送り狼にはならない
~オーウェン視点~
「本当に送らなくても良かったのに」
カテリーナは口を尖らせる
「いや、私が送りたかったから送るんであってカテリーナは気にするんじゃない」
「……申し訳なくて、今日のパーティーもただ隣にいただけなのに、オーウェン様の、その、婚約者と間違えられたことがあったから、こんなことなら今日はお断りするべきでした、ごめんなさい」
申し訳なさそうな雰囲気が漂ってくる。
「いいよ。間違えられたって、カテリーナがお嫁さんに来てくれるなら大歓迎だよ」
「冗談は、」
「真面目に言ってるんだよ。カテリーナが殿下の婚約者候補から外れたと聞いてから、どうしたらカテリーナが私を見てくれるかとずっと考えていたよ」
「えっ……?」
カテリーナを見ると、居心地が悪そうに顔を赤くして下を向きドレスをギュッと掴んでいた。
「好きだよカテリーナ。ちっちゃいカテリーナも大きくなったカテリーナも、私にとって大切で、カテリーナといる時間はかけがえのないものなんだ」
「揶揄うのは、」
「冗談でこんなことを言える? 私はカテリーナに嘘をついたことがあったか?」
ふるふると頭を左右に振る仕草もまた可愛い。
カテリーナの邸に着いたので馬車を降りてエントランスまで送る。
月明かりでうっすらとしか光が当たらないが、きちんと伝えておこう。
「レディ・カテリーナ」
手を取り跪く
「どうか私と婚約して欲しい大切にすると誓うよ。すぐに答えは出ないと思うけど、考えて欲しい」
カテリーナの顔を見上げる形になる。
「……はい、オーウェン様、少しお時間を下さい」
ほっ。断られなかった。考えるなら前向きに考えてほしい。胸を撫で下ろす
カテリーナの手に軽く挨拶のキスを落とした。
「またね、カテリーナ、考える時間はちゃんと私のことを考えてよそ見しないでくれ」
こくんと頷くカテリーナ。
「カテリーナ」
呼ぶと顔を上げたのでおでこにキスをして
「おやすみ」
と言うとおでこに手を当て笑顔で
「おやすみなさい」
返事をして、邸の中へと駆けて行った……
ははは。やっぱり変わらない。
好きだよカテリーナ。
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