男女兼用【八月十七日】
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???
[あらすじ]《3分程度》
大掃除の日。ずっと使っていない収納ケースの中から出てきたのは一冊の日記。誰のものだろう? 好奇心に駆られたアナタは日記を開いてみた―――。
【???】
八月十七日。晴れ。
あの人から告白を受けました。
返事は待って欲しいとかろうじて言いました。どうして私なのだろう。不思議でたまりません。
あの人はもし、今。かの国との戦争が終わっていれば私達は親友になれていたろうと言っていたはずです。
その気持ちがいつの間にか恋情に変わっていたのでしょうか。
私はどうにもあの人をそういった対象には見れません。だって私達は敵同士です。
今でも西の海では私の仲間があの人の仲間を殺しているでしょうし、あの人の仲間が私の仲間を殺しているでしょう。
私達がこうして時折酒を飲みながら交流を取っていることも本当は秘密なのです。バレてしまえば私もあの人も命は無いでしょう。
……。
逃げたいのでしょうか。あんな頭のおかしい国から。
生まれたばかりの赤子を、年老い、朽ちていくだけの老輩を。情も無く棄てゆく国から。
敵の私から見ても、あの人の国は確かにおかしいです。あの人が哀れに思えてしまうほどに。
……逃げたいのでしょうな。
私はその手助けも出来ませんで。
正直に言えば私だって戦争などしたくありません。お偉い者らに手が届くのなら胸倉を掴んで喧嘩なら他所でやれと怒鳴ってやりたいのです。
でもそれは無い物ねだりというやつでして。私もあの人も従うしか道はありません。
……どうせこの日記は私しか見ないのだから本音を書いてしまいましょう。
私はあの人に貴さを見てしまうのです。マトモに戦えば私は呆気なく負け果てるのだろうとは分かっていますから。
しかしそんな相手といつバレるか分からない酒を飲み交わしている。
そんな状況に興奮さえしてしまえるのです。だってあの人は貴いですから。
そんな貴い方から受けた告白。正直に言えば今すぐにでも断ってしまいたい。しかし何故かソレをしなかった。何故でしょう。分かりません。
私は…一体、あの人をどうしてしまいたいのでしょう。
STORY END.




