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こんな遊園地は嫌だ

作者: UMA未確認党

俺は伊藤。ただのフリーターだ。

俺の右手にはチラシが握られている。俺の目の前には巨大な施設があった。

中には大量の幽霊が出る施設があるといわれている。一度入れば忘れられない施設。


「何だこのバイト…『みんなのニコニコランド』って言う遊園地か」

今日はバイトの面接。を通り越して何故か電話を掛けた瞬間

「あなたは当選しました!バイト合格です!すぐにS市のY地点までお越しください!なお来なかった場合10分おきにまた電話を掛けますね」

とか言う詐欺まがいの電話を受けたせいで俺はすぐに電話を切った。


10分後

プルプルプルプルプルプル

また電話が鳴った。無視が安定だ。



30分後

プルプルプルプルプルプル

またまた電話だ。しつこいなでも無視だ。



夜俺が布団に入ろうとすると

プルプルp

「うるせぇ!ホントに10分おきに定期的に電話かけてくるのがあるか!もう60回は聞いたぞこの電話!」

と俺は叫んで思わず電話に出てしまった。すると電話の主はこう言った。

「おはようございます。私は『みんなのニコニコランド~戦慄の彼方へ』のスタッフです。バイトの件でお電話いたしました」

あんまりしつこいので俺もついつい答えてしまう。

「なんすか…大体何で俺なんかに電話を…」

「そりゃ伊藤さんがウチのチラシを読んだからでしょう」

(ジャ〇プの中に入ってた記事な!あれチラッと読んだだけで採用対象かよ!当たり判定広すぎんだろ!)

「それで、チラシ読んでくれたってことは応募するってことですよね」

「え?あ、はい。まぁ」

きっと俺が受けるまで話は続くんだろう。正直またここで電話を切って先ほど見たく電話ストーカーされてもたまらない。俺はこのバイトの話を聞くことにした。




もう急カーブは30回目になる。俺は自家用車を運転して峠を上っていた。

山奥すぎだろ!何で子供用の遊園地がこんな山奥にあるんだよ!これじゃわざわざお化け屋敷でお化け役しなくても山からいくらでもお化けなり熊なりが来るわい!

「はぁ…これいざ付いたらそこが墓場だったとかいうイタズラオチじゃないよな」

俺がため息をつくと丁度目の前に『みんなのニコニコランド』と言う看板が見えた。そしてその前で俺は立っていた。

それなりの大きさの遊園地だ。確かにアトラクションは豪華だし、それなりに楽しむ子供もいるだろうとは思える。(山奥すぎだが)



「やっほ~!伊藤っち!ニコニコランドにようこそンド!」

目の前に女性が現れた。背は普通で年齢は30代くらいか…そして格好は

まさかのウサミミ&ビキニである。

(うわキッツ!!!)

30代にもなってこんな格好としゃべり方をする女性がいるだろうか。いや俺は少なくともそうは思わない。でも目の前にいるのだ。

「私はね~ニコニコランドから来たみさピョン(32歳婚活中)ニコ!」

キツさが5倍増したよ…何で32にもなってそんな厨二設定を擦るんだよ!親でも脅されてるタイプ?するとみさピョンは急に暗い顔になって。

「そうですよね…誰も32歳のおばさんなんて気にしないですよね…私これで婚活5回失敗してるんです。その内3回くらいはこの姿見られて冷められました…」

なら止めろよ!

「そうです…恋愛はクソだァ!何で世の中にいるクソビッチ共に彼氏ができて、この超絶美少女処女の美佐様に高身長高収入高学歴タワマン住みのイケメン実業家彼氏ができないんだ!」

高望みが過ぎるからじゃないですかね…この人は顔は別に言うほど悪くはないが別にアイドルほどかわいいって訳でもないんだし…てか5回も付き合って処女かよ!

「あ、付き合った彼氏は皆画面の向こうです」

終わりだよこの人!そりゃ処女だわな!



「それではこれから業務の説明をしますね」

美佐さんはそう言って俺を連れていく。

「これがこのニコニコランドのマスコットキャラクター。ランド君です!園の名前の一部から取ったんですよ!」

普通そう言うのってニコニコの部分をいじるんじゃないかな…でないと某ネズミの国とか多摩にある白猫たちの国とかもランド君とかランドちゃんでいいことにになっちゃうじゃん。

そしてお出しされたのはどこかで見たことある黒い円の耳に赤い丸のほっぺ、胸には黄色い鈴が付いている白い猫のキャラクターだった。

この世のありとあらゆる著作権に中指をおったてるキャラ造形には俺も少しドン引いた。

「そ、それで俺にこのキャラの中の人を頼みたいと」

すると美佐さんは振り返って。

「中の人?ランド君はランド君ですよ。中の人などいません」

真顔でそう受け答えてくるので俺も少し恐れた。そ、そういう設定…

「ちなみにランド君の中を覗いた人は取り込まれて次のランド君になるっていうのがもっぱらの噂ですよ」

怖すぎだろそれ!

「まぁそもそもこのキャラクター中でAIが自動で動かしてる操り人形なんですけどね。だから熱中症の心配もなし!」

美佐さんはそう言って誇るがそれ以前の問題が山積みな気がするよ。俺は…

しばらく歩くと俺は聞いた。

「それで?俺は何をすればいいんですか?」

「あぁ、あなたはこれを見てください」

そう言って俺を連れて行ったのは巨大な観覧車だった。

「これは名物の観覧車なんですよ。これを動かしてもらいます」

美佐さんはそう言うと俺を観覧車の前にある小さな箱に案内する。


目の前には巨大なハンドルがあった。

「こ、これは?」

「これは観覧車の動力源ですよ?早く回してくださいこれが歯車を伝って観覧車を回すんです」

これが動力源?アナログかよ!何で人形にAIを組み込むくらいの文明の進歩があるくせにこれは手動なんだよ!

「あ、あの~これって従業員たちが普通に動かすの大変じゃないですか?」

「えぇだから敗北者は多く雇っています」

「敗北者?」

「あれを見てください」

美佐さんはある建物を差す。

「あのゲームセンターで負けたお客様が観覧車を動かすんです!」

何だよ!そのデスゲームみたいなシステムはよ!

「まずは…穴から大量のカバが出てきますのでそれをハンマーでぶっ叩くゲーム…」

それ既に俺は知っている気しかないけど権利的にOKなのかなぁ…

「後はボウリングですね」

ボウリング!まぁラ〇ンド〇ンにもあるしOKなのか…


俺は美佐さんに全てのアトラクションを見せてもらった。どれもそれなりには凄かったし危険そうだった。俺はそうして自宅に帰っていった。




俺は家の電気をつけ、右手にチラシを持った。そして…


「行けるかあんな職場ァ!」

と床にチラシをたたきつけた。

何であんなデスゲーム一歩手前の遊園地に働きに行けるんだよ!職員はキツ過ぎるしさ!

でも、嫌だなぁ…あの遊園地から電話がかかってくるのは…



3日後

「今朝8時、ニコニコランドを運営する空山美佐さん(40)が一億万円を脱税した罪により逮捕されました…」

いや児童労働とかそういうんじゃなくてただただ脱税してたんかい!てかまた歳サバ呼んでるし…

結局行かなくてよかった…

そう俺は部屋の中でへたり込んだのだった。


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