第一話 椅子を振り回して
初めまして。あたし、山見ゆり。
歳は爆音と白煙とともに11歳、もち人間で言うとね。
生卵で言ったら、11年だから完全に腐っているわね。
中の部分がもう想像絶することになっているはず。
もうそこには人々が簡単に見ることのできない小宇宙が形成されたり、ビルが形成されたりしているはずなの。
それをふくめて、あたしは小学校6年生。
B型蟹座、蟹の種類は宇宙革命蟹、この蟹はあたしがついこないだ作った想像上の蟹。
宇宙革命蟹は人の手で育てられたため人懐っこい、アライグマ。
もちろん著作権は「ホウ~!」の奇声とともに主張するよ。
ハサミはすごいパワー!
横綱!!
ブルドーザーでもかなわない!
小さめのおばあちゃんぐらいなら、土星までブン投げる!!
味は衣がサクットしていて中身はサクットしている、結局どこをとってもサクットしている、性格も比較的サクットしてる。
でも怒るとパワーが10倍になって怖い!
それをふくめてあたしの背はクラスで真ん中あたりかな。
ここはあたしの住んでいる、目やに団地の近くにある公園。
じつは今ね、椅子を振り回していたところなの。
親友の水野佳代と寺鹿模酢といっしょにね。
「ちょっといいかげんにどいてよ!」
そう言って、あたしのことを椅子でぶん殴ったのは佳代。
さっきからあたし、佳代の体の上に椅子を置いて座って、なおかつ椅子を振り回していたのよね。
偶然なんだけど、たまたま公園の中で佳代が寝ていたから、そこに椅子を置いて座って椅子を振り回していたの。
もう、すごい佳代の上って座りづらくてどうにかしって感じ。
「重いじゃないの!少し太ったんじゃない?」
佳代はO型の水瓶座、目がごばっとしたかわいい子。
椅子で殴ったり、火をつけたりするとすごく怒るのよ。
でも誤解しないで、すごくやさしいい子なの。
そんなに太ったかな?
そういえば少し太ったような気もする・・・
朝起きたら冷たくひえたサラダ油を一気飲みでしょ、朝食は軽くゴルゴンゾーラチーズを体重の半分食べるでしょ。
お昼はゴルゴンゾーラチーズとサラダ油を混ぜた物。
これだけだと少し味がしつこいからミントのガムを混ぜる、どれくらい混ぜるかはお好みで。
できた物が、あたしのお昼ごはん。
夕飯は、さすがにサラダ油は飲めないのでマーガリン3個とバター6個を溶かして一気飲み。
あとはゴルゴンゾーラチーズを好きなだけむしゃぶりつくわけよ。
うーん太る理由がわからないなあ。
むしろ痩せていってもいいくらい、がりっがりにやせてもいいくらい。
なんで痩せないの!
納得いかないから裁判で徹底的争っていきたい。
でもだれを訴えたらいいのかしら?
太っているあたしをあたしが不服として訴えるわけだから、自分を訴えるわけで・・・まぁ納得いくまで争うわよ。
「さっきから何、二人で変なことやってるの!?」
そう言って突っ込んだのは模酢。
模酢はA型の牡牛座、背が高くて美人。
とにかく突っ込みまくる。
はっきり言ってこの人がいないと話がまったく前に進んでいかない。
「変なことって何よ!公園で、人の上で椅子を振り回すことが変なことだとでも言うの?」
言い返すと、
「十分すぎるほど変だろ!なんでそういう事態になるのか想像つかないもん!?」
そんなこと言われても、すごく自然な流れでそうなっていったんだもん。
佳代が寝ていたら、その上で椅子振り回す過激な破壊行為するきゃないじゃん。
もしかして椅子の振り回す角度が悪かったのかしら?
あたしって椅子を振り回すときどうしても癖で、右ひじがさがっちゃうからそれの関係で模酢は言ってるかしら?
「わかったわよ、模酢。右ひじの角度が変ってことなんでしょ」
「違うよ!?椅子を振り回すことだよ!」
「それは変じゃないでしょ。ねぇ、佳代」
「それは変じゃない」
あたしも佳代もうなずく。
「そこを認めないの!?そこは認めようよ!」