俯瞰で見たカテリーナ
~ウィルフレッド視点~
新入生の入場だ。
可愛い子がいると良いな……
私の恋の相手がいるかもしれない。
一目惚れとか、憧れるよな……
まずは令嬢達の入場から……そういえばカテリーナも今日が入学式か……
婚約者候補から外れてからカテリーナに会っていないな……まぁ元気だろう。
新入生の令嬢は制服というものを着慣れていないので、とても初々しい。
知っているか? 皆同じ服という事は、それだけ服装に個性がないという事だ!
普段煌びやかなドレスや宝石をジャラジャラと着けているときは、全体の雰囲気で可愛いだの、美しいだの思う事も多々あると私は思う。
制服を着ていて目立つということはだな、とても可愛いか美しいかのどちらかだ。
二十名ほどの新入生の中にカテリーナは埋まってしまって分からないのではないか? など失礼なことを思っていた自分を殴ってやりたい!
ストロベリーブロンドのサラサラの長い髪の毛、恥ずかしさからか頬をピンクに染め、垂れたヘーゼルの大きな瞳がなんとも言えず、庇護欲を掻き立てた……
飾り気のない学園の制服を着て、これだけ可愛いなんて! 今まで私は一体何を見ていたんだろう……情けない。
義弟を見て笑顔を見せるカテリーナに胸がギュッと押しつぶされるような感情が湧いてくる。なんだ……この気持ちは!
その後カテリーナと目が合ったが、知らないふりをされた……義弟との態度の違いにイラッとしてしまった。
教室に戻り友人達との会話を楽しんでいると、皆が新入生で一番可愛いのはカテリーナだと言っている。
たしかに……カテリーナが一番可愛く、輝いていた。
「あれ? カテリーナ嬢と言えば殿下の婚約者候補ではありませんでしたか?」
級友が言うと、事情を知る友人達がそれとなく話を逸らしてくれた……ありがたい。その後もカテリーナが、可愛かっただの、可憐だの、話をしたいだのと言う話が聞こえてきたが、ボォーッと窓の外を見つめ上の空だった……
「可愛かったな……」
ポツリと呟いた後にマドレーヌと目が合ってしまった……
その後ランチを取るために食堂に行くと、カテリーナが義弟とランチを取っていた……
こっちに気がつきもしない!
美味しそうにケーキを食べるカテリーナ、口の端にクリームを付けて……可愛いじゃないか!
おい! 義弟何をする! カテリーナの唇に触れるんじゃない! クリームを舐めるな!
だめだ! 見ていられない。
義弟といえど、血の繋がりはとても薄い=他人の男。
カテリーナに近づきすぎだろう、あいつは危険だ! 十五歳のくせに大人びてやがる。カテリーナは私の婚約者候補だぞ! それを知っての行動か!
よし! 明日カテリーナをランチに誘ってみよう。久しぶりに私に会うのだからついでに学園を案内してやろうと思い花束と手紙を侯爵家に送った。
その後返事が届いた。
人違いではありませんか……だと?
私がカテリーナを間違えるわけないだろう!