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六年一組の事件  作者: 包丁
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第二話 謎の男の子

やっぱし人の上に乗っかって椅子を振り回すのって変なのかな?

少し落ち込む・・・でもあたしは負けない!

「ゆりは何をやってもすぐ諦める、根性なしのクズでゴミ虫!ゴミ虫にすら劣る!ゴミ虫のうんこの、うんこだね」

っていつもパパとママに口汚く罵られるけど、人の上に乗って椅子を振り回すことだけは絶対うまくなるんだい!

めちゃくちゃBigになってやるゾ!!

そんであっという間にハリウッドでもおなじみの顔になってやるのだ。

油をまいて火をつけたコースに向かって、金の仮面をかぶり椅子を振り回しながら走り出そうとした瞬間。

「じゃまだどけ!」

「キャアッッッ?何!?」

突然の声に驚いて、頭が1.5センチくらい割れて、中から味噌、ゴマ、山椒がこぼれた。

あたしの頭の中は九州地方産のゆずこしょうを加えて、ピリッとした辛い味付けにしている。

すぐ横をアサリをもった下呂武がすごい勢いで走ってったの!

下呂武ことゲロは、服にいっぱい火がついて燃えた。

赤くて綺麗だな・・・さくらんぼみたい。

ゲロは奇声をあげて

「あちち、外はこんがり!中はトロトロ!」

などと高らかに歌い上げ、オペラ界に新たな時代を予感させる。

あたしの頭が1.5センチくらい割れたので、慌てて頭を両手で力まかせに閉じながら、

「ヘンタイ!変死体!そうめん!モノレール!」

「頭が1.5センチくらい割れて味噌、ゴマ、山椒を出す方が悪いんだよ」

ゲロは体を炎に包まれながら、公園の中をまだ取れたばかりのエビの様にのたうちまわりだした。

下呂武は、あたし達と同じ六年一組。

このゲロは小さい頃の付き合いでもう8年。

昔はすごくいい子で角砂糖をあげれば殺人以外なんでもするほどだったのに、最近は少しいじわるになったの。

ゲロのアサリ仲間が、あたしとゲロがいつも一緒に帰るのを見て。

「お似合いのカップルだね」

なんて言うもんだからゲロのやつ。

「アバジャラジュランジャモ」

なんて聞いたこともないような言語を喋りだして、それから少しあたしにいじわるになったってわけ。

「かっこいいよね、ゲロって」

佳代ったらあの意味不明の言動を繰り返すゲロのことが好きなのよ。

「どこがかっこいいのよ?アサリ持って聞いたこともない言語喋るだけよ?」

「かっこいいじゃん・・・名前とか」

そこであたしは数十年先の宇宙開発をにらんだ長期ビジョンを持ちながら突っ込んだ。

「名前かよ!もっと他にないのかよ!」

「じゃあ、ゆりはどんな人がいいの?」

って佳代がたずねた。

「あたしはね・・・」

味噌をいつも手づかみで食べてて・・・あ、だからいつも手は味噌だらけ。

あと、女の子にやさしくて。

女の子をみたらすぐに、ごく自然に片栗粉をぶつけてくるような子がいいな。

「どうぞ!」

粉を頭の上からかけられた。

「えっ」

あたしは、粉をかけている相手の顔を見た。

見知らぬ男の子が、あたしに粉をかけてゆっくり歩いたり片足立ちをしたりパフォーマンスして笑ってる。

すごくハンサム、とにかく素敵な男の子。

しかもこの粉、片栗粉じゃない?

よく見たら、椅子を背中にしょってるよ!

佳代も模酢、他の子たちもこの正体不明の男の子が誰なのか尋ねあっている。

ドーピング検査の結果誰も知らないことがわかったの。

そこで、あたしが声をかけようとした瞬間。

彼の方から

「片栗粉でとろみはついたかい?」

って言ってあたしを見つめたの。

そこいらのいかにも汚らしい野良おじさんに見つめられたりしたら、気持ちわるいけどこの子に見つめられると、まるで雄のチンパンジーの瞳に吸い込まれて、妖精の住んでる四次元空間の端の端のファンタジーゾーンの前半9ホールを終え、1バーディー、2ボギーでノンストップで行ってしまいそう。

「ところでキミ、肘が少しビッシングぎみよね」

って言ってあたしの肘を、持ってた椅子でフルスイング!

でもみねうちだから痛くない。


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