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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
87/197

男女兼用【他人の台本を借りるとは】

台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂0︰♀0︰不問1

 真面目な若者

[あらすじ]《5分程度》

 ただの聞き専ですので。そう言って遠慮(えんりょ)する若者に私は頭を下げた。若者は私の説得に何とか首を(たて)に振ってくれた。私は若者の優しさに感謝をしてボイスレコーダーのスイッチを入れた―――。











【真面目な若者】

 皆さんに最初に言っておきます。

 私がこれから話すことは正論(せいろん)ではございません。

 正義でも説教(せっきょう)でもありません。

 ただ、タイトル通りのことでございます。


『他人の台本を借りるとは』どういうことか皆さんは考えたことがございますか?


 私は、台本書きでも演者でもございません。

 人の演技を楽しむ、ただの聞き(せん)でございます。


 誰かが書いた台本で誰かが楽しげに演技するのを聞いているのは大変楽しいのです。


 ですが、(とげ)もあります。

 台本書きが演者を(けな)すこと。

 演者が台本を(けが)すこと。


 この界隈(かいわい)に居て長いですから、そういった場面に出くわすことも度々ありました。

 その度に、ただの聞き専でしかない私は思うのです。


 (むな)しい、と。


 セリフ読みや声劇は誰もが簡単に始められることです。

 誰もが簡単に、そして盛大(せいだい)()めてもらえることです。

 ですが、この界隈(かいわい)は簡単なようでとても難しい。


 一つ間違えただけで、追い出されることもあります。

 一つ失敗しただけで、それを永遠に()められることもあります。

 一つ(くじ)けただけで、周りに誰もいなくなるのです。


 そうして消えてしまった人達を、私はよく知っています。


 ただの聞き専であった私は止めることすら(かな)いませんでした。

 そうして消えていった人達を二度と戻ってくるなと怒鳴(どな)る声も聞こえました。


 私は残念ながら他の界隈(かいわい)をよく知りません。

 ですから、どの界隈(かいわい)もきっと同じだとかそういう無責任なことを言うつもりもありません。


 ただ、知っておいてほしいのです。

 他人の書いた台本を借りるということを。


 界隈(かいわい)から出ていった人の大半は他人の台本を知らずに壊してしまった人達でした。

 初めてだと言っていた人もいました。

 配信すら初めてだという人もいました。


 良い意味で軽い気持ちで始められるものだから。

 (ひま)だからやってみた、友達がやっていたから、面白そうな台本を見つけたから。


 始める理由なんてそんな些細(ささい)な事でいいのです

 そこからハマる人もいれば、合わなかったと、離れる人もいる。


 それでいいのです。


 始めた理由すらバカにする人間はいますが、そんなもの無視でいいのです。

 始めた理由も続ける理由も皆それぞれでございますから。


 ですが、その始めた先で…もし他人の書いた台本を借りるのならば。


 知っておいてください。


 その台本は台本書きの大事な我が子です。

 御粧(おめか)しをして、胸を張っておいでと元気に送り出した大事な子なのです。


 どうかその大事な子達を守る利用(りよう)規約(きやく)諸注意(しょちゅうい)はしっかり読んで下さいませんか。


 聞き専からのお願いです。

 演者も台本書きも笑顔で終われる劇にしませんか。

 誰かが、界隈(かいわい)から離れていくのは見ているだけでも(むな)しいのです。


 随分(ずいぶん)昔から界隈(かいわい)にいます。

 ずっとずっと、聞き専でした。


 演者側に立ったことも、書き側に立ったことも1度もありません。


 あの時聞いた演者もあの時見た台本書きも

 (むな)しく涙を(こぼ)して去っていきました。


 お願いです。

 もう少しだけ、(たが)いに()()ってみませんか。


 すみません

 予定のないことまで話してしまいました。

 これ、時間大丈夫ですかね。


 あ、いえ。

 きっとこれからも、演者になることも、台本書きになることもないと思います。

 私は人の演技を聞くのが大好きなので

 それがどんな形でも失われていくのは悲しいです。


 こんなことを言うと、そうですね。

 重箱(じゅうばこ)(すみ)をつつくような悲しい指摘をされてしまいますが。

 問題を起こしてしまった方も、誰かを傷つけてしまった方も。

 その前は普通の演者で、普通の台本書きで。それが失われるのは、それが無かったことになってしまうのは、あまりに悲しいのです。(むな)しいのです。


 ………。


 あっ、はい。ありがとうございました。

 はい、お疲れ様でございました。










STORY END.

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