男女兼用【呆気ない死を】
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お喋りな学者
[あらすじ]《3分半程度》
化け物、と称されながらも研究施設で大事に育てられている少女が居た。彼女は大切にされる事を嫌っているらしいが、学者にとってそれは些細な問題で―――?
【お喋りな学者】
こんにちは、お嬢さん。
私は学者。この施設を抜けた先にある大きなお城で、色んな研究をする賢い人だよ。
何をしに来たか? ああ、死にに来たんだ。こんな世界、もう真っ平御免だからね。
ああ。君に殺されたいんじゃない。君を守るこの機械達に殺されたいんだ。
君は化け物だなんだと言われているけれど、人を亡きものに出来るほど力が強い訳でもないし、毒性のある身体をしてる訳でもない。
死にたいけれど、学者をやっていたからか調べたい欲もあるんだよね。……まあ、調べないんだけど。
それはきっと私の仲間がする事だからね。
それでさ。私は今から君を守るこの機械達に殺されようとしてる訳だけど……おお、そうそう。その質問が欲しかった…!
どうやって殺されるのかってね。
君は知ってる?
この機械達はね、君の不安や恐怖や憎しみが、基準と定められた数値を上回ると作動するんだ。
つまり私は君を不安にさせてしまえばいい。
恐怖に陥らせればいい。
憎しみを生み出してしまえばいい。
簡単な事さ。この施設が君を育てながら、君に秘密にしてきた事を暴露すれば良いんだからね。
貴方を殺したくない? ははっ、優しい化け物様だ。なら、ここから逃げればいい。幸い私が入ってきたままで入口は開いてるし、監視カメラの映像も静止画に切り替えてある。
本当に逃げるなら今。ってやつ。
まぁ私は殺されればそれでいいから、君が逃げようが何をしようが構わないんだけど。
君が逃げても君の恐怖や不安は、この機械達に伝わってこの機械達はこの部屋にある、全てを壊そうとするだろうね。
……どうしようが私には関係ないのだけれど。
私はね、今回死ぬ為に私の仕事をぜーんぶ終わらせてきたよ。引き継ぎの要る仕事は後輩に割り振ったよ。いやあ、普段から仕事してないとさ、怪しまれるんだよね。
君はさ、どうするの?
私を殺さない為にここから逃げるなら、機械達を止めないとね。
じゃないと、外の世界で君が不安や恐怖や憎しみに押し潰されちゃったら私、死んじゃうし。……あはっ、まぁその前に異変を知った施設の奴らに殺されちゃうね。
ねえ、どうする。お嬢さん。
ちなみにね、私の知識を使うって手段もあるんだよ。私はお城で色んな機械を分解しては、また組み立ててっていう……とてもつまらない研究をしてた賢い人だからね。
貴方は何がしたいのって? あははっ、だから言ったじゃないか。死にに来たんだよ、化け物さん!
呆気なくね、死にたいんだ。君の不安で、恐怖で、憎しみで。
君を守る無機物に、肉を引き裂かれながら殺されたいんだよ。
だからさ、君はどうしたいのって話さ。
ねえ、お嬢さん。
自由になってみない?
STORY END.




