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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
72/197

男性用【語り部麒麟〜呪い酒編〜】

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 麒麟

[あらすじ]《3分半程度》

 (かた)()麒麟(きりん)は元傭兵。ガラの悪い喋りと腕っ(ぷし)の強さが人気の語り部だ。彼は今日も傭兵時代に聞いた話を豪快(ごうかい)に語り()ぐのであった――。






【麒麟】

 よォ、皆の(しゅう)。オレは麒麟(きりん)。語り部だ。…あー…、まあ。元傭兵(ようへい)ではあるな、何だ。当時のオレを知ってっか。偶然(ぐうぜん)だなァ。


 ンで、語り部に? ハッ、押しの強ぇ世話好きに(つか)まっただけだよ。

 まァ、ンな事ァどうだっていい。今日も道を()いてる奴以外、自由に聞いてきな。


 今日、オレが話すのは(のろ)(ざけ)と呼ばれる(いわ)くつきについて。


 呪い酒、そんな曰くつきが(ささや)かれ始めたのは今から数百も昔の事だ。


 北の僻地(へきち)になァ、杜氏(とうじ)―――ああ、酒蔵(さかぐら)(おさ)めてた伊戸(いと)っつー家があってな。

 そこの次期当主には()いてる女が居たんだ。片想いって訳じゃあ無くてな。女の方も男を好いてた。


 だが、女には許嫁(いいなずけ)が居たのさ。親同士が決めた胸糞(むなくそ)悪ィ奴がなァ。


 女はどうしてもその許嫁(いいなずけ)が嫌で嫌で仕方なかったらしくてなァ、次期当主の男に「駆け落ちしよう」と持ち掛けたんだ。

 しかし男はそれを断っちまった。

 男は女の事も好いていたが、それ以上に酒を(つく)る事も好きだったらしい。


 その返答に女は怒り(くる)った。

 次期当主の男はそれでも女の持ち掛けに首を(たて)には振らなかった。


 …その翌日(よくじつ)だ。

 伊戸(いと)酒蔵(さかぐら)で出来た酒を飲んだ客の一人がもがき苦しんで死んじまったんだ。(どく)だ何だと騒いでたんだが、伝手(つて)を頼って調べても毒らしいものは出てこなかったんだと。


 伊戸(いと)の当主もその分家(ぶんけ)の者達も首を(かし)げていたんだが、次期当主だけは顔を()(さお)にさせてこう言ったんだ、「呪いだ」ってなァ。


 ……その死んだ客はつい最近、女と駆け落ちして僻地(へきち)へやって来たんだと。


(おび)える客に少し笑って)


 それからその酒は「呪い酒」と呼ばれて世に売り出されてはいるんだが…もう伊戸(いと)酒蔵(さかぐら)は無ェし、この逸話(いつわ)を知ってる奴すら少ねェからなァ。

 出回ってる「呪い酒」は聞き覚えのある名に(あやか)りたいっつー、何の変哲もねェ酒だと思うぜ。


 まっ、色恋(いろこい)沙汰(ざた)に巻き込まれた哀れな旨酒(うまざけ)ってところだなァ。

 ああ、「知り合い」の伝手(つて)があってなァ。飲んだ事があンだ。……くくっ、(うめ)ェぞ?


 まァ、飲む機会がもしあるンなら、駆け落ち予定の女や男が居ねェか確かめとくンだな。

 うしッ、オレはそろそろ行くかァ。


 そんじゃあ、皆の()く道が幸運に満ちますように…ッてなァっ!










STORY END.

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