男性用【語り部蝋卵〜賢者編〜】
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蝋卵
[あらすじ]《3分程度》
語り部の蝋卵。界隈の一部から物好きと謗られ続け、早数十年。語り草は絶える事無しと、ほくそ笑んでいる―――。
【蝋卵】
おや、こんばんわ。今夜は暗くなるのが遅いみたいだけれど、ちゃんといつもの時間にはお家に帰りなさいね。
どうしてって? ひひ、良くない空気が君を拐ってしまうからだよ。
さて、皆の衆。
挨拶が遅れたね。ワタシは蝋卵。語り部を語る物好きさ。
今日は誰を語ってしまおうか。
有名どころを語るのも面白いけれど、無責任に無名を語って…有名にしてしまうのも一興かな。ひひ、ワタシにそんな力は無いけどね。
(客の声に応えて)
ううん、…ああ、そうだね。その子にしようか。
とある伝説の一番弟子。争いと奪い合いの大陸から逃げ仰せた双子の兄について。
伝説、とは。
十三もの弟子を従え、悲しくも途絶える間際であった、語り部業を生き長らえさせた、“奴”の事さ。
ひひ、奴のした事と言えば、そこまで『大層立派だ』と褒めてもらえる事ではなかったんだけどね。
語り部の客っていうのは厄介なもので。自分らが心酔しているヤツの所業を、偉業にしたがるんだよ。
ひひ、話が逸れたねぇ。
伝説の一番弟子。今や『賢者』と謳われる立派な語り部さ。彼の魔術は、王族お抱えの魔術師も、舌を巻くとか何とか。
元は何処ぞの戦争大陸のお貴族様って噂だがね。
まあ、真相は本人かそれに近しい者達に。
…ひひ。真実を謳うのが語り部ではない。事実を語るのが我々なのだよ。
賢者な彼は陰気な弟とは違って、大陸のあちらこちらに繋がりを作っていてね、ひひ。
ほら、あの妖艶な花街語りも彼とは悪友だって話だし、雨の香りがする古臭い血を継ぐ彼女だって恋仲だとか何とか。
ひひ、“誰の事”だって? ひひっひ、答えを覗いてしまうなんて勿体無い。自分で探して、悶えて、悩んでしまえばいいよ。
ひひ。消えた伝説を探し追う、意外にも理性的な彼が最も嫌うもの。それは唯一血を分けた双子の弟だね。
二人が偶然にも居合わせたその瞬間は、ひひ。地獄と例えても、閻魔は怒りゃしないだろうさ。
大地は抉れ、風は割れる。ワタシ達の想像も遠く及ばない憎悪と嫌悪で覆われた全て。
…決して、近付かぬよう。
興味本位は可愛い“誰か”を殺してしまうからね、ひひ。
さあ、今日はこれにて閉幕だ。
会ってみたいならば、守るべき事が一つ。彼の前で伝説を語らない方がいい。それが賞賛だろうと、侮辱だろうと。
彼は彼の全力をもって、君達を塵に変えてしまうからねぇ、ひひ。
STORY END.