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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
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65/197

女性用【都市伝説『白髪様』】

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 南

[あらすじ]《5分程度》

 では今日(こんにち)も語って参りましょう。今回語るのは迷いの山に住む白髪(しらがみ)様について。怪談(かいだん)(しゃ)は毎日どこかへ出かけては居なくなる会長の代わりを務める副会長の(みなみ)で御座います―――。









【南】

(話を始める前に喉を鳴らして)


 ん、ん。あ、あー。ん゛ん゛。

 大丈夫かな、マイクも・・・OK、ちゃんと音入ってる。……ふぅ、……っよし!





 皆様、こんばんは。怪談(かいだん)愛好(あいこう)会副会長、(みなみ)と申します。今回は迷いの山に住まう、白髪(しらがみ)という妖怪について語りましょう。


 今から250年前。

 山へタケノコを取りにやって来た男は帰り道が(ふさ)がれている事に気が付きました。

 迷いの山は250年前も今も変わらず、『ある物』を持って来ていないと帰り道が山の神様によって(ふさ)がれてしまう、厄介(やっかい)な山です。


 男はその『ある物』を家に忘れてきてしまったのです。男はその事実に気付いて頭を抱えました。


 アレが無ければ・・・。男は自分がそのまま山に飲み込まれてしまう幻想(げんそう)まで見ました。

 しかし男は帰らなければ。と足を動かします。


 男は家に妹を待たせているのです。

 迷いの山へタケノコを()りに行くのだと言って聞かない兄を心配そうに送り出した結婚間近の妹が。

 そもそも男がタケノコを堀りに来ているのは妹の結婚式の為です。なぜか結婚相手すら教えてはもらえなかったけれど、男はそんな事も些細(ささい)に思えてしまうくらい「妹が結婚する」という事実が嬉しくて(たま)らなかったのです。


 だからこそ男は背の(カゴ)に入ったタケノコを落とさぬように背負(せお)い直しました。

 足を一歩一歩踏みしめて山の中を進んでいきます、が・・・。


 (くだ)ったはずの道は出口を見せぬまま、深くなっていき。登ったはずの道は太陽すらも迷子にさせました。


 男は段々疲弊(ひへい)して行きました。帰るのだという意思は変わらないものの、もしかしたらという嫌な予感も頭から離れないのです。


 そんな時です。


 山の奥の方から『ワスレタカ、ワスレタカ』と低く重い声が聞こえてきたのです。男は声の主を知っていました。

 その声の主こそが迷いの山に住む、大妖怪。今回の話の主役、白髪(しらがみ)様です。


 男は今更ながら家へ忘れてきた『ある物』の存在を強く(ほっ)しました。アレがあれば白髪(しらがみ)という妖怪なぞ、知らぬ内に見過ごせるというのに。


 男がそんな事を考えている内にも『ワスレタカ、ワスレタカ』という怒りに燃え(たぎ)るような声は()みません。それどころか男の居る方へと近付いてくる気配さえします。


 男はその場へ棒立ちになりました。恐怖で足が動かないのです。無意識の内に顔は(うつむ)きがちになります。そんな男に生温(なまぬる)い風が通り抜けました。

 見えないけれど、横にアレが居る。男はそう感じました。


 ()われて終わってしまうのか。

 そう思った時耳元で“彼”が言いました。


『・・・ナンダ、クオウトオモッタラ。

 アイツノミウチカ。ツマラン、サレ』



 男は気が付くと山の入口に居ました。

 背の(カゴ)にはタケノコが入っていました。

 助かったのか、と息を吐いた時。男の妹が遠くの方から小走(こばし)りでやってきました。

 よくよく見渡(みわた)せばもう夕方になっていたのです。男が山へ入ったのは昼飯を済ませたすぐでしたから何時間も山へ居たことになります。


 男は心配する妹を軽く(なぐ)めて家へ戻りました。戻った先で妹の結婚相手だという白髪(はくはつ)美男子(びなんし)が居るとも知らずに―――。







 都市伝説『白髪(しらがみ)様』。

 ここまで聞いて頂きありがとうございます。今回の語りは怪談愛好会副会長南がお送りしました。また来月をお楽しみに!





(マイクをOFFにしてから)

 っっっだぁ〜〜〜〜! つっかれたぁ。

 ああ、ダメっ、放送室暑い〜! 窓とクーラー! ・・・は〜〜〜〜、生き返るわ〜。










STORY END.

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