男女兼用【蝶の結び目】
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悲しげな声
[あらすじ]《2分半程度》
祖母の家の押し入れから聞こえてきたのは酷く物悲しい声でした。祖母は昔から幽霊だとかそういうものを信じてはいませんでしたから彼女の家にそういうものがあるのが不思議で、私は思わずそれに言葉を返してしまったのです―――。
【悲しげな声】
やっと届いてくれたのかい。
やっと声が届いたのかい。
ああ、恨めしい。恨めしいのだ。
アイツらは私から我が子を奪ったのだ。
キミは……、ああ、関係ないのか。
何の関係もなくて。…だけれど私の声を聞いてくれるのかい。
ならば、気休めに話でも聞いてくれるかい。
(相手の返事を聞いて嬉しそうに)
そうかい、そうかい。
ならば、もう少し近くにおいでな。
そうそう、奥に来れば暖かいからね。
そうだ、話だったね。
話を聞いてくれるんだったね。
私には我が子が居たのだ。三人ほど。
一人は赤子の時に死んでしまってね。
もう一人は知らぬ男の慰み者になってしまった。
後悔は してナいと言えば嘘になる。
だけれど、もう『仕方ない』からね。
ならばと私は、残っタ一人を愛そうとしたのだ。
だけれど、それすらも私はアイツらに奪われたのだ。ああ、恨メしいのだ。苦々しいのだ。
もう…、アイツらが死んでしまえバいいのニなドト…考えてしまったのだ。
それが、その思考が、恐ろしクテ。
それカらずっと、こコにいるのだ。
…キミの、服…美しイナ。
蝶の刺繍がシてある…、良い、仕事だ。私も刺繍が好きだッタ。
特に、何かと何かを繋ぐ…、結び目はヨぅく、よゥく…描イテいたさ。
…それモモう、出来ないガね。
……、話を聞いてくれてありがとう。優しいパピヨン。
私の事はどうか、忘れてくれ。
STORY END.




