男性用【語り部船良〜縁切り編〜】
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船良
[あらすじ]《4分半程度》
語り部船良はとある僻地の気怠げな魔法使い。口喧しい使い魔と共に荒れ狂う世界を渡り歩く。さあ、今日はどこに行こうか―――。
【船良】
あ、ちっす。船良です。魔法使い兼語り部やってます。
長い語りは得意じゃないんですが、この間語った所で俺の締めの言葉、『女神ルーゼルッタの加護』に若干名首を傾げていたので今日はその女神について語りましょう。
女神ルーゼルッタは元々、小さな小さな花の綿毛でした。花の綿毛だったモノがどうして女神になり得たのか。
それはぜぇぇんぶ勘違いと間違いから始まりました。
綿毛だった彼女は種を遠くまで運ぼうと、風に乗ってどこまでも飛んでいました。
そんな彼女はふと思います。
『自分の意思でどこへでも飛んで行ければいいのに』
そんな思いが何をどう間違えたか創造神モガテイラー、の息子…と呼べばいいのか娘と呼べばいいのか分かりませんけど。創造神の子供の一柱、レイライに届きました。
レイライはその時、モガテイラーに言われ空の自由を守っていました。
そしてレイライは勘違いをするんです。
『ボクの空で自由に飛べない命がある』と。神様っていうのはどこまでも慈悲深く、そして愚かでしてねえ。
レイライはその思いの主に力を与えたのです。自由に空を渡る力を。
彼女はその力がなぜ突然与えられたかも考えずに、風に逆らって飛べる自由さに歓喜しちゃいまして。
そうして空を飛び続けて幾年。空にあるものはいつか地に落ちます。それが元々落ちる為の物なら尚更。
地に落ちた彼女は空を見上げて思います。
『もう一度飛びたい。もう一度だけ』
叶った夢ってのはどうも貪欲に成り代わる事が多くて困りますよねえ。
そんな彼女の願いは思わぬ形で叶いました。
その思いは古代ルジシアの神の一柱、ルーザルに届いたのです。ルーザルは『思い』の神でした。
その強き貪欲さに惹かれたルーザルは他の『思い』も引き寄せて彼女らを自分の子供として『神様』にしてしまったんです。正しい不正解ですねえ。
それが縁結びの神、ルーゼルーナと縁切りの神、ルーゼルッタ。
二柱で一つの双神となった姉妹は世界へ正しく働こうとしました。
しかしルーゼルーナの隣にルーゼルッタの姿はありません。はて、どこに行ったのか。
答えは簡単。彼女は『飛びたい』という思いから生まれてしまった間違った女神。
そんな間違いだらけの自由を持った彼女は、ルーゼルーナと共に神の役割を果たそうとはしません。それどころか縁を切り、新たな世界へ旅立ちたいと願う者の縁を好き勝手に切り倒す暴虐っぷりまで見せちゃいまして。
ルーゼルーナは親であるルーザルに打ち明けました。ルーザルはなぜもっと早く言わないのかと、ルーゼルッタを叱る為、飛び回りました。…が、彼女の力はもう彼女ですら制御出来ないものとなってしまっていたのです。
そこでルーザルはとある……、そうですね。ここでは『魔法使い』とでも言いましょうか。
とある魔法使いへ子供であったはずのルーゼルッタを消して欲しいと頼みました。
魔法使いは二つ返事で了承をし、ルーゼルッタを探し出して苦しみ藻掻くルーゼルッタを消してしまったのです。
消したと言っても力を奪い、姿すら保てないようにしただけでした。完全なる神殺しはあまりに大罪でしたからねえ。
まぁ、あと数千年もすればルーゼルッタもだいぶ反省して、またルーゼルーナと共に神の役割を果たし始めるでしょうし、その時まで彼女の名くらいは覚えてあげてくださいな。
それじゃあ俺はこの辺で。
女神ルーゼルッタの加護が皆さんにあらん事を―――。
STORY END.




