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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
82/197

男性用【語り部船良〜縁切り編〜】

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 船良

[あらすじ]《4分半程度》

 (かた)()船良(せんら)はとある僻地(へきち)気怠(けだる)げな魔法使い。口喧(くちやかま)しい使い魔と共に荒れ狂う世界を渡り歩く。さあ、今日はどこに行こうか―――。







【船良】

 あ、ちっす。船良(せんら)です。魔法使い兼語り部やってます。


 長い語りは得意じゃないんですが、この間語った所で俺の()めの言葉、『女神ルーゼルッタの加護(かご)』に若干(じゃっかん)(めい)首を(かし)げていたので今日はその女神について語りましょう。


 女神ルーゼルッタは元々、小さな小さな花の綿毛(わたげ)でした。花の綿毛だったモノがどうして女神になり得たのか。

 それはぜぇぇんぶ勘違(かんちが)いと間違いから始まりました。


 綿毛だった彼女は種を遠くまで運ぼうと、風に乗ってどこまでも飛んでいました。

 そんな彼女はふと思います。


『自分の意思でどこへでも飛んで行ければいいのに』


 そんな思いが何をどう間違えたか創造(そうぞう)(しん)モガテイラー、の息子…と呼べばいいのか娘と呼べばいいのか分かりませんけど。創造神の子供の一柱(ひとはしら)、レイライに届きました。

 レイライはその時、モガテイラーに言われ空の自由を守っていました。


 そしてレイライは勘違いをするんです。

『ボクの空で自由に飛べない命がある』と。神様っていうのはどこまでも慈悲(じひ)(ぶか)く、そして(おろ)かでしてねえ。


 レイライはその思いの(ぬし)に力を与えたのです。自由に空を渡る力を。

 彼女はその力がなぜ突然与えられたかも考えずに、風に逆らって飛べる自由さに歓喜(かんき)しちゃいまして。


 そうして空を飛び続けて幾年(いくねん)。空にあるものはいつか地に落ちます。それが元々落ちる為の物なら尚更(なおさら)


 地に落ちた彼女は空を見上げて思います。


『もう一度飛びたい。もう一度だけ』


 叶った夢ってのはどうも貪欲(どんよく)に成り代わる事が多くて困りますよねえ。

 そんな彼女の願いは思わぬ形で叶いました。


 その思いは古代ルジシアの神の一柱(ひとはしら)、ルーザルに届いたのです。ルーザルは『思い』の神でした。


 その強き貪欲(どんよく)さに()かれたルーザルは他の『思い』も引き寄せて彼女らを自分の子供として『神様』にしてしまったんです。正しい不正解ですねえ。


 それが縁結(えんむす)びの神、ルーゼルーナと縁切(えんき)りの神、ルーゼルッタ。

 二柱(ふたはしら)で一つの双神(そうしん)となった姉妹は世界へ正しく働こうとしました。


 しかしルーゼルーナの隣にルーゼルッタの姿はありません。はて、どこに行ったのか。

 答えは簡単。彼女は『飛びたい』という思いから生まれてしまった間違った女神。

 そんな間違いだらけの自由を持った彼女は、ルーゼルーナと共に神の役割を果たそうとはしません。それどころか(えん)を切り、新たな世界へ旅立ちたいと願う者の縁を好き勝手に切り倒す暴虐(ぼうぎゃく)っぷりまで見せちゃいまして。


 ルーゼルーナは親であるルーザルに打ち明けました。ルーザルはなぜもっと早く言わないのかと、ルーゼルッタを(しか)る為、飛び回りました。…が、彼女の力はもう彼女ですら制御(せいぎょ)出来ないものとなってしまっていたのです。


 そこでルーザルはとある……、そうですね。ここでは『魔法使い』とでも言いましょうか。

 とある魔法使いへ子供であったはずのルーゼルッタを消して欲しいと頼みました。

 魔法使いは二つ返事で了承(りょうしょう)をし、ルーゼルッタを探し出して苦しみ藻掻(もが)くルーゼルッタを消してしまったのです。


 消したと言っても力を奪い、姿すら(たも)てないようにしただけでした。完全なる神殺しはあまりに大罪(たいざい)でしたからねえ。


 まぁ、あと数千年もすればルーゼルッタもだいぶ反省して、またルーゼルーナと共に神の役割を果たし始めるでしょうし、その時まで彼女の名くらいは覚えてあげてくださいな。


 それじゃあ俺はこの辺で。

 女神ルーゼルッタの加護(かご)が皆さんにあらん事を―――。






STORY END.

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