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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
48/197

男性用【語り部梨網〜女装編〜】

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 梨網

[あらすじ]《4分程度》

 (かた)()梨網(なしあみ)は西の辺境(へんきょう)で生まれ育ち、(わず)か九つで語り部として世に旅立った。温和(おんわ)な語りで女性客を魅了(みりょう)する彼は今日も正座をして語り始めるのだった―――。










【梨網】

 ほんなら今日も始まひょか。

 ボクは梨網(なしあみ)。語り部は(とお)の一つ前からやっとるから安心して聞いてってな。


 今日は何を話そかなあ。

 話のネタが無い言うてる訳やないんよ? ただ、ほら。語り部なんていちいち台本用意して喋っとる訳やないし、その日のお客さんの(そう)を見て何話すかその場で決めとるから、ほんちょっと困るんよね…。やってその子ぉはこの前見た子やし、アンタは先日も居ったやろ? ボクの語りは女の子にはつまらんと思うんに、なしてこんなに聞きに来てくれるんやろかあ?


 不思議やわあ。

 ふふ、まあ何にしてもお客さんが増えてくれるんやったら嬉しいわなぁ。

 ほんなら今日はボクが花街(かがい)で女装した話でもしよかな。

 ゆっくり話すから何も(あわ)てんでええんよ?


 ボクが花街(かがい)で語り部しながら路銀(ろぎん)(かせ)ぎしとったんは、まぁ他の語り部達にも有名な話やねえ。

 あの花街(かがい)遊郭(ゆうかく)としては大きいとこやったし、薄暗(うすぐら)い雰囲気やなんて一つもない、明るいとこやったわあ。


 遊女(ゆうじょ)さんも娼婦(しょうふ)さんも綺麗な人ばっかでなあ。ボクは語りしとる時、いつも目の保養(ほよう)贅沢(ぜいたく)しとったわ。


 確か……あの花街(かがい)の時が、13ぐらいやったかなあ。今やったら花街(かがい)で語りやなんて考えられへんけど当時は良い路銀稼ぎやったんよ。

 ボク以外にも弟子を連れた鹿華(ろくばな)やとか来とったし、ふふ。これ言ったらあかんだかな? …まぁええか。


 話戻そな。

 その花街(かがい)禿(かむろ)が何人も殺される事件があってな。ああ、禿いうんは花街(かがい)に住む童女(どうじょ)の事で、大きなったら遊女になるんよ。

 そんな事件が起きてる最中(さなか)でもボクは特別何も警戒(けいかい)せんと語りをしとったんよねえ。


 そうしたらその花街(かがい)でもよう繁盛(はんじょう)しとる遊郭(ゆうかく)親父(おやじ)様がボクの元に来てな。こう言うたん。


『お前、女装してみんか?』て。


 何言うとるんやろ、この親父様は。

 とは思うたんやけどよくよく聞いてみたら(おとり)になってくれ言うんよ。まぁ、幼い頃から語りやる為に旅しとったからそれなりに戦えはするんやけどなあ。


 それでも護身(ごしん)ぐらいしか出来んよ言うたらそれでええて言うたんよ。せやからボク、ちょっと気合い入れよ思うて。

 いつも語りを聞きに来てくれる遊女さんらに化粧(けしょう)をお願いしたんよ。


 ……まぁ、ボク。顔はそない悪くないしその時は背も低いんもあって可愛らしい禿が出来上がったんやわ。……。いやいや、見たいて…。見てもええ事無いえ?


 ふふ、そんでな?

 その花街(かがい)で殺しの被害が多かった遊郭で客引(きゃくび)きしとったら、客足(きゃくあし)も落ち着いてきた時やったわ。不意(ふい)に背後に気配を感じてな。


 ボクは咄嗟(とっさ)にしゃがみこんでから足払いしてやったんよ。相手は油断(ゆだん)しとったみたいでギャアとかグオッとか悲鳴をあげて倒れ込んでな。

 物音を聞いて()けつけてくれた親父様達に得意げに笑ってやったんよねえ。


 そん(あと)で話聞いたら昔その花街(かがい)に妹さんが禿として居ったんやって。でもすぐに流行(はやり)(やまい)で亡くなってしもて…それから花街(かがい)で働いてる禿を見ると妹さんを思い出してな…(つら)なって殺して回ってた……って。


 ・・・・・・・・・。

 勝手で傲慢(ごうまん)独善(どくぜん)的な行為のせいで殺された禿達をボクは決して忘れはせえへん…。


 ・・・ほんなら今日はこの辺にしとこかな。ボク、そろそろお腹空いたもんでなあ。……え、(おご)ってくれるん? 何やお客さんに悪い気ィもするけど嬉しいわあ。


 ほんなら、今日はここまで。

 聞いてくれてありがとうなあ。


 またゆっくり、どっかで会おうなあ。











STORY END.

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