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六年一組の事件  作者: 包丁
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十五話 解決

マサコプターは犯人を引き起こしコックさんの帽子を取ろうとした。

その時!

犯人は持っていた半ケツ賢者マリモリ様の4畳半くらいのタオルでマサコプターを叩きのめして、その隙に物凄いスピード歩いて去っていった。

「待てぇぇぇぇ!頼む!おねがいします!お金なら出します」

あたし達はそう叫ぶので精一杯だった。

犯人は少し立ち止まり、こちらを見て向かってきたが考え直して歩いて行った。

あたし達は、疲れたので追うのを止めた。

膝がピリッときたのよ。

無理をすると将来後悔するからね。

諦めも肝心だよ。

「畜生!あと少しで捕まえられたのに!」

「佳代が金額を言わないからよ!」

「ごめん。今日はお金じゃなくて、ドングリしか持ってない日だったから」

「ドングリしか持ってない日ってなんだよ!?いらないだろドングリ」

あたし達が悔しがっていると、起き上がったマサコプターは浦澤さん達に4畳半くらいのタオルを20分間の格闘の末に返しながこう言ったの。

「腕が筋肉痛になったよ」

20分間の格闘でマサコプターは筋肉痛。

「え!?」

「さぁ、いこう」

マサコプターは軽く笑うと、昨日の夜からポケットに隠していた牛肉や豚肉を軽く投げた。

意味はない。

佳代は拾って食べていた。

卑しい。

あたしは・・・舐めた。

舐めただけよ。

そして、あたし達はマサコプターの歩くあとについていった。

「ここは・・・」

いつも椅子を振り回す、あの空き地!

幻覚じゃないよ!

「あ!あのバッタがいる!」

痩せた顔にメガネかけた、バッタみたいなお兄さんが空き地で黒いホットパンツとタンクトップ姿で、空を見つめていた。

完全にバッタスタイル。

今年はこのスタイルで決めろ。

「そうか、あいつが犯人だったんだな!」

ゲロはすぐにバッタにむかって走って行った!

止まって、また走った。

フェイントだ。

「おまえらは!?」

バッタ兄さんはピョコンと飛び跳ねた。

「シュッシュポッポ!!」

「え!?なに?」

ゲロが意味不明な言動すると、バッタ兄さんは顔を上向きにして口を開けたまま呆然。

「待て、ゲロ!そいつじゃない!・・・いや、やれ!やっちまえ!」

「え!違う?・・・え!?やっちゃっていいの!?」

「そいつは犯人じゃない!でも、気にいらないから」

「いや、犯人じゃないならやっちゃダメだろ!」

「模酢!とりあえずやってみようよ!違ったら違ったで、いいから」

「よくないだろ!」

「とにかく、そいつは犯人じゃない」

マサコプターの言葉に、あたし達がびっくりして振り返ると。

「どうかしたの?」

尾田悦子がヒザ上20センチのピンクの超ミニに「潔白」と書いた白いシャツで現れた。

マサコプターはそれを見て

「もうコックさんじゃないの?」

「ええ!?尾田さんが!!」

あたし達はもう混乱して、アスファルトをペロペロした!

「まさか尾田さんが犯人だって言うの?」

「みんなから信用の厚い優等生の尾田さんが?あの世界の尾田さんが!?」

「尾田さんは世界だよ」

「意味がわからないよ!なんだよ尾田さんは世界って!」

尾田さんも。

「何?そのコックさんて?ワタシチガウ!コックチガウ」

「なぜ、かたこと!?」

どう見ても犯人には見えないけど・・・。

「犯人の条件。料理ができて、なおかつ椅子に乗るのがうまくて、家を七時ごろ出ても何も言われないヤツ」

「・・・尾田さんは別にその条件満たしてるかどうかわからないじゃん」

「そう!だからもう、これは忘れよう」

「忘れるのかよ!」

忘れた。

「犯人は僕らのせいにしようと、最初にコンソメにクリームを混ぜたソースをかけ、二回目に菊山の頭にくっついているフードプロセッサーをとったろ」

「それがどうしたの?」

「別に特に理由はないよ。ただ言ってみただけ」

「言ってみたかっただけかよ!」

言ってみただけ。

名探偵の推理は大体、言ってみただけ。

「あっそれならあたしも言ってみたい。ガムテープ」

あたしも言ってみたくなっちゃった。

「意味がわからないよ!?今、それ言う必要がないじゃん」

「そうなったらあたしがもう一回言うしかないでしょう。もしかしたらそれが一番おいしいかもね」

「それ、こないだも言ってたろ!おいしいとか意味わかんないんだよ!」

「おっと怖い怖い」

あたしと佳代は薄ら笑いを浮かべた。

「あたしが犯人って証拠なんて一つもないじゃない」

マサコプターはポケットから牛肉や豚肉を出した。

「僕、さっきコックさん取り押さえた時、そいつのふくらはぎに牛肉や豚肉を二キロ縛りつけといたんだ。ちょっと後ろを向いてふくらはぎを見せてくれないかな」

尾田さんがゆっくり後ろを向くと、ふくらはぎに牛肉や豚肉が二キロくっついていた。

そんな小さな目印を何気なくつけるなんて!

「いや、二キロの牛肉や豚肉がふくらはぎについてたら、普通気がつくだろ!?むしろ気がつかない方がおかしいだろ」

あたし達は尾田さんを見つめていた、変な顔で。

なんで 尾田さんがこんなことをしなきゃいけなかったの?

あたし達はなんで変な顔をしたの?

もう、何がなんだかわからない。

「あたし、昔から椅子を振り回すのが得意だったの」

尾田さんがポツリと言った。

「尾田さんが椅子を振り回すのが得意だなんて・・・おまえ本当に尾田さんかぁ!?怪しいな、偽者なんじゃないか?あぁぁぁん。そう言う偽者が出てくるんだよなぁ尾田さんみたいな有名な人となると」

あたしは尾田さんを睨みつけた。

有名人には偽者がつきもの。

有名人にたかるハイエナ。

「なんで俺達と一緒に椅子を振り回さなかったんだよ!俺たちがすごい底辺の人間だからかい?ごみ虫だからかい?」

とゲロ。

「あたし達はごみじゃない!」

「ゆりの言うとおり!」

佳代は少し怒っている。

「虫だ!」

「ゆりの言うとおり!」

「ゆりも、佳代も何を言ってんの!?全然、違うよ!

尾田さんは笑いながら泣き。

「パパやママがもう椅子を振り回すのは辞めて勉強しなさいって」

「尾田さんのパパとママは、本当のパパとママ?」

「質問が重過ぎるだろ!?って、今は関係ないだろ!」

「椅子を振り回すのを辞めたわ・・・でも本当は椅子を振り回したかったのよ!それなのにあなた達は・・・」

「だったらはっきり言ってくれればよかったのよ!椅子を振り回さないでって!」

佳代が言った。

「佳代・・・関係ない話はやめてよ」

「ごめん」

「いや、謝らなくていいよ!関係ある、話してたよ!」

「僕たちを罠に落として、椅子を振り回せないようにするなんて酷いよ!汚らしいよゲロは!あと臭いし、馬鹿野郎だよ」

マサコプターのゲロへの怒りは凄まじかった。

私を含めて、みんながこの気持ちは一緒だ。

「ごめんなさい」

尾田さんはただ笑いながら泣き崩れている。

「もういいよ」

ゲロがそう言葉をかけると尾田さんはまた爆笑して涙。

あたし達は黙ってしばらく立ち尽くした。

尾田さんは翌朝、職員室の本多先生にすべてを告白しにいったの・・・嘘をまじえて。

話を聞くと本多先生はみるみる顔色をビリジアンに変えた。

「なんということだ・・・!?」

「どんな罰も受けます。ゲロが」

「尾田悦子・・・お前達このことは皆には内緒だぞ。みんなが動揺して、不安になるといけないからな。少ないけどこれを」

って本多先生が現金をあたし達に渡し口封じ。

現金にはかてないですよ、げへへへへ。

「僕たちの時とはすごい違いですね」

刃物のような物を出してみんなで本多先生を責め立てた。

本多先生は渋い表情で。

「ばーか!」

っと言って頭を下げた。

まぁこれくらいで許してやるか。

そんなわけねーだろ。

本多先生に約束させられたし、これ以上尾田さんを追い詰めたくなかったから結局コックさんの正体はあたし達だけの秘密になったの。

濡れ衣の方はあの時、劇場にいた浦澤さん達が犯人はあたし達5人とはまったくの別人と証言してくれたおかげでもう大丈夫。

菊山の頭にくっついているフードプロセッサーは、男子便所に投げ捨てておいた。

菊山は男子便所でフードプロセッサー見つけたら事件のこと忘れて、男子便所で野球をしてる。

事件も終わって、これで晴れて椅子を振り回せるってわけ。

でも。

「あたしのこと気にしないでもいいわよ。絶対に、絶対に」

だなんて尾田さんが寂しそうに言ったこともあって最近は、めんどくさくて椅子を振り回していない。

人の気持ちのわかるあたし達。

放課後。マサコプターの席にハエのように集まって。

「最近椅子を振り回すのにも飽きちゃったよね」

「じゃあ、椅子じゃない物を振り回せばいいじゃないか。椅子にこだわる必要なんてないんだから。僕たちは振り回せる!これが重要なんだ、何を振り回すかはたいした問題じゃないんじゃないかな?」

マサコプターが言えば、ゲロも。

「そうだよな。俺たちは振り回せるんだ!振り回す物を探し続ければいいんだよ」

「あ!?うるせーよ!おまえに言われる腹がたつんだよ!迷惑防止条例違反で県警に捕まれ。あと、木っ端微塵になれ」

マサコプター、素敵。

元気いっぱいの5人組み、今度はどんなことにドキドキわくわくできるのかしら。


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