復讐
久しぶりの学校だ。いつもと違って気持ちが高ぶるのを止められない自分がいた。周囲の奴らは俺をジロジロ見る。まぁ転校生だと思ってるんだろう。
さぁてあいつはどこに居るかな?3年の廊下を探しているとアキトが前の方から歩いてきた。
ノエル「よぅ!会いたかったよ」
アキト「?お前誰?」
ノエル「俺だよ、ノエルだよ」
と言った瞬間アキトの表情が驚きの顔になる。
アキト「マジか?随分太ったな?」
ノエル「お陰様でね。プロレスごっこしよっか」
アキト「別に良いけど」
アキトの対応がいつもと違う。なぜかわかっている。こういう人種は弱者に対してしか威張れないのだ。
ノエル「じゃあ開始するね」
アキト「今??ちょっと待て」
ノエル「カーン」
ノエルはアキトの制止を無視して自分で開始の合図を鳴らし、ボディブローを打ち込む。
ゴキッと言う音がアキラの体から響き、うぅっという呻き声と共にアキトは膝をつく。
アキトは痛みで泣いている。
ノエル「おーい、これからだよ」
アキト「勘弁して、もう肋骨折れてるから」
この時ノエルは思った。今ならアキトの気持ちがわかる。力を行使する事の楽しさ。自分が強いとその力を使いたくなるし、弱い物から奪いたくなる。
これが動物本来が持っている本能。人間は本能を理性で抑えている。それを抑えられない物が虐めをするのだ。
俺は本能を抑えられ…ない…
ノエル「アキト君にやられた技、僕もやって良い?」
アキトは何も言わず痛みで唸っている。
ノエルは足をアキトの胴回りに挟んで締め付けた。バキバキと骨が折れる音がした。
アキト「ガギャアアアアアアアア」
アキトが悲鳴をあげる。口から血が泡になって出てきた。
ノエル「お前うるさいよ」
さらに力を入れた。
周りの生徒が気付いて先生を呼んできた。
先生「お前何やってんだ!?おい誰か救急車!」
ノエル「プロレスごっこです」
先生「やりすぎだ!死ぬぞ!」
ノエル「ふぁーい、とりあえず止めますね」
アキトは救急車で運ばれていった。
ノエルはその後、先生に呼び出されて厳重注意された。停学処分にならなかったのはアキトがノエルを虐めていたのが考慮されての事だった。