カテリーナのデビュタントで心奪われる
私の学園での茶会の誘いを断り、マドレーヌの茶会に参加したと言うカテリーナ。
カテリーナが気軽に茶会に来れるように新入生を全員招待したのに…何故来ない。マドレーヌに敗れるとは……
私の婚約者候補二人がそんなに仲が良かったとは…元だけど……
カテリーナの学園生活を覗き見していると、とても……愛らしい部分が目に付く。
当番で授業の資料を教師に頼まれ、運ぶ際に前が見えなかったのか、段差に躓くカテリーナ。これには肝を冷やした……
中庭の花壇で花を眺め、庭師に綺麗な花を育ててくださってありがとうございますと声を掛けるカテリーナ。肩に蝶が止まった……
小さな口で一生懸命咀嚼し、美味しそうにランチを頬張り、食後に甘いものを食べ、笑顔になるカテリーナ。幸せそうだ……
図書館で本を読んでいて、窓から入りこむ日差しが心地良いのか、うとうとと微睡むカテリーナ。良い夢見ろよ……
その姿を見て可愛いなぁ……癒されるなぁ……と思っているといつも、あの義弟がそばにいる!
躓くカテリーナを抱き留める、中庭ではカテリーナの後ろからパラソルをさす。
ランチはいつも一緒に取っているし、図書館でうとうとするカテリーナに肩を貸す……なんなんだ!
あいつは! 弟の皮を被った狼(男)だ!
教室に入ると男子生徒が惚けたようにカテリーナの名前を口にしていた。
どうやら剣術の授業の後片付けで、うっかり指を切って血が出ていた男子生徒を、たまたま通りかかったカテリーナが、心配してハンカチを巻いてくれたのだそうだ。
良い香りがしただの、顔も声も美しいだの、優しさに胸が熱くなっただのと言っている。
「おい、それは恋か?」
男子生徒に素直に聞いてみた。威圧ではない。
「ひぃ……殿下っ!」
「怒らないから、教えてくれ、お前のその気持ちは恋か?」
困った顔の男子生徒は、恐れながらも
「……はい、恋をしました」と言った。
そうかそれなら私のカテリーナに対するこの感情は恋と言うものかもしれない……
婚約者候補……などぬるいものではなく婚約者として発表しても良いのかもしれない。
あれ? 元だったか……?
来週のカテリーナのデビュタントは隣に居たい……令息を可愛いカテリーナに近づけたくない、そう思い手紙を出した。
返事が返って来た。まさか……断られるとは思いもしなかった……
パートナーは恐らくブラッドまたしても邪魔をしてくる。
仕方がないので当日ダンスに誘う事にしよう。
デビュタントで、会場に入ってくる令嬢達、白いドレスがとても初々しいものだ……
王族の席に座りカテリーナの登場を待つ。今年のデビュタントではカテリーナが一番身分が高いので登場はラストだった。
ストロベリーブロンドの髪を編み込みハーフアップにして緊張した様子で登場するカテリーナを令息達が息を呑んで見つめていた……
なんだ? カテリーナはこんなにも美しかったか……? あんなに近くにいたのになぜ今頃になって……動悸が激しくなり胸が苦しい……
まるで雷が落ちたような……全身に鳥肌がたっている。
あぁ……君の一生に一度のデビュタントでのファーストダンスを共に踊りたかった……無念!!!
両親と共に両陛下に挨拶をするカテリーナ……笑顔で受け答えしている様子もまた可愛い。
「ウィルフレッドの婚約者候補から外れたのは残念だわ……もう一度考えてくれない?」
王妃である母上が残念そうに言うと、周りがざわついた……
母よ……なぜこのタイミングでそんな事を言うのだ!
皆に知られたではないか……くそっ!
自分が言ったことなのに………後悔しかない!!
悔しさが残るがダンスの誘いに行こうとカテリーナを探すと、カテリーナの周りを令息達が取り囲んでいた。あれだけ可愛かったらそうなるよな。
初々しいし、婚約者もいない……
くそっ……!
カテリーナが困った顔をしている!
ここは王子の登場で姫を助ける……ロマンス小説によくあるパターンだな!
ここでお互い恋に落ちる! よし行くか。
カテリーナに向かい歩き出す。準備はオッケーだ。
「リーナ具合が悪そうだ、一度外の空気を吸いに行こう、失礼します」
ブラッドがカテリーナを連れ出した。
またあいつか……!!