男性用【語り部麒麟〜遭遇編〜】
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麒麟
[あらすじ]《4分半程度》
語り部麒麟は元傭兵。ガラの悪い喋りと腕っ節の強さが人気の語り部だ。彼は今日も傭兵時代に聞いた話を豪快に語り継ぐのであった――。
【麒麟】
よォ、皆の衆。オレは麒麟。語り部だ。こう長いことやってっとオレを知らなくても名は知ってる奴が大勢居るもんでなァ。これを機に「オレ」を知ってってくれや。
そいじゃあ今日は何を話すか。…ああ、お前らは一つ目巨人に出会った事はあるかぁ? オレは傭兵時代に一度だけあってな。いやあ、戦わなくて良かった。
今日はその日の事を話すとすっか。
オレはその日貴族の護衛として雇われてた。何でも甘やかされのボンボンが不死鳥を生で見たいとか言ってなァ。オレ以外にも王都騎士団所属の奴も居たっけな。
その森には名は無かった。ああ、いや。当時の話だなァ。今はなんつったか…あーっと……ああ、そうそう。「滅死の森」だったか。
(森の名を聞いて顔を顰めた客を笑い見ながら)
当時からも強い魔物がうじゃうじゃと居てな。不死鳥なんぞに会う前にこっちが全滅しちまうんじゃねぇかって思いすらあったなァ。
そんな中で貴族のボンボンは呑気なモンでなァ? あっちに行きたいこっちに行きたい、あれが見たいこれが見たい、魔物が出たどうにかしろ……斬り倒さなかったオレの理性を褒め殺してやりてぇ。今だったら間違いなくチョンだぞ、あのクソガキ…。
っと、悪ィ悪ィ。
ついいつもの癖が出ちまった。昔の事を思い出してっとついそっちの感情に流されちまってなァ…、まぁこうして生きてっからボンボンにそこまでの恨みは無いがな。
そんでまぁ、ボンボンに振り回されながらも森の中を進んでいた時だ。随分遠くの方からドシーン、ドシーンと地響きが聞こえてきてな。
ボンボン一行の一人である研究者が顔を真っ青にしてっから聞いたんだよ、どうしたんだってな。
研究者はブルブル震えながら「一つ目巨人」の名を零したんだ。いやあ、任務放棄して逃げ帰ろうかと思ったわな。
そんな事を考えてる間にも地響きは近づいてきてな。仕方なくオレは大剣を構えてその「一つ目巨人」とやらを待ったわけだ。
後ろではボンボンがまた見たいだとか何だ叫んでたらしいが研究者が罵倒して連れてったとか何とか。オレ、一つ目巨人よりそっちが見たかったぜ…。
ボンボンが消えて暫くした後、どデカい身体した一つ目巨人がこちらに向かって歩いてきてた。一つ目巨人の目にオレ達護衛の姿は映ってなくてな。ボンボン達が逃げてった方向とも違う方へゆっくり歩いてった。
正直、幾多の死線を潜り抜けてきたオレでも勝てねェと悟った程だった。
その後街に帰ることにしたんだが、オレ達じゃ何百年掛かっても住めなさそうな豪邸に着いた途端、ボンボンは何で見せてくれなかったんだとか喚き散らし始めたんだが、ボンボンの兄貴……ああ、いやコイツもボンボンな訳だがな? まぁ、ボンボンよりかは良識人だったみてぇで、オレ達護衛に高額な金を払って弟を叱りつけてたんだよ。いやあ、貴族ってのも大変だよなァ。オレはそういうかたっくるしいのは御免だな。
そいで、まぁ…。そんな遭遇から十数年か…。傭兵は辞めちまったが、こうして語りのネタに困らねぇのはありがてェな。
っと、思わず長話になっちまった。すまねぇな、道中急いてる奴も居るだろうに。
まぁ、オレはそろそろ次の街目指して旅立とうかね。
そんじゃあ、麒麟が行く道が幸運に満ちますように……ってなァっ!
STORY END.




