女性用【語り部漆煇〜ローラ編〜】
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漆煇
[あらすじ]《3分半程度》
『王都の気狂い研究者』と呼ばれ人々に恐れられてきた彼女は語り部漆煇と名乗り、各地で気狂った研究成果を語り継いでいた。傍らに二匹のキョンシーを侍らせて―――。
【漆煇】
やぁぁっほぉぉォ〜〜!! アタイは漆煇! 語り部やってんだよね! この地方は初めてだよ。何つったっけ、ハルベシオ地方? すっげぇね、鬼張山があ〜〜〜んなちっせぇの、めっちゃ面白いね!
うん? ああ、横の二人はね、キョンシーちゃーん! まあ平たく言うと動く死体ってやつでね! 左がアレキサンドラ5世。右がヴァ・レドー。死にたくなったらおいでよ! すっげえ楽しく殺してやる!
そんじゃあ、今日は王都の話でもしよっか! 王弟殿下の侍女、ローラについて!
(咳払いをして)
んん゛、よし。落ち着いたっ。
彼女は真面目な子だったよ、アタイも何度か話した事があってね。
女遊びの激しかった王弟殿下をどうにかしたいって去勢まで頼んできた程でね。まっ、それはアタイの部下が必死で止めてたけど〜。
そんなローラには婚約者が居たんだ。
まあ彼女も一応、伯爵家の次女だし当たり前っちゃあそうなんだけど。
ローラにも、相手の婚約者にも、愛なんて無くてさ。
でもほら、ローラは真面目な子だったから彼を愛そうとしたんだよね。それが婚約者として当たり前だから〜とか。そんな理由を並べ立てて。
出来る限り、手を尽くした。
でも愛せなかった。
真面目なローラはそれじゃあいけないと思ったのかアタイの所へ来た。わざわざ深夜に、見張りの目を掻い潜って怪し〜〜〜い実験をしてるアタイの所へ。
ローラは言ったの。
『私を見た彼が、私を愛すように。
彼を見た私が、彼を愛すように』
――そんなシロモノを作ってください。
ってね?
幸いにも、いや。残念な事にその場にいたのはローラとアタイだけ。アタイを止められる部下も騎士も王も、誰一人居なかった。
(ゾクゾクと興奮が湧き上がるように)
そこからは失敗の連続だった。
ワクワクしたよ、高揚したよ。
式を間違える度、調合を違う度、
ローラの焦る顔が滲み浮かんだ。
(静かに落ち着いて)
…そして完成したの。
世に出すつもりのない、使う用途も一度きりのアブナイもの。
出来上がったソレをローラへ見せれば彼女はそれを引っ掴んで王城を駆けて行ったよ。
………。え? その後?
ああ、そうそう。その後の話も気になるよね。
(物語を聞かせるように)
どこかの王弟殿下お付きの侍女は自分の婚約者へ怪しい液体を飲ませてこう言いました。
『これで貴方を愛せるわ』
そうして婚約者へ飲ませた液体を自らも呷れば何故か侍女は倒れ込みます。
…そして思い出しました、あの研究者の言葉を。
「いーい?
死にたくなければ毒を飲むの。
生きたくなければ薬を飲むの。
飲む量さえ間違わなければ。
毒も薬も怖くないんだよ」
彼女はやっと気付きました。
あの研究者は…最初から、薬なんて作らなかったのだと。
………ふふふ。
あははっ♪
楽しい、楽しいお話は終わりー! 今日は随分と昔の話をしちゃったねぇ〜!
次は〜? 誰の死に様を話しちゃおっか!?
ふふふ、聞きたくなければ耳を塞げばいいんだよ〜!
見たくなければ…ふふ、目を取ってあげようか!?
…なんてね。
語り部漆煇、そろそろ旅立つよ。
まったねーん♪
STORY END.




