだけど。
「そ、それは失礼しました。で、でも勇者のことは全く話していないのによく分かりましたね……勇者様」
「僕、召喚される時に啓太と一緒に神様に会ったんだ。それで教えて貰ったんだ。
啓太は僕が召喚されていた僕には巻き込まれなかったけど僕が召喚されている時に起きた事故で死んじゃったから、お詫びに転生させてもらったんだよ(要するにお前が殺したんだよ、お姫サマ)」
間違ったことは言っていないよね。
だって事故で死んじゃったから初代邪神の「レイタ」に生き返らせてもらったんだし。お詫びと言っちゃあ……お詫びかな。
「そうでしたか……ケイタ様もお気の毒に。
では勇者様と……」
「僕は結城。苗字は啓太と同じくもう帰れないから名乗らない」
「し、失礼しました、ユウキ様。
ユウキ様とケイタ様は魔法と言うものをご存知でしょうか? 」
セリフをかぶってやった。啓太もこっち向いて気づかれない様にガッツポーズ。
周りにいる兵士に睨まれてるよ……嫉妬で。
今、兵士たちの好感度が上がったよ。うん、君たちもイケメンが憎いか、そうか。
でも友達を睨むのは止めて欲しいな……好感度がプラスマイナスゼロになった。
「知ってる。神様に教えて貰ったから。ついでに貰った。
僕も、啓太も」
「そうでしたか……」
・・・・
・・・
・・
・
「そうでしたか……」
結城はさっきから相当怒りをこらえてるな。だいたいこいつ自己中すぎ。
なんか変わってしまった結城だけど、根本はまるで変わっていなくて安心したが。
多分自分が結城の命を奪ったなんて思ってもないのだろう。俺も奪われてるがな……。
それにしてもこのお姫サマはなんだか嫌だ。物語に出てくるような清楚で謙虚な一途な感じのお姫様とは全然違う。そういうお姫様なら歓迎なのに。
それに結城を召喚した理由も多分魔王あたりが人間に虐殺された仲間の敵を討つために王国に攻撃を仕掛けているからなんだろう。発端は人間と体の形が違うからとかいうくだらない理由か、人間よりも体や魔力、魔法が強いとか言う嫉妬だろうな。
強い生物はだいたい数が少ないもんな、魔王が一万匹とか笑えない。つかそれ王じゃないし。
「じゃ、俺どっか行くわ(結城、後でギルドな)」
「うん。ごめんね巻き込んで(了解した)」
「いや、俺が死んだのは事故だから気に病むなよ。だいたい結城を置いて逃げたのは俺だからむしろ謝るのはこっちだよ」
「レイタ」に貰った魔法の一つ「念話」という一種のテレパシーで結城と会話し、止められる前に城の外へ「転移」と言う名のテレポートをする。テンプレごとく「転移」封じの「結界」という見えない壁っぽいものもあったがそんなのは俺には効かないようだ。多分結城も効かないんだろうな、邪神だし。神だぜ?
・・・・
・・・
・・
・
「ふう」
外はテンプレな中世ヨーロッパな感じ。うまい具合に人がいない裏路地。目立つのを避けるため、同じく「レイタ」に貰ったこの世界の知識を使って一般的な服を「創造」という魔法で創って着る。初歩的なミスで変に絡まれたくない。そしてまた「転移」で表の道へ移動した。 ちなみに服は黒色とかいうテンプレではない。脇役じゃなくて主人公な結城が勇者なのに普通な俺が黒い服着てたらなんか嫌だから茶色っぽい服にした。
「やっと外に出られたな……」
そう呟いて俺は通行人を呼びとめる。活気にあふれた町はちょっと地球とは感じが違う。
やっぱり異世界に来たんだな、と思い直す。
「ちょっと聞いてもいいですか? 」
「はい? 」
「この町で一番大きくて有名なギルドの位置が知りたいのですが。この町に着いたばかりの旅人であんまり町の事情を知らないものですから……。ご迷惑をおかけします」
口調が違うが、頼む敬語で話しかけるのは常識。どこかのDQNとかとは違うぞ、俺は。大体聞いているのは俺なんだ、年下であろうと敬語は常識。最近の転生者は何かマナーが悪い気がしたから何となく解説。
「ああそれは真っ直ぐ進めば『勇気の剣』と言うギルドがあるよ」
「そうですか、有難うございます」
勇気の剣、ね。
そういえば主人公だから学園でテンプレな剣を出すかもしれないな、よくある魔武器という自分専用の武器と創るときに。
って創るなら創るで学園にいくとかあり得るのか……。
高校とか行ってないから歓迎だけどな。
ってそれならギルドに登録して新しいランク着くってなんやわんやしたら俺もなんかある程度は上のランクに入らないといけないってパターンか?よく二つ名っていう称号みたいなのが嫌で一歩手前のSランクとかで止める脇役とかいるけど、十分年齢(転生者は結構若い人多いし)に釣り合っていない高いランクだと思うのは俺だけか。
そしてわざわざ一番下のランクで地道にばれないようにしている転生者は逆に年齢に釣り合っていないと思うのは俺だけか。
とか、考えてみた。