図書館に行ってみたよ!啓太が自分から勉強するなんて明日は槍が降るよ!
「ということで! 野菜に果物、大量に買ってきたよ! 」
「…………大量って、程々にしとけよ…………途中でリタイアして待っていて良かったぜ……」
大量に買ったとは言っても、空間にしまったりはしていないから持ってる分だけ。見た目ににもちょっとした大荷物程度にしかしていないからそう大した量じゃない。育ち盛りの少年二人分として考えても、もって一週間が限界かな。
「じゃあ、一回帰って荷物をおいたらギルドにお邪魔しに行こうか? 」
「荷物を置くことは賛成だが、俺はそれより勉強をしておきたい。性格がどうやら残念らしい、カイトの二の舞にはなりたくないからな」
「明日は大雨洪水、所により槍が降るね! 」
ファンタジーな世界で、文化レベルが古い世界と言えども、啓太が自分から勉強をするだなんて…………比喩でも何でもなく、槍が降るねぇ…………。カイトの二の舞にはなりたくないのには同意。でも僕にはチートな知識があるから全然困らないんだけども。
「失礼な。俺だって無駄にスペックが上がっているからな、考えも変わるわ! 」
「あ…………そうか。啓太も高スペックな特典がついてるから、前みたいに馬鹿じゃないのか…………」
前みたいに、阿呆やらかすのが少なくなって、言葉が何かぴんしゃんしてると思ったら……そういうことだったのか。
「なら勉強だね。図書館に行こう。教科書と筆箱を持っていけばいいよね」
「おい、筆箱なんか持ってないぞ」
「んなもん『創造』で一発だよ。鉛筆だろうとシャーペンだろうと消しゴムだろうといくらでも創ってやるし……、啓太も出来るよね? 」
さすがに筆記用具を買うのは鬱陶しいから創るよ。
僕らはその後は他愛のない話をして、石畳の道をてくてく歩き…………寮に帰った。寮は初めて入るけど、豪華な特待生用の部屋だけど、まぁ…………コメント無し。野郎と同棲っぽいことをするんだから、部屋の説明は全面的に省くよ。嫌だよ、もう。
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「やってきましたーー、図書館」
「わざわざ国立の図書館までこないといけないものなのか? 明日の授業って? 」
「何を言う。明日の授業は一生のパートナーとこの上なく信頼出来る武器を手に入れる日だよ。ここまでして当然、カイト・アスールレイのほうが異常だから」
アスールレイっていうのは、貴族の名前。青の魔法家の苗字だね。青って意味がアスール。ブルーレイでは無いみたいだね。
「へぇ…………あいつ、そんな仰々しい名前だったんだ…………。エリアスとかはどうなんだ? 」
「エリアスくんの本名はエリアス・フェンだよ。ほら見て、よくある『苗字ベスト10』って本の冒頭にに書いてあるぐらいにはスタンダード。僕らも苗字がほしいもんだね」
でっち上げるのも手。姫サマに言って里親を探してもらうのも手。苗字がないといろいろ面倒だから。でも帰れないところの、元の苗字を使う気はサラサラ無い。使えないんだ、元の世界じゃあ…………。
「そうか……まぁそこら辺はいい。使い魔と魔武器についての本を探すのが先決だな」
僕らはふた手にわかれ、本を漁りだした。
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「勉強というのは、なかなか楽しくなってくるものだよね」
「前はわからなかったが同意する」
使い魔は一体のみ召喚可能。契約は何体でも出来るみたいだね。武器に関しては一つのみ。これは変わらない。そんな初歩的なものから学んでいく。
「僕まとめてレポートを作ってカイトに見せびらかしつつ先生に見せようと思うんだけど」
「俺は念話で答えをカイトに教える代わりに何かしてもらおうか……」
あくまで、カイトが答えられない前提で。見てる分には面白いやつだよね。まぁ、関わったら鬱陶しいし、啓太が情が湧くのは面倒だからこれぐらいでこの話題を打ち切る。エリアスくん? 彼はいいんだよ。世界を滅ぼしても結構長い間生きそうな人だから仲良くなったって。
「啓太は、将来何になりたい? ここでという意味で」
「そうだな…………、ギルド員ってのはどうだ? 」
「もうなってるし、腰を落ち着けれないから却下」
ギルド員で稼ぐのは構わない。一財産作っといてのんびりするのだって構わない。だけど、それを本職にはしてほしくないなぁ。
「そういう結城は何するんだ? 」
「破壊神だけど? 」
「冗談に聞こえないな」
嘘じゃないもの。世界を破壊し、真っ白に、白紙に戻すのが僕の存在意義なんだから。勿論、啓太も、啓太の子孫が全部途絶えるぐらい未来に崩壊させてやる。…………いや、子孫を移動させるっていうのも手だけどさ。実のところは百年ぐらい後に崩壊させる心づもりなんだけどね。
「さぁ、もう三十分ぐらい勉強したらこんどこそギルドに行こうね」
「あぁ分かった」
ちなみに周りの人の事を考えて水魔法の「ミュート」っていうのを使って音を僕ら以外には聞こえなくするチートを使ってみた。空気の振動を、魔力で特殊な状態になった水分が結界のように吸収してくれるんだ。あんまり近くだったら聞こえるけど、幸いにも半径五メートルぐらいには人が居なかったからね。
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「やぁ、エリアスくん」
「こんにちは、ユウキさん、ケイタさん。依頼ですか? 」
三十分後、さっき買った普段使いの服を着て、ギルドに僕らは居た。ただし、人はみんなぼくらを遠巻きで見ていたけどね。エリアスくんは仕事用の無表情だったけど、やっぱりなぜか、怖がることや、拒絶は最初と違ってなかったよ。ちょっと嬉しい。