アフターティーチャーズ!
登場人物
今江誠人 20歳 誰からでも説教される。意外と普通。
北条佐 20歳 子供嫌い。面倒くさがり。
夢宮咲乃 22歳 住居不明。ドS。
孔城泉 18歳 一年目。アイドル的な存在かも。
佐藤誉 27歳 教頭。話し方がオヤジくさい。
これだけ。
「これだから今どきの若いもんは!」
教頭がいつものように叫んでいた。あと、あんたも十分若いよ・・・
俺はいつものように対応する。
「今度は何ですか教頭」
「今どきの若いもんは言葉使いがなっとらん!」
だからあんたも若いって。しかし今日は珍しく、いつもよりはまともな事を言っている。でも、今更議題に上げることでも無いと俺は思う。むしろ俺はこの会議的なものが無意義に思えて仕方ない。つーか暇つぶしだろ。これ。
「それは何ですか。俺達に言ってるんですか?」
「違う。お前に言ってるんだ。お前に」
俺ですか・・・俺オンリーですか・・・
「教頭!差別反対です」
「差別じゃない。事実だ」
言い切られた。
「なんで俺だけなんすか」
「議題のとおりだ。お前の言葉使いは教師のものだとは思えん」
あなたの言葉遣いも20代後半のものだとは思えないんですけど。
「それに今日の会議(的なもの)だってお前のために開いたようなものだぞ」
これ俺のためだったの!?すげぇ無意義に思ってたんですけど・・・
「私も教頭と同じ意見でーす」
そこ!教頭に同意しない!
「そもそも言葉使いが悪くても教師になれたじゃないすか」
「それはお前が面接のときに猫かぶっていたからだろうが!」
怖いよ!何で知ってんだよ!おかしいだろ!?
「それぐらい誰でも予想つくと思うぞ」
地の文を読まんでください。
「それで、結局何が言いたいんですか」
「だから言葉遣いを直せと言っているんだ」
「イヤッスよ。それに言葉使いが悪いとなにか問題でもあるんですか?」
さあ、答えてみろ!いや、答えられるとは思ってるんだけどね。
「先生が近寄りづらい。先生に悪い影響を与える。授業が分かりにくい。ガキっぽい。ムカつく。なんかムカつく。etc,etc・・・」
ほとんど生徒関係ないよね!?後半悪口だよね!?なんかムカつくって酷っ!この人鬼だよ!悪魔だよ!
「酷いっすね咲乃さん・・・さすがの俺でも傷つきましたよ!?」
「私は事実を述べただけよ」
「事実って・・・[ムカつく]ってただの私見じゃないですか!」
「あら気づいた?」
「そりゃ誰でも気づきますよ!」
「でも、ムカつくのも事実よ☆」
「そんな爽やかに言い切られましても・・・」
俺が半泣きになっていると、咲乃さんは自分の席で快感に浸っていた。この人絶対Sだよ・・・
「おーい、話が脱線してるぞ〜」
同期の佐が話を修正しにかかる。
「そうだったな」
さっきまで咲乃さんの矛先が自分に向かないか怯えていた教頭が喋りだす。
「とにかく、だ。今すぐは無理にしても少しずつ直していきなさい」
「はーい」
議題がこれで解決すると思った俺は元気よく返事する。
「お前は生徒か!先生だろうが!」
佐がツッコんできた。
散々責められた後に佐に説教されるのも癪だったので、俺は無理やり話題を変える。つーか佐も結構、口悪くね?
「ところでみん・・・皆さんは放課後にやる事とか出来たんですか?」
「うっ・・・」
咲乃さんが真っ先に反応する。ヤバイ・・・
「まーくん、それは私に喧嘩を売っているのかしら?」
「そんなことありません!すみません!本当っにすみません!」
俺が土下座して謝っていると、咲乃さんは席で落ち込んでいた。ちなみにまー君とは、当然俺の本名ではなく、咲乃さんが付けたあだ名だ。俺の本名は今江誠人。それを咲乃さんが今プロで大活躍中の投手と同じ呼び方で呼んできただけだ。
咲乃さん曰く、まーくん馬鹿の子ムカつく子。だそうだ。余計なお世話だ・・・
「佐と泉ちゃんは?」
「俺はからっきしだ。」
「泉はまだ未熟者ですので・・・」
泉ちゃん18歳。冷や汗をかいている。ついでに泉ちゃんはどこかで1回だけ喋ってます。探してみよう!
「はぁ」
4人一斉にため息をつく。ついでにこの部屋に居るのは、俺たち4人と教頭の合わせて5人だ。俺達4人は部活の顧問もしていなければ、課題もろくにださないので丸付け等の必要も無い。ハッキリ言って放課後にやることがないのだ。帰っても良いのだが、帰る「当て」の無い咲乃さんの提案で4人で集まって駄弁る事になった。そこに教頭が加わって今の状態になっている。ついでに教頭曰く会議だそうだ。
俺達と違い、そんな事は関係のない教頭が口を開く。
「誠人や泉はともかく、佐は顧問の誘いとかがありそうなんだが・・・」
「それは俺の性格に問題があるからだと思いますよ。」
暗くはないのだが・・・そう、佐は非常に面倒くさがりだ。しかも子供が嫌い。つーか嫌いなら先生になんなよ!
「変えようとはしてるんですけどね。・・・面倒くさくって」
「そんな所で面倒くさがるなよ!」
俺がツッコむ。
「そういうことか・・・」
教頭が納得する。
「とっ、ところで咲乃さんは何処に住んでるんですかっ!」
こんな空気を変えようと泉ちゃんが話題を変える。泉ちゃん、それは逆効果だよ・・・
「・・・」
咲乃さんはまだ立ち直れていない。これはチャンスだ・・・
「本当に何処住んでるんですかね?もしかして今(?)話題のホームレスってやつですか?それはないですよね〜なんせ、[教師]ですもんね〜それともなんですか?あれですか、ネットカ・・・」
「殺す」
「えっ?」
「殺す」
「今なんて?」
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
ヤバイ・・・これはヤバイぞ。咲乃さんならやりかねない・・・
「たっ、助けてっ!」
職員室全体を見回すのだが、誰もいない。
「逃げやがったなっ!?」
「殺す殺す殺す・・・」
咲乃さんがイカレた目のままカッターを持って近づいてくる。これはヤバイって・・・
「教師が殺すなんて言わないでくださいっ!」
「教師ぃ?まーくん何言ってるのぉ?」
「あんた教師だろ!?違うの!?違ったの!?教師じゃなかったの!?」
「教師よ。チョイと手回ししたけどね・・・」
「何したの!?怖いよ!」
「そろそろかしら。恐怖もあおったしね」
この人やっぱりSだ・・・
「イテッ」
背中にゴツゴツしたものが当たる。
「か・・・べ・・・」
「さよなら、まーくん」
ベタだけど、父さん母さん今までバカやってゴメンよ。教師になって親孝行しようと思ってたけど、無理でした。最後までバカでゴメン・・・
「失礼しまーす」
「あら?何か用かしら?」
咲乃さんは、今まで何も無かったかのように対応する。
「天野先生に用があったんですけど・・・何かあったんですか?」
「別に何も無かったわよ。気にしないで」
「気にしないでって言われても・・・先生倒れてますし。」
「ああ、これね。これはね・・・ゴミよ。」
俺ゴミですか!?俺人間ですけど!
「そ、そうですか」
顔をひきつりながら職員室を出ていく。
「さてと、ゴミを片付けなきゃ」
あっ・・・俺死んだわ。まだ怒ってるし。
「やっと終わった〜」
「丸付けしないと・・・」
「帰って寝るか〜」
俺が死を覚悟したとき、もの凄いタイミングで先生達が戻ってきた。
「疲れた〜」
何食わぬ顔して、佐も帰ってきた。あの野郎・・・何もしてないだろ。
「誠人〜起きろ〜」
「起きてるよっ」
「起きてたのかよ・・・」
「佐、てめー逃げやがったなっ!」
「ちょっと静かにしろ」
佐が耳打ちしてくる。
「教頭と泉は帰った。あとは俺がお前を持ち帰るから、気絶でもしてるフリしてろ」
「佐・・・俺は良い友を持ったよ。」
「ほらっ早くしろ」
俺は気絶したフリをする。
「なら俺、コイツつれて帰りますから」
佐が出て行こうとする。
「まーくん、たーくん(佐)、明日覚えときなさいよ」
ば、ばれてる・・・
「それじゃあ」
佐はさっそうと学校を出た。
「後は自分で歩け!」
「へいへい」
「さっきまでの感謝はどうした?」
「忘れた」
「忘れたのかよ!」
部屋に帰ると俺らはぶっ倒れた。
「死ぬかと思った・・・」
「俺も疲れたわ・・・」
「明日俺らどうなるかな?」
佐が俺に聞いてくる。
「死ぬんじゃね?」
「ありそうで怖いわ!」
「とにかく寝ようぜ。明日は明日だ」
「そうだな」
二人とも眠りにつく。今頃だが俺と佐はアパートに二人で住んでいる。
「おっはよーございまーす」
咲乃さんが職員室に入ってくる。
「き、機嫌よさそうですねっ!」
泉ちゃんが咲乃さんに尋ねる。
「んふふ〜分かる?分かっちゃった〜?」
テンション高すぎだろ・・・いつもの咲乃さんとはえらい違いだ。
「ナントね、千円拾っちゃったのよ〜」
「え!?・・・よかったですね!千円なんて、なかなか拾えませんよ」
泉ちゃんは咲乃さんの怒りに触れぬよう、慎重に答える。
「まーくん、たーくん」
「は、はい。なんでしょうか咲乃様」
声をそろえて返事をする。
「様なんて付けなくてもいいわよ。あと、昨日の事は許してあげる」
助かった・・・つーか俺らの命、千円以下!?
「ありがとうございますっ」
佐と礼を言って俺は授業のある3−Bへ向かう。
授業が終わったら、職員室で駄弁る。
ちょっとメチャクチャだが、これが俺ら5人の日常だ。
こんにちは。さなぎ誠です。ハッキリ言って主人公と名前が同じことに今気づきました。こんなつたない文章ですが、最後まで読んでくださって感謝です。
あと、こんな先生いません。言い切ります。年齢とかおかしいですし。まあ、作者の妄想だと思ってください。理想の教師像っていうか・・・どんな理想だよって感じですね。
とにかく、ありがとうございました。
もしかしたら、また書くかもしれません(笑)