マドレーヌの思惑
~オーウェン視点~
あれからニ週間経った。マドレーヌにカテリーナの様子を聞いてみた
「カテリーナ様ですか? ぼぉ~っとしていらして、何かあったのは確かですよね? 殿下が声をかけても話を聞いてなくて、おかしくて笑っちゃいました。殿下はショックを受けていらしてね、ざまぁというやつですわね。今更ですもの。ね! お兄様」
「そうか。元気なら良いんだ」
「それで明日はおうちでお茶会を開く予定ですの。お兄様はお仕事ですか? 残念ですね」
「……他は誰かくるのか?」
「いいえ、カテリーナ様だけですよ」
「明日は学園は休みなのか?」
「午前中で終わりますので、ランチも兼ねてお茶会をするのですよ。女子会です」
「……なんとか昼過ぎには終わらせる!」
「お誘いしていませんからね」
******
~マドレーヌ視点~
「カテリーナ様、それでね……」
あらあらヤダヤダ……もう帰ってきた!
「やぁカテリーナいらっしゃい」
「あら……お兄様ったらお早いお帰りで」
急いで来た様子が伺えますわね。
「お邪魔しています、オーウェン様」
席を立ち挨拶をするカテリーナ様。お兄様の嬉しそうな顔ったら……
「お邪魔だなんて……もういっそのことうちに引っ越してくる?」
呆れてしまうほどクサイ事を言うんですね。我が兄は……恥ずかしいですわ。
「何を言ってるんでしょうね……お兄様は。カテリーナ様、変なお兄様でごめんなさいね。あらっ! 私としたことが」
ぽんと手を叩き
「カテリーナ様にお渡ししたいものがあるんだったわ! どうしましょう。私ってばお部屋に置いてきてしまいました。取りに行って来ますわね。すこーしの間だけお兄様、カテリーナ様のお相手をお願いしますわね」
「任せとけ、ゆっくり行っておいで」
「……はいはい、カテリーナ様席を開けることお許し下さいませね」
うまく行くと良いですわね!
カテリーナ様のお返事はもう決まっていますものね。
お兄様にどうやって会えば良いかと相談を受けました。話の内容は教えてくれませんでしたけど、婚約の話が出ているのでしょうね! 出ている? 違いますわね。お兄様が婚約を迫った! と言う事でしょうね。恐らく?
お兄様に突然明日カテリーナ様が来ますよ。と言うと、なんとしても仕事を終わらせる! と言って帰ってこられました。
カテリーナ様がお兄様と結婚したら義姉妹になれますの? なんて素敵な響きでしょう! 私はカテリーナ様が大好きなんですもの。
早く婚約をしてくれれば良いのに。そうなると私はキューピッドですわね~♪
そうだわ! お兄様に前から欲しかった小説のシリーズを全巻揃えてもらいましょう。それくらいお安いことでしょう?
優しく気がつく妹で良かったですわね、お兄様。
カテリーナ様にお渡ししたいものがあると言うのは嘘ではありません。
リボンと万年筆を用意しましたの。リボンはとっても柔らかい素材で出来ていて、うちと取引のある商人が勧めてくれた輸入品で手触りがとても良くて、いつかお渡ししようと用意していました。
万年筆も輸入品で持ちやすく女性らしい色合い。喜んでくださると嬉しいですわね。
それにしても最近殿下が、カテリーナ様にアプローチをしているのに、全く靡かないカテリーナ様。殿下も空振りのようで面白いったらないですわね。
今更どのツラ下げて、コホン失礼しました。恋をしたいだなんて言ってカテリーナ様に恋をするなんて本当におバカすぎて呆れてしまいます……。
お友達としては嫌いではありませんけど、男性として見ることが全く出来ませんもの……不誠実と言うか、ねぇ。
その点お兄様は、妹の私から見ても優しくてイケメン! 頭も良くて、なんといっても公爵家の嫡男! 将来は有望です。
カテリーナ様と歳は離れてますけど、その分大事にしてくださるでしょうし、何かあったら私が許しませんもの。
昔からお兄様はカテリーナ様が可愛い可愛いと仰ってましたもの。実の妹よりも!
十歳も歳が離れていますのに……お兄様はロリコ……いいえ違いますわね。
一途なんですものね。カテリーナ様が羨ましいですわっ