おっぱい生えてきました
初めての投稿です。その為文章も拙く読みにくいかもしれませんが頑張るのでもしよければ楽しんでいってください。
プロローグ
「あぁ、空からおっぱい降ってこねぇかなぁ・・・」
溜息交じりに呟くさえない俺。だいたいこの世は間違っている。
日本にいる1億人のうち5000万人は女。おっぱいは1億だ。
一つぐらい俺が自由にできるおっぱいがあってもいいだろ?なぁそうだろ?
俺の空しい願いは黄金色の夕焼け空に吸い込まれた。
「あぁ・・・諸行無常」
1日目
ガチャリ。
無言の帰宅。おかえりの声は当然聞こえない。両親はそれなりにいい会社に勤めて一年中海外を飛び回っている。自由にできるのは助かるが、週一で訳のわからないお土産を送ってくるのだけはやめてほしい。明らかに呪われているだろっ!って禍々しいオーラを放つ仮面や、装備したら二度とはずれなさそうな鎧etc・・・。まぁとにかく生活自体はエロゲ主人公みたいな親切設定だ。違うのはお兄ちゃんと言って甘えてくる妹がいないだけ。それだけ・・・。深刻なエラーが発生しているのは誰の目にも明らか。
いつものようにカップラーメンをもそもそと食いながらまとめサイトを眺める。我ながら退廃的だと思うが他にやることもないしな。
「最近メガネの度が合わなくなってきたなぁ」
ブルーライトカットだとかいろいろあるけど特に興味もない。高いし。
2万円でエッチなゲームが2本も買えるんだ。俺にはそれで充分。
ぼーっと画面をスクロールしていくうちに気になる記事を見つけた。
(女の子が――秋―――蛍――――方不明――――)
なんだか眠くて内容が頭に入ってこない。寝てしまおうか。
「いや、風呂に入んなきゃ」
だるい腰を椅子から持ち上げる。清潔感。それはモテる為の最低条件。イケメンの掟。ただでさえモテない俺は最高級ボディソープで体をすみずみまで洗う。親が金持ちでよかったと唯一思う瞬間だ。おかげで俺はつねにいい匂いを漂わせている、はず。効果のほどは?聞くんじゃねー。こういうのはなんとなくでわかるんだよ。男は顔じゃねー。何度でもいう。男は顔じゃねー。
「なんでだろう、涙出てきた。」
気を取り直して。ガラガラ。脱衣所の扉を開ける。男の脱衣なんて3秒あれば事足りる。
熱いシャワーが汚れと汗を流していく。この瞬間が好きだ。エッチなゲームで√に入ったあとのラブラブ日常のあとの喧嘩のあとの仲直りックスぐらい好きだ。仲直りックスが何かって?国語辞典で調べろ!
「今日も疲れたなぁ。・・・」
今日は特に疲れた。昼間からあんなことがあるなんて・・・。ああいう力仕事はタヌキの仕事だろ。何があったか思い出したくもないから省略。
「あぁ、生き返るぅ」
月並みなセリフだが日本人の心だろこれは。少し人と違うのはちょっといい浴槽に付いているジャグジーの泡の上にお尻を乗っけて、
「お“・・!」ってなっているってことぐらい。ジャグジーがあれば誰でもやるだろ?。勘違いしないでほしいが、これは決して自慰行為ではない。ただお尻の穴がムズムズして気持ちいいだけだ。ウォシュレットを使うやつの9割はこの感覚を味わう為だろ。
浴槽に足を目いっぱい伸ばして股を開く。俺は誰にでも股を開くような男ではないがこればっかりは仕方ない。
「今日は・・いつもよ・・り激しいぜっ。おぉおぉぉぉぉぉぉ」
完全に無防備に快感に悶えていた刹那、それは起こった。
ニュウッ!
「ここは、どこです?」
丸っこい可愛らしい声。俺の股の間から女の生首。俺、ギンギンに勃起!!
状況を理解するのにたっぷり5秒を使った俺は
「きゃっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁっぁ!」
重なり合う悲鳴は物語の序章だった。なんとも情けない話だ。
第一章 幽霊だから触れない
「この変態女めっ!恥を知れ恥を!」
物事にあまり執着しない俺は怒ることがないがこの時ばかりは声を荒げた。無駄に広い部屋でご近所を気遣う必要などない。ノゾキ許すまじ。
「少し待って!どうしてあたしが怒られるの?こういうの普通逆じゃない?!」
変態女は図々しくも反省の色を見せない。これは少しわからせてやらないといかんな。いかに黒髪セミロングの色白美人で巨乳で多少透明でも許すわけには・・・ん?透明?
「お前、・・・・透けてるぞ?」
女は俺の間抜けな問いにつまらなそうにそれでいて悲しそうにそっぽを向いて答えた。
「幽霊だもの当然でしょ?」
開いた口が塞がらないとはこのことだ。目の前に幽霊がいる。しかも巨乳。状況は常軌を逸していた。しかし俺は焦らない。定期購読しているモテ男の掟6月号の表紙にでかでかと書いてあったからだ。男に大事なのは余裕!!ちなみに付録に付いていた脱毛クリームは強力すぎたので親父の毛生え薬と入れ替えておいた。閑話休題、つまり余裕のある大人の男である俺が今すべきことはひとつである。
「お、お、おっぱい触っていい?」
噛んだ。これはダサいな。噛んだらだめだ。かっこよくない。かっこよくないなら、おっぱいは触れない。三段論法。
「ダメです。頭おかしいんですか?」
変態女は冷ややかな視線を向けてくる。これはこれでアリだが、やはり噛む男はダメみたいだ。おっぱいチャンスならず。
俺が貸してやったワイシャツを身にまとい毛布に包まっているだけの幽霊女はどっからどうみても扇情的。でもだめだ。一度逃したおっぱいチャンスはしばらくは訪れない。これも雑誌に書いてあった。今は時を待つんだ。でないと下心があると勘違いされてしまう。
「それよりもっと他に聞くことがあるでしょ?目の前に女の子の幽霊がいるのよ?」
呆れるようなそれでいて蔑むような口調で目を細めて俺を見ている幽霊女。そうだ。余裕を持たなければ。
「それもそうだな。んじゃ少し答えずらいかもしれないが聞きたいことがある」
「いいわよ。そのほうが本題に入りやすいわ」
お互いの意思の疎通はとれているようだ。俺も男だ覚悟を決める。
「なぁ、俺いい匂いする?」
「は?」
幽霊女は頭上に特大のハテナマークを浮かべている。察しの悪い女だ。
「だーかーら、俺いい匂いする?」
「・・・・・」
なおも状況を理解しない幽霊女。まったく親の顔が見てみたいものだ。
仕方ないから最高級シャンプーのくだりを逐一説明してやった。これでわからなければただのアホだ。
「どうでもいい・・」
「え?」
「どうでもいいって言ったのよ!」
急に声を荒げる女。女ってすぐヒストリーになるよな。ん、なんか違う?
素直になれない女に需要などない。ツンは二次元にのみ許されたものだ。赤山ゆりかさんなんて実際にはいないんだ。ちなみに、赤山ゆりかは俺の好きなスケベゲームに出てくる声優さんだ。
「何もしないなら帰れ!」
俺はなるべく冷たく吐き捨ててっやった。こういう典型的なB型女の言うことを聞くとろくなことにならないとモテ男の掟に書いてあったのだ。
「何もしないって、あんたがさせてくれないだけじゃないの?!私の話を少しでいいから聞いてよ!」
色白の顔を真っ赤にして幽霊女は言った。いや、叫んだ。
「???」
俺の頭にも特大のハテナマーク。ちょっと何言ってるかわかんないです。
「はぁ・・・このままじゃらちがあかないわ。わかった。私の話を聞いてくれたらおっぱい触らせてあげる。だから少しでいいから黙って私の話を聞いて」
息も絶え絶えの幽霊女。そもそも幽霊って息してんのか。なんだか可哀そうになってきた。
「仕方ないな。女性のワガママを聞いてやるのもモテ男の務めというもの。話してみろ」
「・・・言い方が気に入らないけどまぁいいわ。いい?よーく聞いて。私は幽霊。誰かに殺されて気づいたらこの街にいたの。私には恨まれる筋合いなんてないわ。何としても犯人を見つけないと気が済まない。このままじゃ成仏なんてできるわけないの。わかった?」
女の言うことはつまりこうだ。めんどくさい事情がある。
「だが断る!」
キリッ!
「あんたそれいいたいだけでしょ?」
キーキーとうるさい女だ。
「そもそもこの話俺に何のメリットがある?それにお前は大事なことを見落としているぞ?
」
そういうと俺は女の座っているソファの隣に腰掛け胸を
「おっぱいが先だろうが!」
揉んだ!・・・ん揉んだ?
スカッ。スカッ。なるほど完全に理解した。
「幽霊だから触れないのか・・・・?貴様俺をだましたなぁ!よくも僕をこの僕を騙してくれた。よくも」
「よくもまぁそんなにポポンとネタが出てくるわね。呆れを通り越して感心するわ。いい?約束を守ったのだからあなたは私に協力するの。い・い・わ・ね?」
勝ちほこった幽霊女の顔は3発程度なら殴っても世間様は許してくれるだろうムカつきを俺に向けた。
俺は精いっぱいの皮肉を込めて応えた。
「おかのした」
「まずはこれでも飲んで落ち着けよ」
アツアツのコーヒーを出してやった。幽霊であろうとあの格好なら風邪を引くこともあるかもしれない。
「ありがとう気が利くわね。いただくわ。」
幽霊なのにコップを持ち上げている。今更驚くのもおかしな話だが、やはり俺の理解の及ばない存在が目の前にいるのは事実だ。
ずずー。コーヒーを啜る音だけが室内に響く。そろそろ頃合いだろうか?
「・・・っっっ!しょっぱぁーーい!!」
幽霊女は俺の淹れたコーヒーを思うさま床にぶちまけた。やれやれいったい誰が掃除すると思っているのか。
「あんた・・これ・・なに・・入れたのよぉ?!」
「清めの塩だが?」
「何てことすんのよ?!死ぬかと思ったわ!っぺっぺ」
「いやもう死んでるだろ?成仏したいんじゃないんか?」
女の言うことはよくわからない。これもひとえに守り抜いてきた童貞のsagaか。
「成仏より大事なことがあるって言ったじゃない?!私は犯人を突き止めたいの。どうして私が死ななければならなかったのかを」
「ほー、そうか」
ウィィィィィィィィィィン。
「そうかー・・じゃないっ!!なによそのリアクション。ちょ!やめ!やめなさい!掃除機で私を吸おうとしないで!いつの間に持ってきたのよ」
触れない。つまり現実にない。文字通りの絵に描いたおっぱいだ。いや絵に描いたおっぱいって同人誌も含まれるのか。これを無価値と判断していいものか。あぁ頭が混乱する。ノイズが混じる。なんにせよ
「何もしないなら帰れ!」
「だからそれ言いたいだけじゃないの?!少しぐらい優しくしてよ・・ぐすん」
ついに泣かせてしまった。女の涙ってのはどうも苦手だなぁ。童貞だからよくわからんが。
「わかった。手助けしてやる。幸い部屋は余ってるし余裕もある。俺はもう寝るからこのリビングは好きに使ってくれ。今日はもう疲れたから行動は明日から起こそう」
「わかったわ、おやすみなさい」
不思議な長い夜は終わりを告げた。明日からどうすればいいかって。俺が知るかよ。でも、女の子の涙はもう見たくないよな。よく考えたらおっぱいは空から降っては来なかったが浴槽から生えてきた。俺の願いが彼女を引き寄せてしまったのだろうか。
今はまだなにもわからない。
お読みいただきありがとうございました。