オーウェン編最終回
~オーウェン視点~
社交シーズンは至る所でパーティーが、行われる。私のパートナーであり婚約者となったカテリーナは学生だから、頻繁に連れ出す訳にも行かないし、正直私も行くべきパーティー以外は行きたくない。
カテリーナと言う婚約者がいるのに、公爵家の嫡男と言うだけでウケが良いのか、香水臭い令嬢が寄ってくる。あぁうんざりだ……
一方カテリーナの元へも令息達は寄ってくる……が、そこは公爵家という身分をフル活用、ひと睨みすると蜘蛛の子を散らしたように逃げていく姿を見ながら、なんともなさそうに近寄ってくる者が……
「マドレーヌ様、ブラッド!」
カテリーナが嬉しそうに二人の元へと行く
最近この二人は良く一緒にいる。
どうやら婚約をするらしい。
宰相の家の養子でカテリーナの義弟、出身は裕福な子爵家でクリーンな男だ。
顔もいい頭もいい。兄としてはマドレーヌの嫁ぎ先に文句はない。
家同士がしっかりタッグを組む形になるので、更なる安泰が期待される。
ただ、兄として面白くないだけ。男なんてこんなもんだろう……だがマドレーヌが楽しそうなので、この男しかマドレーヌを頼めそうなのは居ない。
あのバカなんてもってのほかだ。
噂をすれば……
「あら殿下、こんばんは」
「殿下、ご機嫌よう」
マドレーヌとカテリーナが淑女の礼をする。
私とブラッド君も殿下に挨拶をした。
「カテリーナ……なんでオーウェン殿と婚約をしたんだよ…私を見捨てるのかい?」
ちっ。挨拶するなりこれか……
「マドレーヌもブラッドと……はあっ嘆かわしい」
ブラッド君を見ると明らかに面倒臭さそうな顔をしていた。
「殿下お言葉ですが、あなたが婚約者候補から外したんですからね!」
「それはマドレーヌが外せと言ったんだろう……私は昔からカテリーナが好きだったのに、それを知っていながら教えてくれなかったじゃないか! 卑怯だ」
「……殿下こんなところでする話ではないでしょう? 人に聞かれたらあなたの評判にも関わりますよ。ほら僕達に挨拶はすんだのだからいいでしょう? あなたと話をしたい人たちが待ちかねてますよ?」
ブラッド君、口数は少ないのに言うことは言うんだな、見直したよ
「ブラッドめ! 行きゃ良いんだろう! カテリーナ一緒に行かないか?」
手を取ろうとするバカ。
「殿下はやく、恋をしないと手遅れになりますよ?」
カテリーナはにこりと笑いながら私の手を取ってきた。グサッと刺さる一撃だろう
悔しそうな顔をするバカの顔見るのは悪くなかった……カテリーナなんと可愛い事を……。
答えるようにカテリーナのこめかみにキスを落とした。
「そうだね、殿下も早く恋をしてくださいね」
「くっ…」
肩を落としながらも恨めしそうな顔をするバカ。
四人で満面の笑みをバカに返してやった。
【おわり】
本編では殿下と元さやと言うことで他サイトで不満の声を多々頂きまして、オーウェン編を公開する事になりました。どちらが好みかはとても分かれましたww
今後ブラッド×マドレーヌ編と言うのもありまして、近々編集してから公開していきたいと思います。