そしてパーティー当日
~オーウェン視点~
カテリーナを迎えに行くと言ったのに、邸まではブラッド君と来るという。
ブラッド君のパートナーはマドレーヌだ……うん、まぁ良い。カテリーナの義弟だ。悪いやつではないだろう……兄として複雑なだけ
カテリーナの馬車が着いたようだ。ブラッド君と並んで私の元に歩いてくる。なんだか二人でいるとしっくりとくる……カップルにしか見えない……
おっ。どうやらマドレーヌも来たようだ。マドレーヌは十七歳……大人っぽい深紅のドレスを着ていた。
「ようこそ二人とも、よく来てくれたね」
カテリーナとブラッド君を笑顔で迎える。
「「お招きいただき有難うございます」」
「迎えに行くと行ったのに、頑固だねカテリーナは……」
ふぅっとため息を吐く。
「だってお忙しいのに……主役が邸から離れてはいけないって思って。お父様もお母様も言ってました」
怒らせてはいけない、穏便に済ませよう、優しさからの行動だ。
「分かっているよ。ありがとう、でもこれからは気にしないように」
さりげなく次回の約束も取り付けておこう。
「はい?」
首を傾げるカテリーナ……だめだ遠回しが伝わる相手じゃないんだ! ちゃんと約束を取り付けておかないと。
「今日のドレスはカテリーナに良く似合っているね、とても可憐で可愛らしい」
クリーム色とピンクのドレスにちょこっとついたフリルと腰回りのリボン。髪にもお揃いのリボンをつけていた。
ストロベリーブロンドの髪の色によく似合っている。手入れが行き届いているサラサラの髪は柔らかそうだ。
「また子供扱いしてますね?」
膨らむ頬が可愛らしいんだよ。
「ごめんごめん。でもこんな可愛いドレスは大人になったら着れないんだから今のうちに着ておかないと、勿体ないんじゃない?」
大人になってからの方が長いのだから、今のうちに娘らしいドレスを着て見せて欲しい。
「……お母様と同じことを言うんですね、私もマドレーヌ様のようなドレスが着たいんですけど、まだ早いと言われました」
背伸びしたい年頃なんだろうな、そのままで良いのに。私はいつからこんなおっさんのような考えになったのだろうか。
「オーウェン様こんな子供といたら恥ずかしいでしょ?」
「全く! 可愛いレディを自慢したいくらいだね」
キョトンとするカテリーナ。
自分の魅力を分かっていないんだろうな、その方が都合がいいから言わないでおこう。
君は今、王国でお嫁さんにしたい女の子ナンバーワンなんだけどね。ちなみにマドレーヌはナンバーツー……と言うのは高嶺の花と言う事らしい。
カテリーナは、気さくで若いから話しかけやすいのだろう。今日も声をかけられるんだろう……カテリーナから離れないでおこう。面倒事はごめんだ。
招待客が多いな……相手をするのも疲れてきたが、せっかく集まってくれたのだから挨拶は当然。こんな時にカテリーナをパートナーにさせてしまって申し訳ないが、もうちょっとで挨拶は終わる。
「やぁ、オーウェン殿本日はお招きいただきありがとう」
ウィルフレッド殿下か……面倒だな。
「殿下お忙しいところよくおいでくださりました」
「カテリーナも久しぶりだね、学園では中々会うこともない」
「殿下、お久しぶりです」
ドレスの裾を掴み挨拶をするカテリーナ。
「久しぶりに一緒にダンスでもどう?」
「えぇ…っと、」
カテリーナが私を見上げてきた、迷っているんだろうが、戸惑うところをみるに、踊りたくないんだろう。
「申し訳ありません、カテリーナを挨拶に長々と付き合わせてしまって、疲れているので休憩を取ろうと思っていたところでして……カテリーナ、付き合わせて悪かったね、少し休憩にしよう」
手を差し出した。
「はい」
すると笑顔で私の手を取ってくれた。
「そうか……タイミングが悪かったな、カテリーナに聞くが私を避けてないよな?」
殿下がカテリーナに質問すると
「避ける理由もありませんし、お会いする理由もありませんもの……変な事を聞くのですね、殿下は」
首を傾げるカテリーナ、鈍感で良かった!
「そうか……」
がっかりする殿下を見て、早くこの場を去らねば!
「それでは殿下、楽しんでいってください。殿下の誘いを沢山の令嬢がお待ちですよ」
「……あぁ、そうだな。カテリーナ明日ランチでも一緒にどうだ?」
しつこいな……意外と。
「いえ、お断りします。殿下の恋のお相手に誤解をされたくありません。お邪魔はしませんよ、約束ですもの」
にこっと笑うカテリーナ……悪気のない一撃って一番効くよな……殿下がショックを受けている……愉快だ、とても。
「さぁ行こうカテリーナ」
手を引いて控室で休憩をすることにした。
ふわぁ~っと小さくあくびをするカテリーナ。目尻に涙を滲ませている。
「どうした? もう寝る時間か?」
くすくすと笑いながら聞くと
「あくびなんてして、はしたないところをお見せしてしまいました」
しゅんと肩を落とすカテリーナ。
「冗談だから気にするな、休憩したら送っていこう」
果実水をカテリーナに渡したら、そっと受け取った。
「主役が抜けたらいけませんよ? 帰るならブラッドと帰りますから、オーウェン様は気にしないでください」
「いや、気にするだろう、私のパートナーを他の男と帰すわけがない」
「男って……ブラッドは弟ですよ? 変なオーウェン様ですね」
くすくすと笑うカテリーナ。
「君になんと言われても送って行くよ」
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