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六年一組の事件  作者: 包丁
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第十話 パトロール

「よし!やってやろうじゃないか!・・・ばかぬかせーっ!?」

マサコプターは言った。

「やるのかやらないのかどっちだよ!」

「自分の胸に聞いてみろ!」

「私の!?なんで!」

「野球はできないわよ!野球なんてしたら命がいくつあっても足らないもの!ねえ、そうでしょみんな。一塁で殴られ!二塁で刺され!三塁で押しつぶされ!四塁で時間が逆に動き出す!五塁(季節と秩序を司る女神)でスピニング・チョーク」

佳代は今にも泣き出しそう。

「どういう競技だよそれ!?」

「そうよ!それじゃ相撲じゃない」

「相撲はそんな競技じゃない!」

あたし達が野球なんかできるわけないじゃない!

第一ルールとか全然わかんないし、ボールとバットの意味がわかんないし。

あたし達は公園のベンチに座った。

「あいつらしかいないんだ!野球でたたきつぶしてやれば自白するよ!やらせてくれよ!たのむよ!」

「あいつらが犯人って証拠はないんだよ!いつまでも同じことばかり言うな!テメーの口に札束ねじこんで黙らせてやろうか!」

どんな時でもマサコプターは冷静、お金を持ってるという心の余裕なのかな?

「それじゃあ、あの痩せた顔にメガネかけた、バッタみたいなお兄さんは?バッタみたいだから。むしろお兄さんみたいなバッタ」

いくらなんでもバッタがそんなことするわけないわ。

そんなことしたら大昆虫ブリンドル様にゴングと同時にタックルで倒されて、すぐに腕を極められちゃうわよ。

「じゃあ、犯人はだれなんだろう?」

でも菊山でもバッタでもないと犯人はいったい誰?

「偶然通りかかったコックさんがやったって可能性もあるよね。そうなると捕まえるのは難しいな」

あたしと模酢はガックリと肩をおとした、家族の命と引き換えに。

「じゃあ、コックさん見つけたら吹きとばしてやろうぜ」

「吹き飛ばす?」

あたしたちが驚くと、ゲロは得意そうに

「そうだよ、コックさん見つけたら手当たり次第に皆殺しにするんだよ。そうすればいつか犯人をとっちめられるはずだよ」

発想が殺人鬼。

「日本中に何人コックさんがいると思ってんだよ!10人以上はいるんだぞ!お前はお金やるから喋るな!口を開くたびに臭い息が俺にかかって不愉快なんだよね」

マサコプターってなんて頭いんだろ、ゲロが口を開かなければ臭い息がかからなくてすむもんね。

「そうだパトロールしようよ」

佳代が言った。

「スーパーマーケットをパトロールだ」

ゲロが叫ぶ。

「なんで!?全然関係ないだろ!」

「万引きとかあるかもしれないし」

「今は関係ないだろ!真横がやられた周りをパトロールだろ」

「うん。今のところそれしかないみたいだね」

あたしはゲロを蹴り飛ばして、言った。

あたし達は学校が終わったら暗くなるまでは椅子を振り回して、そのあとみんなで勉強するって言ってパトロールにでかけることにしたの。

そんなわけで。

この夜から、こないだ真横が被害にあった周りをパトロールすることになったの。

ありの子一匹逃がさないんだから。

空き地から飛んでダラダラ帰って、晩御飯食べて、口からボロボロこぼしてまた飛び出していくあたし。

で、コックさんなんだけど・・・普通の人はいるけどコックさんとなるといないんだよね。

毎晩、コックさんを探して道の真ん中でクルクル回ってるんだけどな。

コックさんどころかコックさんの帽子すらみつけられない。

あと、財布も見つけられない。

いつになっても見つからないなあ、なんて考えながら歩いていると・・・前の方を菊山達が歩いていくのが見えた。

気にいらない後頭部してるな。

「ぐえええ」

鼻をラジオペンチで潰した時のような声が。

そして椅子を馬のように乗りこなすような音。

「まて、俺の頭にくっついているフードプロセッサーを取るんじゃねー」

菊山のうめく様な声。

ひょっとして犯人は真横にコンソメにクリームを混ぜたソースかけたのと、同じヤツじゃない?

ピントひらめいたね。

あたしはすぐに椅子に乗り込み。

「待てー!」


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