男性用【語り部蟻蝉〜偽物編〜】
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蟻蝉
[あらすじ]《2分半程度》
語り部蟻蝉。彼の名を聞けば世話になったのだと苦笑う同業者で溢れる。そんな彼はもうこの世には居ない。これは僅か四十で殺された自由な語り部の話である―――。
【蟻蝉】
ちょいとそこのお嬢さん。悪い事は言わないから俺っちの語り聞いてかねェ? なぁに、損はさせねェ。
俺っちは蟻蝉。自由を愛する語り部さ!
今日話すのは俺っちが愛するものについて。勿論俺っちが好きなのは自由さ。でも二番目に好きなものがあってな。「偽物」さ。
まぁ偽物ならなんでもいいんだがなァ、一番好きな偽物は、言葉だな。
簡単に言えば俺っちは『嘘』が好きでなァ。騙されてる感覚ってのは分かってても分からなくてもゾっクゾクするんだよなァ。
あァ? だぁれがマゾだって? 俺っちはなァ、本物に興味なんぞねェのよ。だってそれは誰もが求めるモンだろう? 誰もが『正解』だと声高らかに言うモンだろう? つっまんねェよ、そんなの!
だから俺っちは偽物を求めるのさ。
言葉に混ぜ込まれた『ウソ』。それが俺っちの好物でなァ。偽物の言葉ってのは飾らなくていい。気取らなくていい。それを聞いて騙られようが、腹が立とうが出ちまったウソは戻らねェ。
そんな当たり前で、頭を抱えたくなるような事実がとてつもなく旨そうに見えちまうのさ。
ただなァ、嘘をついて後悔するような奴は好みじゃアねェな〜…。だってよ、「偽物」を抱える余裕のない奴が「本物」を愛せると思うかァ?
俺っちは息をするようにウソを吐ける。そんな奴が………居ればなァ。ま、無いモン強請りしても仕方ねェんだけどよ。
あん? 他の語り部と違う? 馬鹿言うなよ、俺っちは自由を求める語り部だぜ? 他の語り部と同じ形式で語る訳ねェだろうが。俺っちは俺っちの語りをするのさ。だってそっちの方が俺っちが楽しいからなッ!
さァてと、そろそろ俺っちは自由に歩き回ろうかねェ。まァ、どっかで偽物を掴まされたら俺っちの所に持ってこいよ、アンタらん所に居るよりずっとシアワセだと思うからなァ。
そんじゃあ、また別の演目で会おうぜ、またなァ!
STORY END.




