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一生君に恋をする

 母と宰相に呼ばれた。それは……長い説教をされた。



 その通りです。はい、申し訳ございませんでした。母上のおっしゃる通りです。


 バカだの、恥ずかしいだの、たくさん嫌味を言われました。


 きちんとその言葉の意味を受け止めさせていただきます。



 私の言葉一つでその人の、いや……家の……一族の人生が変わることもある。

 言葉に責任を持つようにと母に言われた。 



「一から全て学び直しなさいっ! そもそも貴方はカテリーナが好きだったじゃないの! 宰相がカテリーナを連れてきたときに貴方がカテリーナを気に入って候補にしてくれと言ったの! 覚えてないの? バカなの! 毎週、毎週呼び出しておいて! 今度もし皆の期待を裏切ったら……っ廃太子にしてやるわっ! 良かった! 息子がもう一人居て」



 とても可愛くて仲良くなりたいと思いました。貴方の息子は大バカです。

 廃太子ですか……裏切ることがあったらそうしてください。




「カテリーナを不憫に思ってデビューの場で候補から外したって言ったのよ! あんたに諦めて貰うために! マドレーヌもカテリーナも引く手数多です! あんたには勿体無いの! 愚か者!」


 正座して聞きました。


 怒られて当然ですね。


 母のこのような姿を見たことがありません。


 恐ろしいです。





「今回の婚約者候補から外したのは、娘の気を引きたかったが為の、()()()のわがままと言うことにしておきましょう。とってもとっても面倒ですから」


 宰相に言われました。


「はい、すみませんでした。マドレーヌも悪くならないようにしてください、お願いします…」


 私ひとりの力ではどうにもなりません。

 宰相にお願いしました。これ以上余計な事は言いません……いや言えません。





 オーウェン殿との茶会が終わり、カテリーナが王宮に来てくれた。


 あぁ! 夢ではない、私()の恋は実っている、そう考えると胸に温かい物を感じるが反省中の身である。


 片想いというのは切なく辛いものだが、カテリーナの顔が頭から離れなくて物事に集中すら出来なくなると言う経験も出来た。

 成績が落ちると言う最悪な経験も同時にした! これには肝を冷やした……



 一目惚れと言う表現もおかしいのだろうが、入学式で見かけた時のカテリーナに見惚れたのは間違いがないのだ!


 いや、幼少期に一目惚れしているから二目惚れ?



 恋煩いという病は、ある!


 治療薬は、カテリーナの笑顔だ!



「殿下……? どうされましたか?」


 別の世界へ意識が飛んだようだ……



「ごめん。カテリーナがここにいるのに、頭の中にもカテリーナがいた」


 自分でも何を言っているのか分からない……


 気持ちの悪いやつだと笑ってくれても良い。


 それよりもカテリーナの笑った顔が見たい。


「オーウェン殿は何か言っていた?」


 本題だ! 本題に入ろう。




「いいえ。楽しくお話をして帰ってきました。殿下との婚約も祝ってくださいました」


 オーウェン様が自分はキューピッドだと言ってましたよ。と付け加えてきた。


「そうか……」


 あれ多分、いやカテリーナと本気で婚約しようとしていたぞ!


 十歳も歳が離れているのに!


 良かった……カテリーナと歳が近くて。あんな男が側に居たらやばかった!

 家柄よし! 性格よし! 頭脳明晰! ついでに顔までよし……



 待て、待て……私が勝てるところって……しつこいところと若さ位なのではないでしょうか……?




 しっかし、今日のカテリーナも可愛いな!


 サマードレスか……華奢なカテリーナによく似合うな。二の腕に触れたい。柔らかそうだ。


 胸元のレースがその膨らみを隠しきれていない? 谷間が見え隠れ、いやだから隠れてないんだって!

 こんなに可愛いのに、身体は……けしからん! ダメだ煩悩よ、去れ、去るんだ。



 がっとカテリーナの肩を両手で掴んで向き合い、つい目線が下に向いてしまった。


「カテリーナ、大好きだよ」


「え? どこを見て、きゃあ!」


 カテリーナの顔がみるみる赤くなり


「もう帰る! 変態! 最低! 大っ嫌い!! もう嫌っ! ……婚約解消希望します」


 と言ってきた。いや、いかん! それはダメだ、誤解を解かないと!



「カテリーナが可愛すぎて顔が直視出来なかった! 目線を間違えた! ごめんなさい! すみません! 許してくださいっ、変態ですごめん! 一緒にいられるのが嬉しいんだよぉ……


 カテリーナが会いに来てくれて舞い上がったんだよぉ……嫌いはやめて、反省しますからぁ。婚約を解消されたら……もう一生結婚できないよぉ……」



 カテリーナの前に立ち塞がり謝り尽くした……

 めちゃくちゃ怒ってるけど、それすら可愛いなんて、何なん?


 周りのメイドや侍従は呆れているね、多分これからこのようなことが一生続くよ……


 反省中だけど、カテリーナが可愛いんだよぉ!



 どうせメイドも侍従もみんなカテリーナの味方なんだろ!

 カテリーナが婚約者になってくれるって言った時、すごい喜んでいたし、私のメイドよりカテリーナに付きたいって聞こえていたんだよっ!


 私は威厳をどこに置いてきたんだ?


 私の辞書には書いてないんかい?





 正式に婚約発表もしたし、王太子となった。カテリーナ公認の婚約者になれた。

 パワーバランスは、カテリーナが9に対して私が1……目指すは……せめて……3……いや2で!



 故にカテリーナに、嫌がらせをしていた令嬢を学園に戻してやった。

 大人しく学園生活を送っているらしい。

 そうだろうな、次カテリーナに手を出したらお家取り潰しだ! 覚悟しておけ。

 ()()()の婚約者だからな!




 なんとその後にブラッドとマドレーヌが婚約をすると言い出した。


 お互いの家にもウィンウィンな関係だし、意外と仲がいいのには驚いた!




 婚約式で貴族達に側室とか、愛妾とか要らないからそう言う話は持ってこないでね! 娘を紹介するのもなし! と笑顔を絶やさず言った。


 父上には女好き! とかあれは不治の病だ! と言う癖に自分の娘を押し付けてくるのは、如何なものか! そんな事でカテリーナを悲しませたくない!



 結婚式まであと数年! カテリーナよ、悪いが観念してくれ。




「キスしていい?」


 嫌われたくないから、取り敢えず許可を取らないと不安でならん。

 拒まれたらきっと泣いてしまう……小さく頷いてくれた。見逃すところだった。そんな仕草一つとってもカテリーナの可愛い事よ……



 恥ずかしいから聞かないで、と小さい声で言われた。キスは許してくれるらしいので、嬉しかった。


 何回目かでちょっと深いキスをしたら、怒られた。


「もうしない!」


 涙目になるカテリーナが超絶可愛い。 



 しばらくしてようやくキスの許しが出た。つい……胸元に手をやったら、平手打ちを喰らってしまった……


「バカっ! 変態っ!」


 何を言われても超絶可愛い。



 鈍感すぎて傷つけてしまったけれど、君に恋をしてよかった。


 恋から愛に変わるんだと友人が言った。


 でも私はカテリーナに一生恋をする。




【本編完】







ここまで読んでいただきありがとうございました、次回は番外編になります。


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