男性用【ムカシのメデタシ】
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微笑む青年
[あらすじ]《3分程度》
人の居ない暗い教室。机の上に立った青年はネクタイを緩めて背伸びをする。薄いカーテンの向こうからは太陽が昇ってこようとしていた―――。
【微笑む青年】
むかしむかし、あるところに。っていうのは大抵、めでたしめでたしで終わっちゃって。何だかつまらないよね。
ああ、別にね。それが悪いって訳じゃないし、ボクもどちらかというと幸せの終わり方の方が好きなんだけど。
そういう形式のお話ってさ、セオリー。ってやつなのかな。終わり方の幸せなお話っていうの。
それともさ。
悪い何かから目を逸らしたいだけなのかな。・・・とか思っちゃったりして。
うん、まぁ。気にしなくていいよ。これは勝手なボクの推測っていうか、妄想だし。こんな夜明けにガッコーに忍び込んでカーテンの向こうの日の出を眺めてるなんて。
君にとってはちょっとミステリアスで好きそうだし。まぁ、ボクも君も人じゃないから誰かに怒られるって事も無いか。
ん? さっきから話が飛び飛びで何を話してるかついていけない? っああ、ごめんね。これボクの悪い癖なんだ。
話したい事が次から次へ出てくるもんだから口も頭も追いつかなくてさ。
まぁ仕方ないよね、ボク死んじゃってるし。周りにいくら話し掛けても聞こえてないし、聞いてないし。
だからね、君が来てくれて嬉しかったんだ。話が出来る相手が来てくれて。でも、君だってずっとここには居られないでしょ? だから話せる事は話しておかないと『後悔』しそうでさ。
え? もっとゆっくり話してくれって? ああ、これもボクの生前の癖だな。早口なんだよね。相手に頷くスキも与えないんだから困ったものだよ。
ああ、そうそう。最初の話に戻るんだけどね。むかしむかし、あるところに。ってやつ。
ボクからも一つ。……まぁ今作った話なんだけど聞いてってよ。
『むかしむかし、あるところに。
何をやっても上手くいかない少年が居ました。そんな少年には優秀でカッコイイお兄ちゃんが居ました。
親はいつも少年に言います。お兄ちゃんに出来る事がどうしてアナタには出来ないの。……少年は親の事は好きです。でもそうやって自分とお兄ちゃんを比べる時の親は大っ嫌いでした。
ある日、少年は親に言われたのです。“育て方を間違えたのかしら”。
それを聞いた途端、少年は何もかもを諦めたのです。ごめんなさいと謝る声すら音もなく消えたのです。
少年は青年へと成長した後、更に優秀になったお兄ちゃんに言われました。
“何でこんな当たり前の事が出来ないのだ”と。
“お前みたいなのが弟で自分は恥ずかしいのだ”と。
青年は…、』
・・・・・・・・・・・・・・・。
(どうしたのかと心配する相手に)
ああ、ごめん。もう太陽が顔を出しちゃったから時間だね。また会えたら話そうよ。
続きはその時話すからさ。
ネタバレは嫌? ああ、そう? じゃあ言うけど、最期はちゃんと、メデタシメデタシだよ・・・。
STORY END.




