女性用【バラくさい庭園にて 後編】
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うすら笑みを浮かべた女
[あらすじ]《2分半程度》
どうやら貴方は眠っていたようだ。肩に掛かっていたのは黄色いバラの描かれたブランケットだった。貴方はそれを見た途端、殆どの事を思い出したのだった―――。
【うすら笑みを浮かべた女】
あら、おはようございます。
……どうかしたのですか? そんなに驚いた顔をして。……へ? “帰らなくてはならなくなった”?
……良かった。思い出せたのですね。
泣いている? いえいえ、そんな事ありません。もし本当に泣いているのならばそれは嬉し涙ですわ。
ふふ。では、帰る準備をしなくてはなりませんね。この場所も私も…お役御免です。
いいえ、謝罪なんておやめ下さいな。貴方が来る、ずっと昔からここに居ますから…。少し鬱鬱としていたのです。
ですから貴方が謝る事は何もありませんわ。
そうですね、帰る場所はお分かりですか? ……ええ、合っています。本当に……本当に全てを思い出せたのですね…。
……え? 分からない事がある?
わ、私の事ですか?
私は……、…………私の事なんて知らなくて良いんです。貴方が、貴方の行くべき場所へ持っていくのは…貴方が愛した方の記憶だけで良いのですよ…。
そうですわ、×××へ行くのならば贈り物を差し上げますわ。
どうぞ。……少し、形が変わってしまっていますが…結婚指輪です。
ええ、そうです。貴方があの時、あの事故の時…ずっと握り締めていたもの…、やっと貴方に渡すことが出来ます。
どうしてコレを持っているのか? ……私は、貴方にコレを渡す為にここに居たのです。貴方が『彼女』を思い出す為に……。
ふふ。
……そろそろ、時間ですわね。
では最期にコレを。
黄色いバラですわ、小輪ですけれど持って行ってくださいませ。
……ええ、それでは。
さようなら。
ああ、……私ももうすぐ消えられる…。この庭園も…ああ、良かった……。
アズサ、良かったですね。
シンイチさん…、無事に貴方の元へ逝けましたよ。
貴女は私の、大事な親友ですもの……。シンイチさんが輪廻から外れたとしても…私が何としても取り戻しますわ…。
貴女に、最期の恩返しが出来て……本当に良かった、
…………。
ふふ。
相変わらず、嫌な匂いね……。
STORY END.
小輪の黄色いバラの花言葉
「笑って別れましょう」




