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六年一組の事件  作者: 包丁
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第四話 大型、小型

「あーっ」

彼はこっちを見て、手を振った。

「なんだ?彼を知ってるのか?」

本田先生は不思議そうな顔であたしたちを見ている。

転校生は昨日のあの子。

あたしに椅子の振り回し方を教えて、ゲロを椅子でぶん殴ったあの男の子。

一時間目の休み時間。

あたし達は、窓際の一番後ろの紳麻君の席に集まっていた。

「へーアメリカからきたんだ・・・」

「アメリカじゃないよ・・・アメリカの方からきたんだ。右の方だよ」

こんな素敵な転校生と知り合いなんて、すっごい自慢。

鼻高々!

二メートル位鼻が伸びた。

最近の整形の技術の進歩はすごい。

みんなのうらやましそうな顔ったら、まるでぶつぎりにした玉ねぎみたい。

「マサノブって呼んでよ。右の方でもそう呼ばれていたから」

「わかったわ、ヘリコプター!」

「全然、わかってないじゃん!」

模酢がつっこんだ。

だってどう見たって、ヘリコプターなんだもん。

それにヘリコプターってかっこいいから絶対気にいると思うんだ。

「じゃあ、マサコプター」

「それなら、僕のイメージにぴったりだ!」

「ぴったりなの!?」

っとまた、模酢がつっこむ。

そこにゲロが一番近い駅からバスに乗って一時間みたいな顔してやってきたの。

これは、すこしやばいかも!

だって昨日、相撲でマサコプターに椅子で頭をフルスイングされちゃったから・・・さては復讐するつもりなのね。

「たしか、紳麻正信って言ってたな」

ゲロがマサコプターを見下ろしながら言った。

「紳麻正信じゃないわよ、マサコプターよ!小型のマサコプターよ!小型ってことは大型のヤツもいるってことだからね!」

「・・・小型とか大型とかすごいどうでもいいよ!」

模酢が絶叫!

「小型だと!?大型にはない利点があるとでも言うか?」

ゲロは唇を震わせた様子で、第2形態に変身するかのような顔してる。

「小型に興味しんしんかよ!」

「まず、わかってほしいのは従来のマサコプターに比べて、小型マサコプターは同じ容積で空気に面する表面積が圧倒的に大きいの。そして効率の向上、リスクと重量の低減、コストの低減、隠しキャラの条件の厳密な制御、革命的な方法をもたらすなど数多くの利点があるわ」

ゲロも他のクラスメートもポカンと口を開けている。

「僕にはそんな秘密があったのか・・・」

マサコプター自身もビックリして、3ケタ生きている人みたいな顔であたしの顔を見ている。

あんまり見られると恥ずかしくて、ボーッ!

「小型には小型の利点がある。ってことは大型にはどういう利点があるんだ?」

「今度は大型の利点かよ!?どうでもいいだろ!」

模酢がつっこみわめく!

「もちろん大型には大型の利点と言うもがあるわ。まず、マサコプターについて知ってもらいたいわ。マサコプターは、北関東のとある町の海辺に広く分布して生息しているが、人間が居住する地域に近づくことはほとんど無いの。無人露店で夏を過ごすマサコプターは、春はあけぼのし始めると海岸に出てくる。好物のエンジンブレーキを追って大容量蒸気タービンの海を渡って行くからよ。北関東のとある町は、このマサコプターの移動ルートに位置している世界で唯一の町。見た目は可愛くてもマサコプターは凶暴な性格なのよ」

「僕って北関東の、とある町の海辺に広く分布して生息していたのか・・・」

「信じている!?ムチャクチャもいいとこじゃないか!」

模酢がつっこみはじけとぶ!

「マサコプターについてはよくわかった。で、大型の利点を教えてくれよ!」

まったくゲロの大型を求める底知れない欲望はどこから来るのかしら?

「大型マサコプターの一番の利点は大容量の一言につきるわね。超々臨界圧大型蒸気タービンによる、蒸気条件の高温・高圧化,および効率の向上。性能・信頼性・運転・保守性の各評価項目に対しては、小型が及ぶところではないわ」

「どっちのマサコプターにするか迷うな・・・」

「そう言えば昨日のマサコプターの椅子振り回すとこ、かっこよかったわ」

佳代は興奮して顔を赤らめた。

こんな大型とか小型とかどうでもいいのよ。

そうだ、思いきって言ってみよう。

「マサコプター、あたしに椅子の振り回し方教えて」

マサコプターは少し笑って、「いいよ」あたしは思わずうれしくて、踊りそうになっちゃった。

するとそばにいた、佳代が急に立ち上がって

「ねえ、あたしも椅子を振り回したい!だから一緒に入れて!模酢もゲロも一緒にやろう!」

「えっっ!?あたしも?」

模酢はなぜだか顔をすごくしかめたけど、ゲロはうれしそう。

「みんな大歓迎だよ、椅子を振り回すのは多い方がいいってネ」

ってニコニコしたマサコプター。

そこに真横がおともの者達を従えてやってきた。

いつ見てもまるでトンコツ、みたいな顔して・・・

「子供達だけで、椅子を振り回すような危険な遊びしていいと思っているの?」

もう、完全にそれって言いがかりよね。

「自分達だって、ついこないだまで椅子を振りまわしていたくせに」

「うるさい!二度と口を開くな!だからその口に、蓋をつけなよ、しかも鉄製のヤツ!硬くて重いヤツがいいわ!どうせもう空けることないんだし、溶接しちゃいなさいよ」

マサコプターはそんな険悪な様子を見て。

「危険な遊びって、椅子を舐めること?それとも椅子に火をつけること?ちゃんと練習すれば危険なんて全然ないよ。むしろ、普通に暮らすよりすごく安全だよ。安全ってこういうことなのかってことを肌を持って知ることができるよ!」

真横はマサコプターに見つめられて、生意気に照れてる。

「そんなこと言っても、椅子を振り回したやっぱり危ないわ!ケガするわよ」

「ケガしないように振り回す方法を教えるよ。どうだい、君たちも?」

こいつも誘うの?

「あたし達はいいわ!そんな低レベルなお遊びにはつきあってられないもの」

真横は薄笑いを浮かべると、おともの者達といっしょに教室から出て行っちゃた。


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