慌ただしい朝
ちょんちょん
あー。
ちょんちょん
もう少し………もう少しだけ……………
・・・だよ
俺は………二度寝をするんだ……………
・・・もう朝だよ
だから二度寝…………朝ッ!?
ガバッ
急いで時計を見る。6時30分。
やっべ、寝坊したっ。アイツらが来るまであと15分しかねえ。二人とは家が隣なのでその中で最も学校から遠い玲斗が、涼花、俺と回収して学校に行く。
「起こしてくれてさんきゅ、アリス」
「……ん」
そっと頭を差し出してくる。
なでなで
アリスは気持ち良さそうに目を細める…………ってこんなことしてる場合じゃねぇっ。
「ちょっ、アリス向こう行ってて着替えるから」
「……ガイアの着替え、見る」
……見る、っじゃねえよ!!こっちはなかなかピンチなんだよっ!!
渋るアリスを部屋の外にぺいっとして高速で着替える。その間は朝食何にしようとか考える。結果。
「アリスは自由に飯食ってくれっ、俺はパン買ってくからっ」
「……ん、いってら」
小さく手をふるアリスに手を振り返してから急いで家を出る。
ガチャ
ゴンッ
あれ?なんか当たった気が………
「おはよっ、愛ちゃん」
目の前にはきれいな黒髪をした美少女、涼花。そして
「頼むからもう少しゆっくり開けてくれ」
額を抑えながらよろよろと立ち上がる玲斗がいた。さっきの鈍い音の正体はこいつか。
とりあえず、
「おはよう、二人とも」
高校生活も2年目になって朝の三人での登校もだいぶなれてきた。進学、進級してから一ヶ月ほどは奇異と嫉妬の視線がすごいからな。もうそろそろ5月も終わるし、この視線も収まってきてもいい頃なんだが。
「せんぱ〜いっ、先輩先輩センパイッ」
俺たち3人の方に全力で走りながらやってくる人物が一人。そいつはいつも俺に飛びかかってくる。玲斗でも、涼花でもなく、俺に。主にコイツのせいで未だに俺は変な視線にさらされている。
ヒョイッ
「あーっ、なんで避けるんですかー!!!」
「いやだって受け止めると痛いし。それに」
そう言って横を見ると、
「凛ちゃん?ちょっとお話しない?」
背中に般若を背負った涼花が立っていた。
「げっ、涼花先輩!?いたんですかっ!?」
「ずっといたよ?そんなことより、お・は・な・し、しない?」
涼花先輩がどんどん笑顔になっていく。正直隣で見ている俺も怖い。何よりその満面の笑みの中で目が1ミリも笑ってないのが怖い。
「じ、じゃあ先輩、失礼しまッ」
ガシッ
「ど・こ・に・いくのかなぁ?」
絶賛ニコニコタイム中の涼花先輩は逃してくれないようである。
「せ、先輩?た、助けてくださいよー?」
「すまん無理」
涼花が怖すぎて。これは俺でもわかる。口を出しちゃいけないやつだ。
バッ
サッ
凛が最後の望みをかけて玲斗の方をみるが、一瞬で目をそらされる。
その後、彼女の姿を見たものはいなかった。
「勝手に殺さないでくださいよっ」