表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/14

第四話:薬壺に潜む影

診療所の薬棚。その一角で、凌華は眉をひそめていた。


 「……これは、おかしい」


 棚に並ぶ薬草の中に、一種類だけ配合の異なる薬包が混ざっていた。

 見た目は同じ。だが香りが微かに鋭く、指先がわずかに痺れる――“何かが入っている”。


 (沈心香の微粉……? まさか、薬房にまで手が入ってる?)


 後宮内で使われるすべての薬は、基本的にここの薬房を通す。

 つまり、ここが毒を仕込む“最短経路”でもあるということ。


 凌華は見習いの宦官を装った青年・翠道すいどうを呼び寄せる。


 「この薬包、どの妃に送る予定だったか分かる?」


 「はい。これは……白蓮妃様です」


 胸がざわついた。


 (やはり――白蓮妃も“次の標的”にされていた)


 その時、薬棚の裏に小さな巻紙が差し込まれていることに気づく。


 引き抜くと、そこには墨でこう記されていた。


 >《同じ香を焚く者は、同じ死を得る。》


 そして巻紙の下部には――以前見た、父の耳飾りと同じ、三日月紋の印。


 (あの死の夜と、同じ印……)


 父を殺した者が、今もこの後宮にいる。

 その事実が、まるで毒よりも鮮明に、凌華の胸に広がっていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ