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六年一組の事件  作者: 包丁
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第六話 コブラ

「まぁまぁ、お金持ちの僕にめんじてここは引いてくれないか。それに今日は僕たちが先に使ってたんだ」

お金持ちのマサコプターにこう言われては、菊山もうつむいちゃって。

「お金持ちに言われちゃしょうがない。でも、先に使ってた者が使っていいんだな!みんな、いくぞ」

そう、捨てせりふを言うと仲間達と去っていった。

「しかし、あいつらレモンの話ばっかりしてたわね!」

「してないよ!?何聞いてたんだよ、ゆり!」

と模酢。

「そうよ、レモンじゃなくてタモリの話でしょ?タモリの、はなもげらの話!」

「もっと違うよ!今までの会話の中で一度としてタモリなんて出てきてないよ!」

「・・・奴らも馬鹿じゃない。明日は何か考えてくるだろうね・・・タモリのことを」

マサコプターが、腕組みをしてつぶやいた。

「タモリ!?いや、そうじゃなくて、場所取りのことでしょ?先にとった者の勝ちって言ってたから、多分明日は早くからきて場所とるつもりなんだよ!」

模酢が身振り手振りをつけて説明した。それが踊ってるみたいでおかしいの。

「それはないよ。タモリ」

あたしは言った。

「あたしはタモリじゃないよ!」

模酢は大慌て。

「怒るところがかえってあやしい!」

佳代はじろりと見る。

「大体、そのサングラスでタモリじゃないなんて言ったって説得力ないぜ」

ゲロがクビを横に振った。

「かけてないよ!?サングラスなんてかけてないよ!見えるとしたらお前だけに見えるサングラスだよ!ってか妄想だよ!」

翌日の放課後、あたし、マサコプター、佳代、模酢、ゲロは一緒にいつもの公園に、先端の金具を外した電動ドライバーを2時間近く回転させやってきたの。

昨日の絶滅の危機にひんしている菊山が言ってたことが気になってね・・・。

あいつ、先に使ってた者が使っていいんだな!って言っていったでしょ。

だから、今日は授業が終わったと同時に先端の金具を外した電動ドライバーを2時間近く回転させながらみんなで公園にきたってわけ。

「どうやら菊山達きてないみたいだね」

「あいつら先に使ってた者が使っていいなんていってた割りには・・」

なんて話して椅子の準備をしていると、口から汁が漏れている菊山がやってきた。

「遅いんじゃないの、ここはあたし達が先に使ってるわよ」

「おいおい、よく見てくれよ俺の口から漏れてる汁を。あと先に使っているのは俺たちだよ。俺たちのメンバーがもうそこにいるじゃないか?」

そう言って菊山が指差したのは空き缶。

「何よそれ!空き缶じゃないの!」

「お前らにとっては空き缶かもしれないが、俺たちにとっては大事なメンバーなんだよ!」

とか言って空き缶を抱きしめたの。

「それで、その空き缶が先にいたから公園を使わせろってこと?」

模酢はあきれ気味。

「そのとうりだ!この空き缶、コブラ(30)って名前なんだけどな。こないだの試合でも3打数5安打、5得点のもしたんだぜ」

「3打数しかたってないのに5安打できたの!?」

マサコプターは大慌て。

「ああ、コブラだからな」

「全然説明になってないだろ!」

模酢のつっこみ。

「でも、空き缶でしょ」

佳代はたまに冷めたこと言うのよね。

「見た目で判断するな!見た目は空き缶に見えるかもしれない・・・っていうか空き缶だ。でも、俺たちにとっては大事なメンバーだし、友達なんだ。お前たちは、姿形で友達になるのか?違うだろ?心と心が惹かれあう!それが友達なんだ、それがたまたま空き缶のコブラだった・・・それだけのことだ」

「菊山・・・正直、意味が全然わからない」

だって全然意味がわからないんだもの。

「そうだね、意味がわからない」

「意味というか菊山がわからない」

「菊山がなぜ存在してるかわからない」

「存在はいいだろ!?」

「とにかく公園は俺たちが使わせてもらうぜ」

「うん。いいよ。なんかキモイから」

そうあたしは言うと、

みんなと一緒に公園を出て行った。

みんなで当てもなく歩いていると。

「ね、二丁目まで行ってみない?あそこならまだ空き地とかあると思うよ」

佳代が元気いっぱいに叫んだ。

「そうだね。そこ行ってみよう」

二丁目は何年か前までは開発も進んでなくて、空き地だらけだったんだけど、最近では家がたくさん建って、すっかり景色が変わっていた。

「ここもダメみたいだね」

あたしたちは空き地の前でため息をついた。

空き地にはどこにも立ち入り禁止の立て札立てられている。

「昔はここでフランス人の評論家とりとかしてたのに」

と、佳代。

「カブトムシ感覚でフランス人の評論家とってたもんね」

とあたし。

「フランス人の評論家とってたの!?ってかフランス人の評論家ってそうそう見ないぞ!」

と模酢。

いろんなところ回って探したけど、案外見つからない物ね。

もう何もかも忘れて、腐敗し発酵してしまいたいなんて思ったりもしたんだけど。

「おーい見つけたぞ」

あたしたちと別れて違うところを探していた、ゲロとマサコプターが呼んでる。

あたし達行って見ると・・・


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