2、違う。
だけどやっぱり言葉と心は裏腹で。
元気にいこうって口に出す程足取りは重くなる。
働きたくないわけじゃないのに、働けない。
ほんと、理不尽な世の中。
家に着くと布団に潜り込んだ。
毛布を頭から被ると周囲から切り離された自分を感じることができた。
「…昔はよかったなぁ」
つい昔を思い出して物思いにふける。
あの頃は春佳とたくさん遊んで楽しかった。
こんなに未来が辛いなんて考えもしなかった。
「春佳に連絡しなきゃ…」
今日はありがとう、と春佳にLINEしようとした時
いいタイミングで春佳からメッセージが届いた。
【秋穂が言ってた何するにも億劫でってやつ、心配だから1回病院とか行ってみたら?
暗い気分で過ごすのも原因かもしれないし…
いい病院紹介するよ?】
病院なんて…私が病人だとでも言いたいの…?
本音を押し殺し明るくメッセージをうつ。
【ありがとう、春佳。
で大丈夫だよ!春佳に会えたからかな、今すごく元気だから】
返信をして携帯の電源を切る。
「…違う、違う…私は病人なんかじゃない。
ちょっと就活に疲れただけ、それだけ。
熱だって咳だってない。それなのに病人扱いするなんて酷いよ…」
本当はわかってたんだ。
春佳が私のことを思って言ってくれたことぐらい。
でも私にはそれを真正面から受け止める覚悟とかそんな余裕はなかった。
感謝、より醜い感情がどよめく。
自分の中で黒いものが溢れそうになる。
黒い何か、が私を飲み込もうとする。
「…このままじゃ…だめよ!」
言葉と共に布団から立ち上がる。
閉じていたカーテンを開け日光を浴びる。
そうすると不思議と気分も晴れていくような気がした。
「よし、気分晴らすためにも掃除しようかな」
数時間綺麗になった部屋を見て心を落ち着かせる。
窓を開けて換気もして新鮮な空気を精一杯吸い込む。
「すぅうううう…はぁああああ…」
さっきまでの暗い気持ちはどこかへ消え
今の私には清々しい気持ちが強い。
「春佳に会ったら謝らなきゃね」
私を心配してくれてあんなこと言ってくれたんだ。
病院には行かないけどお礼ぐらい言っとこう。
今回は少し闇が見えてきた…かも?