馬鹿=僕の親友の方程式がたちました……てかギルマスマジ不憫だわ。
今、僕こと結城はあまりにもおかしな現象に直面している。
そう、あんまりにも頭が働いていない二人に呆れを抱いている。
「お、おかしいよね、こ、これは。あははは……」
「ああ、そうともおかしいさ。ただの帝でしかないのに、まだなり立てなのにな、実戦経験が全くないくせにxランクという最高ランクの討伐クエスト受けたこととかめちゃくちゃおかしいよな」
「違う、そこじゃない、そこじゃないんだよ啓太くん」
それはおかしくないんだよ。
だいたいxランク「ごとき」のモンスター、僕は少なくとも目をつぶって殺せる自信あるし。てか負けないし。「その程度」では怖くなんかない。一応、僕に勝てる奴は「この世には」いない。時空にも、次元にも居ない。能力でも、戦術でも。
邪神に宿る知識は実戦経験のない僕の十分すぎる知識をくれたし。邪神知識=実戦経験って感じでね……。
「この世には」だからもしかしたら邪神たちが接触していないだけで僕「ら」邪神を殺せる、倒せるような奴が邪神ですらわからないような異世界にいる可能性はあるけど……ま、僕だってなり立てでも邪神、既に数千は超える世界の知識を持ってるんだ。この中で数人、啓太よりは強い奴はいたけど僕よりはいなかったなぁ。
…………随分僕も「普通の」人間の感性から変わってきたな……。
まあ、だからそれは問題じゃないんだよ。
どっちかっていうと帝のことが問題。
「あ、あのさ啓太。つかぬことを聞くけどさ。僕たちギルドの『帝』になった、よね? 」
「ああ、そこか。確かにおかしいよな。魔力が高いからっていきなり高ランクにしたり、ギルドを担う『帝』にするのは、流石に変だ。
だいたい実戦経験もないのにそんなのダメだろ。それに俺たちは素性もしれないのにな」
それもさ、啓太。実例があるから一応許容範囲なんだよ…………? だから僕はなんと大丈夫ってことにしたんだ。
素性がしれないのはギルドにいる人全員だし。ここはそういうプライバシーも守られてるんだよね……正直僕は危険性の方が高いと思うけど。
「違うよ、啓太、そこじゃない。
君は何帝だったんだい…………? 」
「知ってるだろ? 『闇帝』だよ。ほら、結城が『破帝』だったのは全属性で、しかもあの騒ぎを止めたからで、殺気がものすごかったからで、魔力が無限だからで。
俺が『闇帝』なのは魔力が多くて、属性が光と、炎…………? あれ? 」
そういえば、啓太って頭悪かったよ。ものすごく悪かったよ。英語と国語の点数が一桁で、ほかも平均点数ギリギリだったよ…………悪い意味で。
あと、考え方も普通よりかなりおかしかったよ…………。啓太に何かを求めた僕が、馬鹿だったな、大馬鹿者だったな、アハハハハ。
……馬鹿だよ!
啓太もギルドマスターも! ギルドマスターは確かに頭が狂いそうなほど疲れてたんだろうけど! でもギルドを担う帝をそんなに簡単に決めてるからバカだね! 啓太の言う通り素性がしれないのに帝にするのはダメだろ! せめて二、三日おいて調べろよ!
「……闇帝だけど、闇魔法が使えないのは笑えな……あ」
そうか。無いなら作れば、いや、創ればいいんだ。
ほらほら!これこそよくあるお話で! 「創造」属性とか! あるじゃん! しかも僕できるじゃん!
「『創造』って魔法は使える? かなり特殊な属性何だけどさ、あればそれで闇属性を創ればいいんだよ。『創造』は特殊属性だから測定には出ないし! 多分! なくても僕持ってるし! 」
「多分ってなんだよ…………。
一応ある、な。だが創るっても、いちいち闇の魔法を創って放つのは面倒だ」
出たよ、啓太の面倒くさがり。いや、僕だってそんな面倒なことをさせる気は無いけどね。
というか啓太も闇帝になるのを引き受けたくせに闇属性の魔法を使う気がないなんてやる気がないね、けしからんね!
「僕が闇属性を創って啓太の属性に定着……ようするに入れればいいんだよ」
「それ、めちゃくちゃ危ないと思うんだが? 」
めちゃくちゃ危ない? その通りさ! 一歩間違えたら普通に死ぬよ!
でも啓太は勘違いしてるね。僕は啓太を死なせる気はないし、そんなドジじゃないし。僕の魔法とかのコントロールは暇すぎて頭が狂った邪神に鍛えられているも同然だし! 初代邪神レイタ、とか言ってるけどさ、あの邪神も何代目かはもはや分かんないし。今いる邪神は彼と僕だけだし、いいよね!
「ほいさっ! 『創造』、闇属性! 」
んで、とりあえず創ってみた。今僕の手の上で夜の暗闇を切り取ったみたいな黒いなにかが渦巻いている。なにかっても闇属性だけども。なんかすごく禍々しいね、別に悪いもんじゃないのに。まあ、僕はそれなりに親近感が沸くかな?
「んで、啓太の属性に押し込ん……」
「ちょっ、ストップストップ! 」
……………啓太に止められた。
「それが、闇属性、か? 」
「無論そうだよ、さ、早く啓太に押し込んで魔物討伐に行こう? 」
「いやいやいやいや! なんかすごく危ない感じが……」
「気のせいだって! こんなもんでダメージ受けないって! 闇なんてどこにでもあるでしょ? 君のお腹の中だって別に光ってないでしょ? だから大丈夫! 」
本当に闇ってのはどこにでもある。光=闇って感じで。
闇属性はそのどこにでもある闇に魔力を見出して、物理的な攻撃に変換、んで放出して攻撃。みたいな属性だもん。危ないわけがないよね。だって僕がやるのはさ……。
「僕がするのは魔力のコントロールをちょいとばかし良くするのと、君の属性にもともとない『闇』を頭ん中から見つけて魔力に変換する才能を脳内に植えつけるだけだってば! 」
「植えつけるとか言っちゃいけないワードだ! 」
植え付ける……駄目か。植え付ける……そんなに危ないワードなのかな……?
「なら、君の魂に闇属性の情報を刻み込んであげるよ! 今世限定品だから来世ではなにもなく! しかも!刻み込むから記憶喪失でも忘れないね! 良かったね! 」
「き、刻み……。」
「僕の言葉はスルー?! ま、いいや。じゃあやっちゃえ! 」
僕は啓太の反論を聞く前に闇属性を刻み込むとかいうやっちゃいけないワードの通り心に刻むと(悪い記憶ならトラウマになるね、うん。)啓太を見た。
……怒られないかな?
「怖い怖い……腹ん中裂かれてダイレクトに心臓とか、脳に刻まれるかと思った……おい、マジでやめろ……」
啓太が半泣きになった。
つかイケメンが涙目とかマジ止めろし。腐女子怖いし。
あ、怒られなかったや。なんだ、つまんねぇの。
…………まあ討伐、いくか。