第9話 痛みレベル:★★★★★★★★★★★
【痛み、苦しみレベル】
表現方法:★☆☆☆☆
【目安】
★1=深爪、引っかき傷
★2=歯が染みる(虫歯C2レベル)、どこかに体をぶつけた、風邪
★3=虫歯(虫歯C3レベル)、捻挫、骨のヒビ、インフルエンザ、乗り物酔い
★4=骨折、麻酔無しの縫合、骨を折りながら殴る、帯状疱疹、バット折失敗
★5=新型コロナ、全身麻酔が切れた手術後、ギックリ腰、金的攻撃
【かかりつけ内科 15:00】
俺は15:00にかかりつけの内科に行き、事情を説明した。
もう痛すぎて上手く説明できたのか半信半疑だが、とりあえず、こちらの要望は伝わった。
そして看護師さんが俺を呼ぶ。
「松岡さーん」
(ついにこの痛みが緩和されるのか!)
「ふぁい……」
俺は情けない返事をしつつ、よろよろと立ち上がろうとすると、看護師さんが俺を制止する。
「すみません。今、抗生物質が不足していて、当院で点滴が打てないんです」
「……ふぇ?」
「コロナのご時世で、今は大きい病院しか無いんです」
「ほ、ほうでふか……」
地獄に突き落とす、望みが絶たれたとはこの事だろう。
やっと掴んだはずの一縷の望みが絶たれた。
「その代わり、診察で総合病院への紹介状を書いて貰いますので、一度先生に診てもらって下さい」
「ふぁい……」
どれくらい時間が経過したかは分からないが、診察室に呼ばれ入室して即座に先生が言った。
「おぉ!? こりゃ酷い! 顔がパンパカパンだね! 歯周炎って言ってたけど、蜂窩織炎もあるね。顔に赤みが入って凄い腫れてるからね」
「ほーかしきえん……?」
その時は蜂窩織炎がどんな病気か知らなかったが、上述の通り、バイ菌が原因の病気である。
その腫れのレベルはと言うと、例えば、読者の皆様が眼球だけで下を見ると、うっすらと鼻の頭の影が見えると思う。
その鼻の右隣にもう一つ山が見えるのだ。
それぐらいに腫れていたのだ。
右顔だけアンパンの戦士の様だった。
「総合病院の内科と皮膚科に紹介状を書くので、明日の朝イチで行って下さい」
「ふぁい……」
俺は、滝の様に流れる汗を拭きながら、家に帰宅した
実はこの汗も異変で、家にいる時はエアコンと扇風機で過ごしていたが、一歩部屋を出ると滝の様に汗が流れ落ちる。
今は夏で異常気象の酷暑だから、とかそんなレベルではない。
ボタボタボターっと、大粒の雨でも降ったのかと思う程の汗なのだ。
ともかく、俺は今日何とか痛みから解放、あるいは和らぐと思っていたのに、その望みは絶たれて帰途に就いた――
勿論寝られない。
時計を何度も見るが、5分が1時間に感じる。
こんな現象をイグノーベル賞で何か表現されていないか調べたが、特に何も無かった――