第一章 ひび割れ(2)
東京へ上京したかった私は高校の就職枠で大手企業の工場へ就職したものの
あまり自分に合っていなく、そんな時にケガをし作業場に立てなくってしまった私は
治療中にした事務作業がとても楽しくて事務の出来る部への部署異動を願い出た。
工場の事務には空きが出る事がほぼなかった為、思いきって1度目の転職をした。
転職先の本社はそこそこ大きいが、支店の臨時のアルバイトでの採用。
事務員は私1人で忙しかったけれど、本社の事務員さんが助けてくれたりと、
とても私には合っていて働きやすい職場だった。
支店長は仕事にとても厳しい人で、パワハラになるのではと心配する時もあったほどだ。
それでも私を含め、良い職場だと思えたのは社員とその家族を大事にしてくれたから。
工場勤務だったので相手にしていたのは機械、そこから人対人。
電話をとれば、相手先を聞き取れずそのまま営業さんへまわしてしまったり
「折り返しお電話下さい。」と言われたのに折り返し先を聞き忘れたりと
初歩的なミスは全部したのではないだろうか…
とにかく怒られ毎日泣きそうになる日々だったけど…それ以上に楽しく仕事が出来た。
早く仕事を覚えるために終電になる事も。
そんな私の仕事をきちんと見てくれていた支店長や社員の人達が本社へ交渉し、 アルバイトの私を正社員にしてくれ、前職で知り合った夫とも結婚もし、
子供も2人授かり、仕事しながらの子育ても苦痛に感じず毎日が充実していた。
このままずっとここで働いているのだと思って何も考えずに過ごしていた時
支店長が体調を崩した母親の世話をする為に仕事を辞め実家へ帰ることになり、
本社判断で支店が閉鎖される事になってしまった。
ーーここで私の心が壊れるための小さな石が投じられたーー