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ブラッドの日常

朝はリーナと学園に行く。最近は馬車を降りるとマドレーヌ様の姿をよく見かける。



「あっ! マドレーヌ様だ」



 リーナが言うので、心臓が跳ねた。緩めていたネクタイを締め直した。服装の乱れは心の乱れとか言うから……



「あら? おはようございます、カテリーナ様、ブラッド様。本日も良いお天気ですわね」


 朝から笑顔が眩しいマドレーヌ様だった。



「「おはようございます。マドレーヌ様」」



 リーナとハモるように挨拶をする。マドレーヌ様のお顔を朝から拝見すると、今日も一日が、良い日になりそうな気がした。


 すると後ろから


「おはよう、カテリーナ! 良い天気だね」



 バカ王子が声をかけてきた。これは慌ててこちらに来たに違いない。

 バカだからカテリーナしか見えていないんだろうな……。なんだか胡散臭い笑顔だ……。




「あら、殿下おはようございます」

「おはようございます」



 無視してやろうかと思ったけれど、マドレーヌ様が大人対応をするのでそれに倣って挨拶をした。


「おはよう、諸君!」


 そう言ってリーナにまた、話しかけ始めた。リーナはつれない態度を取っていた。

 少し距離を詰め過ぎたと思い、邪魔をしてやろうとおもったのだが、


「ここは静観しておきましょう。カテリーナ様の対応を見てください。面白いですわよ?」


 僕の腕にそっとマドレーヌ様の細くて美しい手がかかる。腕が固まる感覚を覚えたけれど、どきどきと心臓の音が煩い。


 マドレーヌ様が僕に触れた……それだけなんだけどね。




「はい、マドレーヌ様が仰るのなら」



 一歩引いてリーナとバカ王子の会話を聞いていた。



「カテリーナ今日は良い天気だね」


「そうですね」


「今度さ、有名な楽団が王都に来るんだけど一緒に行かない? チケットを取っておくよ」


「結構ですわ。お誘いするお相手を間違えてらっしゃいますわね」


「……一緒にランチを」


「致しません」


「……お茶だけでも」


「殿下の邪魔は致しません」


「あの時のことを謝らせて欲しいんだけど……」


「何のことか分かりかねますので、結構です」



 リーナは余所余所しい作り笑いをしていた。








「ね? 楽しい会話でしょう?」


 にこりと笑うマドレーヌ様


 リーナはバカ王子にはこう言う態度なのか! 塩対応と言われる態度の初めて見るリーナの姿に思わず



「はははっ。これは……」


 目に涙を浮かべて笑ってしまった。


「カテリーナ様はあの後から殿下への態度は変わってしまわれたの。こんな姿を見られるのも悪くありませんでしょう?」


「候補の時はどんな感じだったのですか?」


 バカ王子と一緒にいる姿を見たことがなかったから聞いてみた。


「可愛らしくて素直でいつも笑っておられましたわよ。殿下もずっと楽しそうにお話をされていましたのよ」



 なるほどな……。やっぱり王子はバカなんだ。



「マドレーヌ様と殿下はどう言った関係性だったのですか?」


 失礼なのかな? 答えてくれなくても良いかも。聞きたくないかも……。



「殿下は良くも悪くも幼馴染ですわね。そうですわねぇ。友人と言った関係がしっくり来ますわね」


 ふふっ。っと笑われた。


「そうなんですか……」



 何だろな。ほっとしたのはバカには勿体ない方だからだろう。



「殿下と恋愛は100%あり得ませんわね。婚約者候補から外れて嬉しかったのですもの。ふふっ、内緒ですわよ」




 人差し指を口につけてウィンクするマドレーヌ様。そんな仕草一つをとっても可愛らしくて心臓がバクバクと煩い。



 

 


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