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一人用声劇台本  作者: SOUYA.(シメジ)
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196/196

男性用【語り部蝋卵〜賢者編〜】

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 蝋卵

[あらすじ]《3分程度》

 かた蝋卵ろうらん界隈かいわいの一部から物好きとそしられ続け、早数十年。かたぐさえる事無しと、ほくそんでいる―――。













【蝋卵】

 おや、こんばんわ。今夜は暗くなるのが遅いみたいだけれど、ちゃんといつもの時間にはお家に帰りなさいね。

 どうしてって? ひひ、良くない空気が君をさらってしまうからだよ。


 さて、みなしゅう

 挨拶あいさつが遅れたね。ワタシは蝋卵ろうらん。語り部を語る物好きさ。


 今日は誰を語ってしまおうか。

 有名どころを語るのも面白いけれど、無責任に無名を語って…有名にしてしまうのも一興いっきょうかな。ひひ、ワタシにそんな力は無いけどね。


(客の声に応えて)

 ううん、…ああ、そうだね。その子にしようか。


 とある伝説の一番弟子。争いとうばい合いの大陸から逃げおおせた双子の兄について。


 伝説、とは。

 十三もの弟子を従え、悲しくも途絶とだえる間際まぎわであった、語り部業を生き長らえさせた、“奴”の事さ。

 ひひ、奴のした事と言えば、そこまで『大層たいそう立派だ』と褒めてもらえる事ではなかったんだけどね。

 語り部の客っていうのは厄介やっかいなもので。自分らが心酔しんすいしているヤツの所業しょぎょうを、偉業いぎょうにしたがるんだよ。


 ひひ、話がれたねぇ。

 伝説の一番弟子。今や『賢者けんじゃ』とうたわれる立派な語り部さ。彼の魔術は、王族お抱えの魔術師も、舌を巻くとか何とか。

 元は何処ぞの戦争大陸のお貴族様って噂だがね。

 まあ、真相は本人かそれに近しい者達に。


 …ひひ。真実をうたうのが語り部ではない。事実を語るのが我々なのだよ。


 賢者な彼は陰気いんきな弟とは違って、大陸のあちらこちらに繋がりを作っていてね、ひひ。

 ほら、あの妖艶ようえん花街かがいがたりも彼とは悪友あくゆうだって話だし、雨の香りがする古臭い血をぐ彼女だって恋仲こいなかだとか何とか。

 ひひ、“誰の事”だって? ひひっひ、答えを覗いてしまうなんて勿体もったいい。自分で探して、もだえて、悩んでしまえばいいよ。


 ひひ。消えた伝説を探し追う、意外にも理性的な彼が最も嫌うもの。それは唯一血を分けた双子の弟だね。

 二人が偶然にも居合わせたその瞬間は、ひひ。地獄と例えても、閻魔えんまは怒りゃしないだろうさ。

 大地はえぐれ、風は割れる。ワタシ達の想像も遠くおよばない憎悪ぞうお嫌悪けんおおおわれた全て。


 …決して、近付かぬよう。

 興味本位は可愛い“誰か”を殺してしまうからね、ひひ。


 さあ、今日はこれにて閉幕へいまくだ。

 会ってみたいならば、守るべき事が一つ。彼の前で伝説を語らない方がいい。それが賞賛しょうさんだろうと、侮辱ぶじょくだろうと。


 彼は彼の全力をもって、君達をちりに変えてしまうからねぇ、ひひ。












STORY END.

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