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5話目 適正・選考試験週間【絶対記憶能力】

「ここ・・・だよな?」

「うん。そうだよ」


俺たちは今、生徒会室の前に居る。理由は勿論、マモルの紹介により呼ばれたからだ。

こんな風に呼ばれなきゃ入ることも無かったのにな・・・


「しかし・・・よかったのかよ・・・・・・」


「何が?」


「隼十のメールの事だよ」


「あ~。それ」


「それって・・・」


「まあ大丈夫なんじゃないの? 隼十君も大丈夫だって言ってたし」


「そうだな」


そう言って俺は、隼十が抱えることでどうでもいいものになった問題トラブルをあっさりと頭の外に弾き出した


「じゃあ・・・開けるよ?」


「えっ・・・ちょっと待ってよ・・・」

「何で?」


「いや・・・心の準備ってもんが・・・」


「はいはい。 そんな物要らないでしょ」


「でも・・・・・・・・・ほらっ! いきなり入ると迷惑じゃない?」


「そんなこと、あるわけが無いよ。 僕達は直接呼ばれたんだよ。 だったら相手も準備してるでしょ」


巧は護の完璧な返答により、返す手も無く嫌々入っていった


 ガチャ


「失礼しまーす」


「うおっ!」


部屋に入った巧は目を奪われていた。

そこにあるのは、高そうな家具、一点の汚れも無い綺麗で清潔な壁、塵一つ落ちてなさそうな床、広々とした空間、当たり前のように置かれているティーセット各種、そして気持ちを落ち着かせるような香りがする。

そんな環境に居れるというんだから、生徒会がそこまで生徒から敬われるのも分かる気がする。


「あっ おはようございます」


「おはよう 護君・・・と」


 そして、そこにはもう既に、美しいというべき美人がいた・・・

その女性ひとは、スッキリとした顔に高めの鼻、大きく、落ち着いた印象を見せる瞳を持っていた。

髪型は・・・肩よりちょっと下ってとこかな?まあ、少しだけクセ毛があるストレートって感じだな。

でも、体型プロポーションは・・・凄いな、モデルにでもなれるんじゃないのか?


「あなたが 海馬 巧君?・・・思ったより普通ね・・・」


えっ・・・何言ってんだ?この人・・・いきなり普通って・・・どんな期待があったんだ?


「思ったより普通って・・・どういうことっスか?」


「え? あ! そ、そういう意味じゃないのよ

寧ろいい意味で言ってるの」


何かいきなり可愛くなったな・・・


「そ、それより。紹介が遅れてたわね

 私は『吾妻あずま なつき』っていうの。

 吾妻は決して東ではないから」


凄いなこの人、一瞬で切り替えたよ

それに・・・何故だろう・・・吾妻と東って字が頭に浮かんできたような?(そのほうが簡単だからby作者)


「役職は、会計

 2年生は、私ともう一人いるの

 3年生は、3人で計5人っていうのが学校ここの決まりなの」


「それって俺たちを呼んだ意味ないんじゃ・・・」


「それは、一応今年入った新入生で面白そうな生徒がいたから確かめただけです」


なんだよ。あんなメール送っといてそれだけかよ

と巧は、口に出しそうになったが、護がそれを制すると同時に質問をぶつけた


「それより、何で会長ではなく、吾妻先輩(会計)があんなメールを出したんですか?」


「あれ? 何で私が送信者だって分かったのかしら?」


「そんなの簡単なことです

 このメールは、朝、ここの端末から送られてきたものです

 ですが、そこに在る来室記録には吾妻先輩と僕たちの名前しか有りませんでしたから」


護は、パソコンと自動記録表を指差しながら答えた


「そう・・・ 凄いですね、そんな簡単に分かってしまうなんて

 じゃあ、私からも質問させて

 何で端末が生徒会室ここの物だって分かったの?」


「メールアドレスが生徒会室のものだって気づいたから」


巧がそう答えると、護は少し嘆賞の感情かおを出し、吾妻は、明らかに驚愕している感情かおを見せた


「うそ・・・・・・・・・それって・・・この学校の全ての端末のアドレスを覚えてるって事?」


「アドレスだけじゃないですよ

 台数、配置、内臓プログラム」


「型番、そのほか建物の材質、重量、大きさ、長さ

 全ての情報をコウは記憶ほぞんしています」


そういわれて吾妻は、ようやく分かったと言いたげな表情を見せた


「だからあんな解答になったのね・・・・・・・・・ぁ・・・質問何だっけ・・・」


「それは、俺に答えろっていう前振りですか!?」


「「うん」」


吾妻と護は、同時に答えた


「はぁ・・・ 『それより、何で会長ではなく、吾妻先輩(会計)があんなメールを出したんですか?』っていう質問だった」


「流石!」


巧は嫌々言ったが、吾妻が褒めた事は嬉しかったらしく、機嫌が上がっていってた


「で、その答えはちょっと難しいのよね~

 ま、単純に言うと私が一番まともだから?・・・」


「それって・・・「あ!」」


巧が喋っている途中で護が割り込んできた


「会長を始めとする生徒会役員って・・・言って良いですか?」


そんなに大変な事なのか?

マモルへの許可の証としてうなずいた、吾妻・・・・・・先輩は、何故か苦笑している


「それって、巧君は知らないの?」


「コウは、興味が無いことは何も知りませんから」


「なるほどね、流石の記憶能力も、見たり聞いたりしなきゃ、しょうがないってわけね」


「で、本題に戻すと、生徒会は一言で言うと変人の集まりなんだよ」


・・・・・・・・・・・・・?・・・

「何・・・それだけ?」


「まあね

 でも、一言で簡潔すぎたねでも的を得てはいるよ」


「そう、だから君を普通だと思ったのよ。会長たちはちょっと変なところがあってね・・・

 その代わり、とても優秀・・・ううん。それだけじゃ表しきれない・・・何ていうか・・・」


「【天才】ですよね」


と護は、巧を見ながら答えた


「そう! それが一番妥当であり、的確で、正確ですね

 まあ、そんな人達なので、いざという時には頼りになるんですが、普段は・・・・・・」


吾妻は微笑及び苦笑しながら言った


「ふ~ん・・・ 

結構どうでも良かった」


ガクッ


巧の今更的発言に、二人は、昔ながらのリアクションをとってしまった


「吾妻先輩がメールを出した理由は分かりましたが、吾妻先輩が僕たちを呼んだ理由ってそれだけですか? 気になるだけなら、前回来た僕を呼ぶ必要は無いはずです」


突然攻められた吾妻は、困惑の表情を見せたが、直ぐに態勢を整え―――

笑った・・・ 


「ふふふ。 やっぱり護君の洞察力や注意力、判断力は凄いわね

 あなたに功君みたいな能力があるとしたら、こういうものなのかしら?」


「こんなこと先輩みたいな『万能的』には至極簡単でしょう?」


言った護はサッパリとしているのに対し、吾妻はまたもや驚いていた


「こんな簡単に分かるものなのね・・・ 

 やっぱりあなたたちにメールを送って正解だったわ

 実は、今このIEI機関の地域でこの会話で何回も使っているメールの送信主が第三者によって知らずに 変更されるという事件が起きているの。これは、生徒会でも調べているんだけど、一向に調査が進まな くて・・・・・・そこで、あなたたちに解決してもらおうと思ってるの」


「えっ!? 俺たちが?・・・・・・ですか」


「ええ。それが今回呼んだ目的よ。 それにしても、無事に届いて良かったわ~」


巧が驚いているのに対して、言った本人は気楽だ

その中、口を閉ざして思考状態だった護から言葉が出てきた


「とりあえず、今現在分かってる事の資料を見せてくれませんか?」


「見るだけならいいですけど・・・・・・規則上、写すことは出来ませんよ」


そういわれた護は、満面の笑みを浮かべながら巧の顔を見た


「先輩、大丈夫です。コウが覚えますから」


「あっ そうだったわね、じゃあ・・・・・・・・・・・」


そう言って吾妻は几帳面に整理された棚をあさった


「はい。コレが資料よ」


護は、その資料を巧に渡して―――――


「はい。記憶してね」


と言った

そんな事言われた巧は、面倒くさそうに言った


「今日中・・・・・・ですよね?」


すると、吾妻と護は資料が入っているファイルの表紙を指差した

そこには赤い字で【持ち出し禁止】と書かれていた


「・・・・・・・・・今やるんですか?」


「うん。 でも早くしてよ、もうHRが迫ってるから」


護はまたもや満面の笑みで、鬼のようなことを言った


「うそだろーーーーー!!」


生徒会室には、絶叫が響いた・・・







そして、ようやく記憶した巧と護が帰った頃、逆に部屋への入室者がいた

来室者の欄には新たな文字が記されていた。そこには―――――。


「会長、遅いです。

 二人とも帰ってしまいましたよ」


「かまわないよ。こっそり聞いてたから」


「また盗聴器ですか・・・ 

で、どうでしたか? 海馬巧は」


「中々興味深いよ・・・あれが」


そういいながら生徒会長は窓を開けた。 すると風が吹き、生徒会室に爽やかな匂いが通った

会長という二文字が新たに加えられた来室者の記録表は風でカタカタと音を立てている


絶対記憶能力パーフェクト・メモリ


生徒会長はこう呟いたが、その言葉は、同じ部屋にいる吾妻なつきに届く前に風と共に消えてしまった



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