男女兼用【語り部紫狒々〜扇子編〜】
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紫狒々
[あらすじ]《3分程度》
語り部紫狒々は山奥の小さな集落の出身である。ある日集落へやって来た楽しそうな語り部に憧れて紫狒々は集落を飛び出したのだった―――。
【紫狒々】
やぅやぅ。アイは紫狒々。語り部やってまだ4年の新参デス。
ここよりずっと山奥にある辺鄙な集落出身デスので、ここらの言葉は少し曖昧デスけど、よろしくお願い申し上げマス。
さてさて、今日の紫狒々はちょっと長めのお話に興味がありマス。雨降る様子も無し、良ければ聞いてやって下さいな。
紫狒々は以前、その手の界隈の者から霊力の宿るとされる扇子を受け取りマシタ。
デスが紫狒々。こう見えてそういった物には縁のない生活ばかり送ってきたので、使い方がよく分かりません。
仕方なく、カバンの中に仕舞い込んでおきマシタ。
デスが紫狒々。忘れっぽいので旅をする中で扇子の存在をもろとも忘れてしまいマシタ。
そんなある日の事デス。
紫狒々が木陰で休んでいると、扇子を銜えた世にも奇妙なヘビが一匹、紫狒々の元へやって来マシタ。
先も言った通り、紫狒々は辺鄙な集落の出身。毒ヘビの見分けくらいつきマス。
紫狒々が見分けた結果、それは毒ヘビなどではなく、木の皮を食べて生活をする温厚な種デシタ。
ヘビは紫狒々の手の元までやって来ると、銜えていた扇子をペッと吐いて、その辺に捨て置きマシタ。
ヘビに言葉が通じるとは思いませんガ、紫狒々は『良いのか』と訊きマシタが、ヘビは気にした様子もなく、紫狒々のカバンを見遣ったのデス。
紫狒々はヘビを見て。その後に捨て置かれた扇子を見マシタ。そこで紫狒々はあっと声を出しマス。やっとこさ胡散臭い扇子の存在を思い出したのデス。
もしかしたら紫狒々の持つ扇子が欲しいのかもしれない。
だけれど、紫狒々は扇子の存在をついさっき思い出したばかり。何処に扇子があるのかなんて分かりません。
カバンの中を全部出して掃除をするなんて面倒な事も出来ません。デスが、扇子を差し出さないとヘビは退く気配もありませんデシタから、仕方なく紫狒々はカバンを開けて中を探ろうとした時デシタ。
紫狒々の陰からヘビが飛び出して、カバンの中に入ってしまったのデス。カバンの中には旅をする中で必要不可欠な物がたくさん入っていマス。紫狒々は慌ててヘビを掴み、外へ放り投げマシタ。
そのヘビの口にはしっかり、あの扇子が銜えられていたので紫狒々は取られた、と思うより安心して肩の力を抜きマシタ。
ヘビはそれを器用に銜え直すと、鎌首をもたげてからゆっくりと紫狒々に礼をしマシタ。
結局あの扇子が何だったのか、紫狒々にはよく分かりません。デスが世の中には紫狒々の知らない世界があるのだと実感しマシタ。
おや、そろそろ紫狒々も次の土地へ行かねばなりません。名残惜しいデスが、またどこかでおアイしましょう。
紫狒々の行く場所に、幸運あれ。
STORY END.




