男性用【美しい盗人が死んだ 前編】
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片腕の無い短絡的な男
[あらすじ]《2分程度》
盗人が死んだ、と呟く声は瞬く間に小さな町に広がった。その死を嘆く者、悲しむ者、呆然とする者…だけれど誰もその死を喜んではいなかった―――。
【片腕の無い短絡的な男】
……オーナー、マティーニを。
…? どうした、随分落ち込んでるな。…いや、謝らなくていいが…。
…盗人? 何だそれは?
……、ふむ、なるほど? つまりこの街には皆に愛される盗人が居たと? …で、…それが死んだ、と…。
…盗人が死んだんだから喜ばれるべきだと思うが…。その盗人は何をしでかしてそんな風に呼ばれてたんだ?
………ハッ、なるほどな。よくある話だ。
アイツはとんでもないものを盗んでいった。…お前の心だ、と。恋多き盗人だと……
……何? 宝石や先祖から伝わる宝も奪われる…? 何だそれは。大迷惑ではないのか。
…それでも彼は愛されていた、ねえ。…なるほど、この街自体がその盗人とやらに恋でもしていたようだな。
それで、死因は?
…は? 分からない? 死んだんだろ、その盗人は。
他殺か自殺か事故か。それくらいは分かるものじゃないのか?
…彼は、この街を忘れた…?
オーナー? 何言ってんだ? もうボケちまったのか?
(オーナーの返答を待っていたがそれも飽きて)
……。……まぁっ! 何だっていいけどな? 俺は偶然にも立ち寄ったこの店で『マティーニ』を飲めただけで万々歳だ。
っおいおい、何泣いてんだっ! あ? …あぁ、例の盗人も好きだったのか…。そりゃあまた奇跡みてえな偶然だなぁ。
(暫く考え込んで)
…………………。
よしっ、決めた。
今夜は店仕舞いまで付き合ってやる。その盗人の話、もっと聞かせろよっ!
STORY END.




