男性用【語り部亀八郎〜茶会編〜】
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亀八郎
[あらすじ]《4分程度》
語り部の亀八郎は親も兄弟も居ない。毎日食っていく為に預けられた親類の家を飛び出し、自身の経験や又聞きした御伽噺を語りながら生を繋いでいた―――。
【亀八郎】
やあやあ、あっしは語り部の亀八郎。やいのやいのと語りをしてもう十何年になりやしょうか……。数をかぞえるのも途中で飽きちまったんで分かりやせんがね。
今日は日照りも穏やかですから少し長い話に付き合ってくだせぇ。これはあっしがとある貴族様の祝宴に招かれた時の話でやす。まぁ、茶会ですね。
何故そんな貴族様の茶会に招かれたかって言いますとね、その貴族様の令嬢様が下界を散策した際に語り部を見たのが発端でやす。
その時見た語り部はあっしじゃあ無かったんですが、何せ移動の多い職です。その令嬢様が茶会に語り部を招きたいと言った時にはもう既に、令嬢様が見たであろう語り部は街を離れていたんでやす。
令嬢様は残念に思ったそうでやすが、その街には新たに違う語り部がやって来ているとの連絡が彼女の耳に入りやした。…………言わずもがな、それがあっしです。
こんな職業で後ろ盾なんてありゃしやせんから、貴族様に連れられた屋敷で茶会で語れなど言われても、こちらとしては断る言葉すら言えやしませんでした。
まぁ、知らぬ人が殆どだと思いやすんで説明を一つ。
あっしはこう見えて貴族の家で育った過去がありやす。ほんの少しだけそういった者達への知識がありやした。
だからこそ、その貴族様が主催する茶会に語り部として失礼させてもらった時、やたら話し掛けてくる貴族様達をあしらう術はありやした。
相手が不快に思わない、かつ…あっしが無害なのだと知らしめておきました。そうした方が何かと楽でやすから。
……しかしまぁ、面倒な貴族っていうのはどこにでも居るものでやして…あっしがその茶会で最後の語りをしていた時の事です。
主催の貴族様も、その令嬢様も随分満足した様子であっしの語りを聞いてやしたからこれは成功したな、と思っていたんでやす。そうしたら……、
「小汚い語りだな、耳障りだ。溝に捨ててやろうか」なんて声が聞こえてきやしてね。
寧ろ、その言葉の方が小汚くて思わず笑いそうになりやしたよ。
しかしあっしは途中で語りを終えるだなんて馬鹿な真似は出来やせんでした。ははっ、玄人の弊害でやすかね。
その後も語りの途中を邪魔してきた貴族をあっしは華麗に無視しやして、無事に全ての語りを終えやした。
まぁ、こう見えてあっしは血の気が多いもんでやすから、帰る間際にこう言ってやりやした。もうその街で語りをする予定はありやせんでしたから心置き無く言えましたよ。
『非才で不埒な身が先に謝罪を申し上げやす。……どこの、誰でございやしたか』とね。
まぁ、媚と嫌味が好物の貴族様です。意味は通じた事でしょう。
『お前なんぞ、知らない』なんて。貴族様には簡単な嫌味でやすかね。
ははっ、まぁ顔を青ざめてやしたから伝わったんでやしょうね。
とまぁ、これが貴族様の茶会に招かれた語り部の所業といった所でやしょうか。つい自慢話のようになってしまいましたが、旅の休憩には良かったでしょう?
それでは語り部亀八郎、今日はこの辺で失礼致しやす! またどこかで!
STORY END.




