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桜の下で貴方を待つ

桜の下で貴方を待つ ~咲き誇る奇跡の大輪~

作者: 聖なる写真

 急に思いついた続編にして完結編。

 約2年越しになってしまいましたが、 ぜひどうぞ。


 夢を見た。 懐かしい記憶―――――。


 ―――――貴方の夢はすごく素晴らしいわ―――――


 そう言ってくれた貴女のことを―――――再び夢に見たのは何時振りだろう?

 酷くおぼろげとなってしまった記憶の中でそれだけははっきりと覚えている。


 どうして……いや……これが私に残された最期の鍵。


 さあ最期の鍵に合う鍵穴を探しに行こう―――――。







   桜 の 下 で 貴 方 を 待 つ  ~ 咲 き 誇 る 奇 跡 の 大 輪 ~







 皆様、 お久しぶりです。

 知らない方は前作“桜の下で貴方を待つ”をどうぞ。


 私は相変わらず桜の大樹の下でのんびりと変わりゆく景色を眺めています。

 時がたつのは早いもので、 ついさっき泣き虫だった少年が子供を肩車して歩いている光景が見えます。 いいですね、 平和も。


 そういえば最近、 変わった少年が来るようになりました。

 なんでも近くの高校の生徒だそうです。 よく昼寝していますが、 学業の方は大丈夫なんでしょうか?




―――――――――――――――

――――――――――

―――――


 !! ここは……






 ……どこだ?


 いや、 私はこんな場所は知らない。 記憶にない。 なのに……なぜこうも心動かされる?

 少しあたりを探ってみよう。 なにか情報が掴めるかもしれない。


―――――

――――――――――

―――――――――――――――




「そういえば……」


 ふとその少年がつぶやきました。 まわりには誰もいませんよ?


「最近、 XX島で守り神の像が一瞬で砂になる現象が起こったそうだ。 あんた知らないか? 」


 そのまま一人で呟く少年。 あなたのまわりには誰もいないんですが……あ。

 けーたいってやつですか。 あれを初めて見たとき、 ものすごくびっくりしました。 勝手に一人で喋っているので頭がおかしくなったんじゃないかと疑いましたもの。


「……知らないか」


 そう言うと少年はそのまま立ち上がるとどこかへと行ってしまいました。 いい返事がもらえなかったんでしょうか?




 それよりも、 一つ気にかかることが。


 XX島。 あの人が行った島です。 そこの守り像が一瞬で砂になった? 不吉な予感がしてたまりません。

 何も起こらなければいいのですが―――――




―――――――――――――――

――――――――――

―――――


 ……ばかな!? ここはどこだ!?




 知っている! 知っているのに分からない!


 だがこれで確信した。


 私の探していた“鍵穴”はこのあたりにあると。

 焦る必要はない。 私には時間はたっぷりと残ってる。 ゆっくり探していけばいい―――――


―――――

――――――――――

―――――――――――――――




 あれから数日―――――。

 少年はあれから毎日やってきては同じようなことを聞いては、 残念そうに立ち去って行きます。


 悲しいですが私は無力な存在。 なにもできません。


 そして今日も……残念そうに少年は去って行きました。




―――――その時。 聞きなれた声がして私は思わず振り向いた。




―――――――――――――――

――――――――――

―――――


―――――見つけた! あの場所を! あの風景を!


 だけど彼女はもういない。 当然か……


 だけども、 一縷の望みをかけて大樹のもとへ歩んだ私の目には予想だにしないものが映った。

 驚きのあまり声が出ない。 いや、 口が勝手に動く。


 私の知らない私の声が発せられた瞬間、 私はすべてを思い出した。


―――――

――――――――――

―――――――――――――――




「―――――! 」


 何かが聞こえた瞬間、 俺は振り向いた。


 そこには涙を浮かべながら抱き合う若い男女。 ただし半透明。

 小声で何かを呟きあいながら、 もう離さないと言わんばかりに一層きつく抱きしめあう。


 ああ、 こんちきしょう。 やっぱり知ってたじゃねえか。

 そんなことを言いたい気持ちに駆られたが、 そこで言うほど俺はKYなつもりじゃない。


 やがて、 半透明の男女がさらに薄くなっていく。

 二人とも消えていく自分に驚いていたようだが、 互いに見合うと優しく笑いあう。


 ああ、 俺はどう見ても邪魔者ですね分かります。


 五限目が始まってしまうな―――――など自分で自分をごまかしながら、 その場を去ろうとした瞬間、 桜の花びらが俺のそばを通り過ぎて行った。




―――――桜の花びら?




 馬鹿な、 今は二月。 しかも今年はここ最近一番の冷え込み。

 驚きのあまり、 桜の大樹を振り返った俺は






 目の前を覆い尽くさんばかりの桜吹雪を目撃する。




 その桜吹雪は俺が知っているなかでもっとも美しく、 優雅で、 そして―――――





  どこか儚げだった。






~~~~~~~~~~


 最後の桜の花びらが地面に落ちるまで、 俺は自分に着いた花びらを払うことを忘れて、 見入っていた。

 もう今年の花見はここじゃできはしないだろうなーんどと思いながら、 俺は、











 何とも言えない感動を抱いていた。 幸せになれよと思いながら。
















 ちなみに五限目には完全に遅刻しました。


 こういう純愛も悪くはないかと。

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