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戦え勇者、そして撲滅せよリア充!  作者: ryure
第三章:学園編・前編 ともかく僕らは王道に突き進みました。
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全力で剣を土砂降りに振らせてみた件。先生すごいよ本当に!

「……何故この流れで僕が審判をすることになるんです? そこは学園長先生とかが出てくるんじゃないんですか? 」

「単にお前が優秀だからじゃねぇの? 」

「八年Sクラスの方々も認めるギルド員で、学園長先生に頼むと反感を買うからだよ? 」


 審判役に仕立てられたエリアスくんからの激しい批判をスルーして僕はデリク先生に木刀を向ける。因みに今この瞬間に「創造」した出来立てホヤホヤだよ。


「おいおい、俺には本気で来いって言っておきながら木刀かよ(ちょ、俺木刀でも殺されるレベルなのかよ! それ、勝ったら勝ったで反感を買うぞ? )」

「はい、木刀ですよ? 結構痛いですよ、これは鈍器になりえますし(目立とうと思って! )」

「(不吉すぎてちょっと引くわ…………)」


 にしても便利なもんだよね、「念話」って。これさ、前にも使ったけど、テレパシー如く、周りには聞こえないように喋るのは。これを使えば実力者(笑)なSクラスの人にもバレないっていうね。なんか格好いい…………ハッ、厨二心が。


 Sクラスが実力がないっていうのは…………あーー、そうでもないか。一応この学園では最高クラスの「魔力」は持ってるから馬鹿には出来ない…………ね。全部血筋のおかげなんだけれど。こういう貴族サマ達の…………だいたい五代ぐらいまでのご先祖様に五千万ぐらいの魔力を持ってる人が一人いるだけで、かなり高い魔力の子供が産まれるんだよね。それ以上前だと血が薄すぎてもう普通かな。でもこういう貴族サマって無理やり血筋に魔力が高い人間のを混ぜるから強いままっていうね。…………だんだん弱まっているのに気づかないなんて馬鹿にもほどがあるけど。


「………まぁいいですが。始め! 」


 とうとう溜め息を吐いて諦めたエリアスくんが宣言し、巻き込まれなように飛び退いた。


「『風の息吹』よ! 」

「ちゅ、厨二やん、先生どないしはったんすかっ! 」

「結城、関西弁になってるぞ? 」

「失礼、実は祖父が関西出身で御座いまして」


 二十代の先生が「『風の息吹』よ! 」とか叫んだらこうなってもいいよね。…………いや、この世界なら変じゃないんだろうけど、「召喚された勇者」としての反応としてはいいと思うんだ。


「…………カンサイ? まぁいい、余裕をいている所悪いが、風の精霊よ、我に答えよ! 《召喚》《シルフィー》」


 風の精霊、シルフィー? がデリク先生の言葉と同時に現れる。僕を精霊が見た瞬間、精霊は「ヒッ! 」と小さな悲鳴を上げて僕の前に跪く。あぁあ、緑色の綺麗な永い髪の毛を巻き込んでいるから立ったら痛いだろうな。そこまでして全力で怖がらなくてもいいのに。一応勇者なんだから取って食わないのにね。


「…………餓鬼の実力テストに使い魔まで出すとは。先生も落ちましたな」

「何を仰る、ディーデア様。デリク先生は我らと同じ、由緒正しき大貴族のご子息でありますぞ。身の程知らずの怪しい奴に、自分の身の丈に合った立ち振舞いを教師の鏡として教えてやっているのではありませんか」

「…………だが、シルフィーがあの餓鬼に跪いているように見えるが? 」


 無関係のSクラスの奴らがヒソヒソ話し合う。

 舐めるなよ、僕の廃スペックを。そんなささやき声など、怒鳴り声のようにはっきりしっかり聞こえるんだから! べ、別に傷ついてなんか居ないんだからね! Sクラスの女子が何人か、啓太に釘付けになっているのが妬ましいわけじゃないんだからね! 男のツンデレキメェ…………。…………自重しよう。


「…………、分かりませぬ。ディーデア様、私には分かりませぬ…………シルフィーは、風の精霊であります故…………あやつらが跪くのはデリク先生と風の神などの神のみであるので…………」

「まぁ、良い。黙ってみるのも一興…………餓鬼がどのように奮闘するのか…………をな」


 た、黄昏れてる! この貴族、傲慢だけどなんかいっちょ前に黄昏れてる! なんか一瞬格好良いって思っちゃった! 人間ってすごいね! どんな人間でも人を感動させるんだから! なんか違うとかは言わないでよね! 


「………………シルフィー、あの子供を叩きのめせ。『一応』試合だから気絶程度で重傷は負わせるなよ? 」

「はい、デリク様」


 跪いていたわりには、あっさりと立ち上がり、風の魔法で体を強化していくシルフィー。…………可哀想だけど、対人戦をして貰いたいから、ご退場願おうか。

 まぁ、単純にボコっちゃえばいいだけって言うんだけれど。


 ただ単に足に力を込めて、おもいっきり蹴っ飛ばす。回し蹴りっていう感じにね。シルフィーにとってはとんでもないスピードになる…………かな、うん。人っぽい感触だからちょっとなんか、変な感じがした。でも、…………あれーー? 普通に考えたら、風の魔法で目も強化してるんだから、それぐらい避けて欲しいところだけどなぁ。


「ッ! ガハッ…………」

「シルフィー?! 」


 人間も、あのぐらいの速さは出せるもんなんだけどな。啓太は出せるのに、なんで、「風帝」が驚くんだろう。…………ぶっちゃけ、「風帝」であるデリク先生なら身体強化ぐらいしたら余裕でしょう、あれくらい。


「ちょ…………、そのままでそんな、…………」

「ボケーーッとする時間はありませんよ」


 さっきと同じ速さで先生に詰め寄ると見た目は「軽く」拳を叩きこもうとする。勿論、先生は手で簡単に受け止めるよ。


 …………あは、そのまま鳩尾に叩きこむんだけどね。


「…………?! 」

「人を足蹴にする気分ってあんまり良くないね」

「言葉だけだとただの外道だぞ、この馬鹿が」

「馬鹿とは何だ、馬鹿とは。

僕はただ試験で勝とうとしている、無邪気でちょっと規格外な子供さ」


 この間も、さっき倒れたシルフィーは懸命に起き上がって飛んでくるけど、軽く壁の方へ蹴っ飛ばし、先生が起き上がるのを待って適当な魔法を木刀に纏わせる様に使う。


「無属性の剣が降り注ぐ! 」

「何だ、その意味の分からない詠唱は…………うわっ」


 木刀を「創造魔法」で大量に創り出し、上空に風の魔法で打ち上げる。そして単純純粋な魔力を纏わせて雨のように降らしただけ。この中に「破壊属性」とかの剣を混ぜなかっただけ僕は優しいよね!


 ガガガガガガガガ!


 「風帝」の本気の速さで木刀が削られ、抉られ、破壊されてどんどん無くなっていく。たまに剣が僕の方に飛んでくるけど、僕は片手で「破壊」する。


「……………やり過ぎな感じがしないでもありませんが」

「気にすんなよ、物やスケールは違うが、元々結城はあんな感じだった。

手加減をしないところや、裏では『魔王』と呼ばれるほどの暴走っぷりがな」





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