1.あなたは悪すぎる睡眠薬です
ラジオが今日の天候を繰り返す。私は虚無の目で床をモップで濡らす。疲れていたとしても腕の動きを止めることは禁止されている。誰のがこの生き方を選んだ? 私のがこの生き方を望んだ? この質問に答えるべき人はこのハンバーガーショップにはいなかった。マネージャーのうざい声が遠くに聞こえている気がする。
「バカ! 床は綺麗じゃない! お前はこの仕事ができない! バカ! バカ!」
私は聞こえないつもりだった。昨日のお酒がまだ頭を泳いでいた。飲酒。あなたは悪すぎる睡眠薬です。
「バカ! レジをやりなさい! バカ! バカ!」
レジにつくと色々な客と顔が合わせる。店に用を持たない末期薬物中毒者、見放された5歳児を持つシングルマザー、外の水たまりで転がる太い猫。どれも私の気に障るには十分だった。しかしこの怒りを抑えてレジで立っているのが私の仕事だ。どんな客もまるで家具のように扱え。そうすればどんな状況でも時間が早く過ぎるはずだった。そのような私の些細な方針でさえ、私を本当の形にで救うことはないのだった。そしてかなり後、終業時間のチャイムだけが私の即席の救いだった。
……ベランダでビール缶を傾ける。風鈴がリングリング。階下の道で子供たちがチットチャット。前方に向かって吐いたアルコール息がかつての憧憬を呼び起こす。私のが特別だった。でも私のが特別ではなかった。人々の特別性がシャボン玉になって膨らんで、この夕方の空を優しく抱えている。眺めることは私の心を和める。そのとき。
「お~い! 一緒に遊ぶ~!」
私の部屋のドアが破壊された。その声の人が入ってくるとビールが肺の中に流れ込んだ。
「タスコちゃ~ん! 一人で何している? おそらく感傷的! またしても!」
「……ちょうど飲酒。」
私は手でビール缶を振る。しかしチリホはそのことを気にしていないように見える。
「あのハブショップの隣にマングースショップが新しく開いた! 一緒に見に行く! そしてどちらが先に退去するか予測する! チリホはマングースが勝つと考える!」
私は笑うチリホを見ながらビール缶を傾ける。チリホの子供の目は私に何かを期待しているように見え。私は疲れていた。しかしチリホは唯一の友人だった。何も言わず空のビール缶を置いて、チリホはそれだけのことから全てを察知することができる。
「行く行くタスコ!」
二人で靴を履いて玄関を出ていく。頬に触った外の空気が舌の上のアルコールと混合して、私はマングースショップとハブショップの両方のある場所を知らないことを認知した。
「チリホ。その店はどこにあるの?」
「いいえ! チリホは何も知らない!」