表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
台本一覧
25/197

女性用【語り部桃道〜語り追編〜】

台本ご利用前は必ず『利用規約』をお読み下さい。

『利用規約』を読まない/守らない方の台本利用は一切認めません。


※台本の利用規約は1ページ目にありますので、お手数ですが、『目次』をタップ/クリック下さい。

 ♂0:♀1:不問0

 桃道

[あらすじ]《3分半程度》

 西の辺境(へんきょう)生まれの(かた)()桃道(ももみち)はこの道20年のベテランである。可愛らしい髪留(かみど)めを付けた彼女は今日も胡座(あぐら)をかいて語り始めるのだった―――。







【桃道】

 ほんなら今日も初めまひょか。


 突然やけど皆さんは『語り部』言うたら誰を思い浮かべる? ああ、桃道(ももみち)。嬉しいわぁ、ありがとうな。

 他は? 千輪(せんりん)に、漆煇(しっき)麒麟(きりん)に、瞳鏃(ひとみやじり)・・・。ああ。亀八郎(きはちろう)も居るなぁ。あの子の語りはアタシのモンとはちょっと違うけど人気やよなぁ。後はぁ〜、ああそうそう。鹿華(ろくばな)やとか咲鳥(さとり)も居ったなぁ。そこら辺は懐かしい名ァやなぁ。


 紫狒々(しひひ)に、茂木(もぎ)船良(せんら)かぁ。聞いたことないけどココで名が上がる言う事はいつか追い抜かされるかもしれんなぁ。


 っああ、そうそう。何でこんな話したかって言うとな。・・・昔から語り部の事を追ってその話を記録する『(かた)(おい)』言うんが居るんよ。

 そう、今も後ろの方に居る子らがそうやね。昔から居るんに名前がついただけやからそう邪険(じゃけん)にしたらんとって。


 ・・・今日話すんは、語り追がまだその名を持っとらんかった時の話。アタシが語り部始めて、2年かそこらの時やね。置いてかれんようによぉく聞いとり。


 あん頃のアタシは、ようやっと語り部いう職がどんだけ身勝手で、そんでどんだけ楽しげなんか気ィ付いて。それを日々、模索(もさく)しとったわ。


 そんな時や。

 アタシが熱心に語っとる時に、何や目の前でそれを古びた紙に(しる)しとる奴が居ってな。

 ほんでも、語りの途中やったし、ちらほらお客さんも居ったから中断する訳にもいかんくて、そのまま語りを続けたんよ。


 語りも終わってお客さんが投げてってくれたお金を数えとったら、古びた紙持った奴がアタシの目の前に来てな? こう言うたんよ。


 “お前の語りはまだ自分勝手さが無い”


 一瞬腹立って。やけどもすぐに落ち着いた。そいつはその後にこう言うたんや。


 “だけど、面白い。もっと自分の為だけに話せ。自分の為に語れ。自分勝手な奴が一番上手く(かせ)げる”


 そん(あと)、よう話聞いたら色んな所で語りを(しる)しとるらしくてな。若い女の語り部はアタシが初めてでつい興奮して目の前に陣取(じんど)ってしもたんやて。

 当時有名やった雛苢(ひなくさ)っていう老婆(ろうば)の語り部が居ったんやけどその人の孫や言う話で。それでもそん頃のアタシより随分(ずいぶん)と歳上やったけどな。


 ・・・もう、生きとらんやろに。一度だけ、お礼を言いたかったんよ。あの時の言葉が無かったらアタシは語り部続けとらんかったかもしれんって。


 語り追は語り部が死んだ時に、その語りを本にして世に売り出す職や。語り部と違ってたくさん弟子も居るし、引き継ぎを()()う者も居る。


 あの時の、名前も知らん語り追に教えてやりたいわ。アンタが必死で書き(しる)しとった物語は今、たくさんの人達が書き()して道を(えが)いとるよって。


 ほんなら今日はこの辺にしとこか。ここら辺は雷が突然雨のように降ってくるんやろ? アンタらも気ィ付けてな。

 また、会いまひょか。・・・どっかでな。











STORY END.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ