3.プルルルル……かけた番号は今……
「ぬあー。私独りぼちー。」
こんな夜は吹き飛ばしたい。タスコはビールを早くする。
「へへは! ドリンクドリンク、オインク! はは……豚でも家族がいるよ。」
こんな夜は早く吹き飛ばすのだ。タスコはビールを吸引する機械になる。
「えあー。今夜チリホは何してる?? ええい、電話してやる!」
プルルルル……かけた番号は今……。
「んー。夜は寂しさから社会と折り合いをつけたくなるのね。」
後ろへ転ぶ。タスコは体にビールを入れることを一度止めた。
一体私はこれからどうなるのか。後先を以前から割り出そうものならそれは悲惨な景色だけがみえた。今ここにあるアルコールだけが温かいと分かる。アルコールの熱だけが私の存在を確認させてくれる。こう寝ていると海の波に浮かぶようだった。このままどこか連れていって欲しい。私をこのままどこかへ連れていって欲しい。
「私、ずっと独りぼち。ぐすん」
「一人墓地。ぐすん。」
声がして目を開ける。そこにはいつの間にかチリホが。幻覚か? チリホは大きなメロンを抱えている。
「仕事上、メロンを受領した。一緒に食べようじゃない。包丁ある?」
「……ある。ぐすん。」
包丁をチリホに渡す。
「きっと甘いよ~。2人で分けて余るほど大きい。」
ザスンッ。あ、芳醇な香り。