女性用【語り部海月〜赤玉編〜】
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海月
[あらすじ]《3分半程度》
語り部海月。その名の通り、ゆらゆらと揺蕩うようにして生きる妖精族と人魚のハーフだ。あどけない喋りの彼女を、尊ぶべきだと客は言う―――。
【海月】
ふふふ、みなさま。初めましてです? それともお久しぶりです? 海月はこんなにも元気にしてましたですよ〜!
海月は語り部です、語り部二千九十六年目の…今はぁ、最古参なんて呼ばれ方をしてるんでしゅかね?
ふふふ、しゅごいでしゅ? そんな事ないです〜。海月は長命の生き物なのでぇ、一万年もあっという間なのですよ〜!
ふむふむ、ではでは。
今日は何を語るですかね〜、妖精の鏡の事は話したですし、一反木綿のドジなお話も二十年前にお話したです。
もっとこう、誰も聞いた事ないお話がいいですねぇ。
………んー。と。
そーでしゅね! 今日は赤玉のお話でもしましょ〜。
赤玉っていうのはですね、魚しゃんが持ちゅ、病原菌の事なのですよ。
この赤玉を取り除かずに食べてしまって、人間達が大量死してしまう事件が、えっと。いつの事だったのです? …うーむ、百二十年程前でしゅかねぇ?
えぇ。ちょーっとだけ他の種族の間でも危ないですね〜って言ってた事件でした。
今では赤玉を含む、色んな病原菌を感知出来る魔法具があるので、たま〜に中る事もありましゅけど、死に至る事はなくなりましたねぇ〜。
そもそも、この赤玉。存在自体は遥か昔から確認されていまちた。ただ、存在だけでしてぇ。それが有毒で危険度の高いものだというのは、つい最近…その事件で発覚したのでしゅ。
んむぅ? 百二十年前は最近なのか〜? ふふ、駄目でしゅねぇ。自分感覚で物を語っては〜。反省ですぅ。
話を戻しましゅ。
とある魚屋で捌かれたイグシマ…アズマの言葉に直すと、喉魚でしゅね。そのお刺身から赤玉が出て来て、人間達は大騒ぎでした。
この赤玉は熱してしまえば有毒成分が消えましゅ。それか職人しゃんの手によって綺麗に取り除くかです。
でしゅが、その魚屋で喉魚を捌いたのは、まだまだ見習いと呼ばれる青年だったです。
…あの子は可哀想でしたね。結局魚屋から例の喉魚の刺し身を買い取った店から、バタバタと人間の死が告げられたのです。
しょの半年後でした、青年が処刑されたのは。
…生ける者達の無知は、時に大きな問題を引き起こすです。
だからみなさま。色んなものを見聞きしましょう。本でも、物でも、語り部でも。知る事は宝でしゅ。知ろうとする事は最愛の努力です。
なんて、三万年も生きてない若輩者からの忠告でしゅ。
しょれでは―――んぅ? 滑舌が悪い? むん、ごめんなさいです。
海月は父に似たので、声帯も舌も本来は無いのです。
だから魔法で声帯と舌を作って、そこから紡がれた音にも魔法を掛けているので、人間のみなさまにはお聞き苦しいと思うです。
それでも良い方だけ聞いていってくだしゃいな。
それでは、語り部の海月はここらで御暇するですぅ。
STORY END.